RPAのメリット・デメリット|有効性や他のシステムとの差を理解しよう

最終更新日時:2023/04/17

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RPAのメリットデメリット

DX化や働き方改革の流れから、RPAの導入を検討している企業は多いのではないでしょうか。自社へ取り入れる前にどのようなツールなのか、理解しておく必要があります。RPAのメリットやデメリットと合わせて、有効性や他のシステムとの差を理解しましょう。

RPA(Robotic Process Automation)について

RPA(Robotic Process Automation)とは、人がおこなっている業務をロボットで自動化する仕組みを指します。

具体的な例としては、請求書や給与明細書の作成、顧客情報、売上のデータ入力といった作業を自動化することが可能です。

人手不足や働き方が多様化している現在では、RPAツールの導入が注目されています。以下では具体的なメカニズムについて解説しますので、参考にしてみてください。

RPAの仕組み

RPAに作業を任せるには、まずシナリオを作る必要があります。シナリオとは、どのようなプロセスでどのような作業をおこなうのかをプログラミング言語を使用して細かく指示書を設計することです。

このシナリオの段階でミスがあると、RPAは間違った手順のまま作業を進めてしまうため、シナリオを作成する際は注意しましょう。

シナリオを作成したあとは、即時または時間指定でRPAを起動するだけで、いままで人がおこなっていた作業を代行してもらうことができます。エラーが起きるまでは年中無休で作業を続けるため、業務の効率化につながるでしょう。万が一、エラーが起きた場合には、人間が対応しなければいけませんが、事前に対応する人材やマニュアルを用意しておけば、慌てずに対応ができます。

また、近年のRPAツールは、プログラミング言語やITの知識を使用せずに操作できるサービスも増えています。誰でも簡単にシナリオを作成し、RPAに作業を任せることができるため、業務の効率化により貢献してくれるでしょう。

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RPAを導入するメリット

RPAを導入する企業が増えていますが、実際にどのようなメリットがあるのかをご紹介します。具体的なメリットが把握できると、導入後のイメージがしやすくなるのでぜひご覧ください。

  • 生産性の向上につながる
  • 人件費の削減につながる
  • 業務内容を見直せる
  • 休みなく稼働し続けられる
  • 現場の状況に適した運用ができる

生産性の向上につながる

RPAを導入するメリットとして、生産性の向上につながる点が挙げられます。データ入力や集計などの繰り返し作業は、時間がかかるだけでなく集中力も求められるため、従業員の身体的・精神的負担になりかねません。

その点、RPAは繰り返し作業を得意としているので、作業をRPAに任せることで従業員のリソース確保につながってコア業務に時間を有効活用できます。

また、人がデータ入力する場合には入力・集計ミスにより修正が発生する可能性が高いですが、RPAは正確に作業をこなすためミスを引き起こす心配もありません。

このように、プロジェクトの企画立案などロボットでは不可能な思考や、人の判断が伴う作業に人が集中できれば、企業の生産性向上や新しいビジネスチャンスの獲得にも期待できるでしょう。

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人件費の削減につながる

これまで従業員がおこなっていた業務をRPAでロボット化することで人件費の大幅な削減が見込めます。

従業員の給与明細書の作成は月末に集中してしまうように、ある特定のタイミングに業務の負担が増えてしまう業種などでは担当者が残業したり、人材を確保したりする必要がありました。

しかし、RPAでこういった作業を代替することで、残業や人員確保の必要がなくなり、人件費の削減につながるといったメリットが得られるのです。

業務内容を見直せる

業務内容を見直せることもメリットです。RPAを稼働するには、細かく作業プロセスを指示する設計書(コード)が必要です。普段おこなっている業務の内容や手順を明確にしなければいけませんが、これまでの作業プロセスを見直す良い機会にもなります。

RPAを最大限に活かすためにも、従業員同士で積極的に意見を出し合ったり、考えたりする機会が増えるため、業務効率化への意識を高めることにもつながるでしょう。

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休みなく稼働し続けられる

RPAは365日24時間稼働し続けられるのがメリットです。夜間の作業をRPAで置き換えることで稼働を停止する必要がなくなるため、納期の大幅な短縮ができます。

業務の効率化を図れるのはもちろん、社員の業務負担軽減が見込めて有給を取りやすくなったり、仕事へのモチベーションアップにもつながる可能性があるでしょう。

現場の状況に適した運用ができる

IT技術の促進により、プログラミング言語の知識がなくてもRPAが運用できるツールが増えています。

これまでのRPAツールは、サービスを開発する部門やベンダー側に運用してもらう必要があり、不具合が生じた際に迅速に対処できないのがデメリットでした。

しかし、現場の従業員自らが、課題となっている業務内容にあった設計書を作ることができるので、それぞれの現場にあった運用ができるのは大きなメリットです。

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RPA導入のデメリット

業務効率に優れているRPAですが、デメリットもあるので注意が必要です。運用パフォーマンスを高めていくためにも、どのようなデメリットがあるのかを把握し、RPAのスムーズな導入・運用をしていきましょう。

  • 業務のブラックボックス化が起こる
  • 業務停止のリスクがある
  • 不正アクセスの危険性がある
  • 費用対効果を得られない可能性がある

業務のブラックボックス化が起こる

RPAは特定の担当者が指示書を作成するのが一般的ですが、担当者が異動や休職・退職すると、ブラックボックス化がにつながります。

こういった事態を防ぐためにも、誰が見ても内容がわかるようにマニュアル化しておくことで、不具合が発生した場合でも迅速に対処できるので、必ず可視化しておきましょう。

業務停止のリスクがある

RPAは指示書通りに動くことは得意ですが、イレギュラーな事態が起こると稼働できず、業務が停止してしまうデメリットがあるので注意が必要です。

イレギュラーな事態とは、インターネット環境の不具合やシステム障害、指示書のミスといったことが考えられます。間違った処理を続けてしまうと、修正に多くの時間を要するため、業務を停止せざるを得ない状況にもなりかねません。

このような突然の業務停止を防ぐためにも、定期的に作業フローを見直して、トラブル発生時の手順をマニュアル化したり、定期的なメンテナンスを実施したりすることが大切です。

不正アクセスの危険性がある

不正アクセスの危険性がある点もRPA導入のデメリットです。RPAツールには、インターネット上で運用する「ブラウザ型」・デバイス上で運用する「インストール型」の2種類があります。

とくに、インターネット上で運用する際には、不正アクセスにより情報漏えいの危険性があるので注意が必要です。

従業員や顧客の個人情報が外部に抜き取られてしまうと、企業の信用損失により事業にも大きな影響を及ぼす恐れがあります。そのようなリスクを防ぐためにも、アクセス権限やデータへのログ監視といった対策は必ずおこなっておきましょう。

費用対効果を得られない可能性がある

RPAの導入には時間と費用がそれなりにかかることから、業務量が少ないと費用対効果が得られない可能性がある点がデメリットになります。

RPAツールの導入には、最低でも年間で数十万円の費用が必要です。さらに、作業工程の洗い出しから指示書の設計・実装までの時間的コストや、運用に必要な知識や操作スキルなどの人材育成費用といったコストがかかります。

RPAを導入したはいいものの、うまく運用できず使用しなくなったという事態にならないためにも、業務の工数や時間を算出し、自社の課題と照らし合わせながら検討することがポイントです。

RPAと比較される類似システム

RPAと比較される類似システムを5つ紹介します。RPAと同様に自動化できるシステムは他にもあるので、どのような違いがあるのかをしっかりと把握しておきましょう。

VBA(Visual Basic for Applications)

VBAは、WordやExcel、PowerPointなどのMicrosoft製品のソフトウェアに含まれている、プログラミング言語です。

これらのソフトに含まれているマクロは「複数の操作を同時に呼び出せること」に長けており、とくにExcelでのデータ分類や集計といった作業を、自動で処理できるのがメリットです。VBAを使いこなせると、マクロでより幅広い業務を自動化でき、生産性向上を実現できます。

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AI(Artificial Intelligence)

AIとは人工知能と呼ばれており、人間の知能や知覚を人工的にソフトウェア上で再現したものを指します。

AIは膨大なデータをもとに自ら学習・判断するため、いわば人間の脳のような役割をおこなうことができるので、複雑な業務への運用に向いています。

一方、RPAはルールに基づいた作業に長けていますが、AIのように学習・判断できないことがデメリットです。

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RDA(Robotic Desktop Automation)

RDAとは、デバイス上のデスクトップにインストールされているロボットを指します。RPAはサーバ上にロボットがインストールされているため、サーバ上に管理しているロボットであれば複数に指示を出すことが可能です。デメリットとしては、一台のパソコンのみでしか業務の自動化ができないことが挙げられます。

また、RDAの運用には、複数の社員がいる場合だと台数分のロボットを準備する必要がありますが、スモールな業務範囲の作業効率化には有効なシステムといえるでしょう。

RBA(Run Book Automation)

RBAは、ITシステムの運用や管理の自動化を目的とした技術で、ヒューマンエラーの防止や作業工数の削減に効果的です。

RBAがRPAと大きく異なる点は、業務範囲と対象ユーザーの違いです。RBAはITシステムの運用管理の自動化を対象としていますが、RPAはバックオフィス業務を中心としたデスクワークの自動化をメインとしています。

このように、RBAとRPAは業務範囲が異なりますが、両者を上手く活用できれば、より業務効率や企業全体の生産性向上といったメリットが得られるでしょう。

bot

botとは、プログラミング言語で指示された情報を処理したり、タスクを自動的に実施するアプリケーションです。

代表的な活用シーンは、検索エンジンで表示された検索結果をデータベース上に反映・登録といった作業が挙げられます。

人が手作業でおこなう場合、膨大な量のWebページを確認しながら情報収集・記録する必要があり、時間と手間もデータの量に応じて膨大にかかります。しかし、この作業をbotで代替することで、効率的に処理できるため作業時間の削減や効率化につながるでしょう。

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RPAを導入する手順【7Step】

RPAの効果を最大限にしていくためにも、適切な手順で導入していく必要があります。以下では、7つの手順に分けて解説するので参考にしてみてください。

1.対象となる業務を洗い出す

まずは、RPAで自動化したい業務を洗い出していきます。定型的な業務を効率化するのに優れているRPAツールですが、思考や判断をともなう複雑な作業には向いていません。

プロセス化が難しい作業を自動化しようとしても上手く効率化が図れないので、どのような業務をロボットで代替していくかを選定していくことが大切です。

2.業務内容を可視化する

対象となる業務を洗い出した後は、その業務内容をフローチャート形式で細かく可視化していきましょう。業務内容を見える化することで、どこまでの作業範囲をロボットに任せるのが適切なのかが判断しやすくなります。

さらに、作業プロセスのマニュアル化もしやすくなり、従業員間での認識のズレやブラックボックス化を防止することにも有効です。

3.導入するRPAを選ぶ

自社の業務内容に適切なRPAツールの選定をしていきます。RPAツールには無料と有料のタイプがありますが、サービスが利用できる範囲や特徴、費用、サポート体制の充実度は異なります。

そのため、可能であれば無料トライアルなどで実際にRPAツールの操作性を試してみましょう。RPAツールを実際に使用することで、操作性などを確かめることができ、自社の業務とマッチするかどうかを事前に把握できるため、導入後の失敗を防ぐことにもつながります。

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4.スモールスタートで始める

RPAの導入を開始する際には、まず一部の部署で試験的にスモールスタートしていくことがポイントです。

はじめから企業全体でツールの運用を始めてしまうと、不具合やシステム障害が生じた際に対処できない、あるいは改善に時間がかかってしまう可能性があります。

そのため、スモールスタートで始めることで、不具合が生じても最小限で被害を抑えることができるでしょう。

5.検証結果から効果や課題を見つける

試験的に運用した後は、検証結果から効果や課題を見つけ、より業務の効率化を図れるようにツールの改善に努めていきます。

具体的には、RPAツールの導入によって、実際にどれくらいの時間短縮や業務効率が実現できたのかを確認します。その際、課題があれば本格的な運用をする前に、効果検証のタイミングで解決しておきましょう。

6.本格的に導入する

導入効果が見込めた場合には、実際にRPAを運用していきます。その際には、事前に社員に周知したり、操作手順やトラブル発生時の対応をまとめておくことも大切です。

さらには、従業員へRPAの使い方や説明会といった研修も積極的におこない、社内全体のツールの定着化を促進していきましょう。

7.課題を解決しながら運用する

実際にRPAを運用していくと、新たな課題やアイデアがうまれたり、想定していなかった事態が起こったりする場合もあるので、課題を解決しながら運用していく必要があります。

また、定期的な運用体制の見直しは、さらなる業務効率の向上にもつながるため大切なプロセスです。

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導入するRPAの選定方法

自社にあったRPAツールを選定していくためにはいくつかのポイントがあります。以下では、どのような選定方法でRPAツールを導入していくべきかについてご紹介するので、チェックしておきましょう。

費用から選ぶ

RPAツールには、シンプルな機能から多機能なものまで、搭載されるサービスは多岐に渡ります。多機能なツールは対応できる業務の幅が広がりますが、その分料金が高額になったり、多機能ゆえにすべてをうまく使いこなせていなかったりなど、手に余る場合も考えられるでしょう。

このことから、作業内容によっては最低限の機能だけで解決できるケースもあるため、自社の導入目的と限られた予算を考慮して選定していく必要があります。

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操作性から選ぶ

これまでのRPAツールは、プログラミング言語の知識がないと操作ができないケースが多くありました。しかし、最近ではRPAツールを誰でも簡単に扱えるサービスが増えてきたことにより、導入する企業も増加しているのです。

RPAは現場の作業効率の向上を目的として運用されることが多いので、従業員の誰もが使いやすいサービスを選ぶことが重要になります。

そのため、画面をパッと見てわかりやすいかどうか、ドラッグ&ドロップの簡単な操作だけでロボットの作成ができるかなどを考慮して選んでみてください。

機能面から選ぶ

データ入力や集積といったシンプルな作業の自動化を目的としている場合、必要最低限の機能でも十分に対応可能です。

しかし、複雑な作業ではカスタマイズ性が高いサービスを選定しないと、目的の達成ができない場合が考えられます。

とくに、クラウド型のサービスではカスタマイズが不可能なツールが多いので、サーバ型もしくはデスクトップ型のRPAを選定するといいでしょう。

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業務との相性から選ぶ

業務との相性からRPAを選定していくことも重要です。パソコンのデスクトップ上で処理したい作業もあれば、社内システム上で部署をまたぐ大規模な作業をしたい場合もあります。

デスクトップ上での限定的な作業であれば、最低限の機能のみ搭載されているシンプルなサービスで十分ですが、大規模な作業の場合はカスタマイズ性が高いサーバ型を選定しておきましょう。

既存システムとの相性から選ぶ

RPAを選定する際は、既存システムとの相性から選ぶようにしましょう。既に導入しているシステムと相性が悪ければ、せっかくのRPAをうまく活かすことができません。

具体的には、大規模なレガシーシステムを使用した作業を自動化する場合だと、サーバ型のRPAツールで対応します。また、インストールしたシステムなどを使用した作業の自動化の場合は、デスクトップ型のRPAツールが最適です。

このように、既存システムによって、導入すべきRPAツールが異なってくるため、自社の現状と見比べながら検討していきましょう。

セキュリティ体制から選ぶ

クラウド型のサービスの場合、インターネット上で運用していくため、不正ログインやシステム障害によるデータ損失・情報漏えいといったリスクがあります。そのため、強固なセキュリティ体制が構築されているサービスを選定することが大切です。

データ損失や情報漏えいは、社会的信用の損失にもつながるので、あらかじめできる対策はしておきましょう。

サポートの充実性から選ぶ

RPAを選定するときにはサポートの充実性から選ぶようにしましょう。近年、未経験者がRPAを使用しても簡単にロボットが作成できるサービスが増えています。そこで、導入から運用までスムーズにおこなえるのかが不安な方は、導入支援やサポート体制が充実している会社を選んでおくと安心です。

そのほかにも、無料研修やオンラインによる相談サポートを受け付けているサービスもあるので、有効活用してみてください。

トライアルの有無から選ぶ

無料トライアルができると、自社の従業員がRPAツールの使いやすさや業務内容に適切なツールであるかを見極めやすいです。この無料トライアルを利用せずにいきなり導入してしまうと、思うような操作性ではなかったなど、自社とのミスマッチにつながりかねません。

このことから、IT知識に長けている従業員がいない場合は、運用後のトラブルや失敗を防ぐためにも、無料トライアルを通じて操作性を確かめておきましょう。

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RPAの導入事例

RPAを実際に導入すると、どのようなメリットを得られるのでしょうか。成功事例を知ることで自社の導入イメージもしやすくなるため、ぜひチェックしてみてください。

地方自治体での成功事例

ある市役所の市民窓口課は、これまで市民の住所変更後に受理通知を送付する必要があり、この作業に年間約85時間かかっていました。そこで、職員の負担を軽減するためにRPAを導入したのです。

これによって、作業時間の大幅な短縮を実現しただけでなく、情報を転記する際の誤入力といったヒューマンエラーの防止にもつながりました。そのほかにも、職員の空いたリソースを住民サービス向上に充てることにも成功しています。

金融業界での成功事例

三井住友銀行は2017年からRPAを導入し、これまで300万時間かかっていた、紙帳票をデータ化する作業の自動化を実現しました。既存の重複作業の集約化や無駄な業務の削減にもつながり、生産性向上にも成功したのです。

また、オペレーション業務にもRPAの活用を開始し、今後はグループ全体でのRPA活用を進め、1500人分のリソース確保することを目標に取り組んでいます。

製造業での成功事例

飲料メーカーであるサッポロビールは、POSデータのダウンロード業務をRPAで自動化し、導入コストを一か月で回収することに成功しました。

RPAツールの導入前は、商品データを取得するのに1日計160回のダウンロード操作を必要としており、この繰り返し作業が従業員にとって身体的・精神的ストレスになっていました。

全てのデータを取得するのにも大幅な時間がかかっていましたが、RPAの導入後には事務コストが年間で約1100万の削減、労働時間を約5700時間の削減につながったのです。

営業業務での成功事例

営業業務は顧客との商談はもちろん、見積書・請求書作成からスケジュール調整まで、多岐にわたる業務があります。これらの業務は全て定型的な作業なので、RPAで自動化させることが可能です。

あるオフィス家具販売の営業部門でRPAを導入し、一件あたりの処理時間を10分で完了しています。このように、顧客から注文された商品の情報を受注システムに転記する作業をロボット化したことで、作業時間の短縮とヒューマンエラー防止にも成功しました。

経理業務での成功事例

経理部門では、経費精算に関わる業務をRPAで代替することで、業務効率の向上を実現できます。紙媒体で経理の処理をする場合、従業員から申請書をもらい確認したあとに処理をしたり、不足している情報があるなら再申請を依頼したりする必要があったのです。このような経理業務は、月末に作業が集中する傾向があるため、経理担当者はそれに合わせて残業をしなければなりませんでした。

しかし、RPAを導入したことによって、経費精算システムと会計システムの2つを管理することが可能になります。その結果、経理担当者が書類の確認をする手間やシステム上に情報を入力する必要がなくなり、従業員の残業の削減に成功したのです。

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人事業務での成功事例

従業員の採用に関わる人事事務では、採用管理はもちろん、勤怠管理や給与計算といった業務を担当します。人事担当者が手動で手続きをする際には、新規採用者へ必要な書類やお知らせメールを送ったり、記載した書類の確認など、多くの工数がかかっていました。

しかし、RPAで自動化したことで採用管理から従業員管理を一元管理できるようになり、人事戦略といったコア業務にリソースを充てることに成功したのです。

RPAの種類

RPAツールには大きく分けて3つの種類があります。各タイプの特徴を把握しておくと、自社の業務内容にあわせてツールを選ぶことができるので、参考にしてみてください。

デスクトップタイプ

デスクトップタイプのRPAは、パソコンにソフトをインストールする必要がある、小さな業務範囲から自動化を始めたい場合おすすめです。

デスクトップタイプの特徴としては、プログラミング言語がなくても容易に自動化できるツールが多くある点が挙げられます。また、現場の従業員が業務効率を実感しやすく、サーバの構築が不要なのでコストを抑えながら運用が可能なところもメリットの一つです。

サーバタイプ

サーバタイプのRPAは、サーバ上でRPAを稼働するため、複数のパソコンを管理・運用できるのがメリットであり、デスクトップ型より複雑な処理に適しているといった特徴があります。

初期費用から運用上のコストまで高額になってしまうことが多いですが、自社のサーバで運用するので、高いセキュリティを維持できる点も強みです。

また、デスクトップ型の場合、使用パソコンの環境によって動作がスムーズにいかない場合がありますが、サーバタイプはスペックとストレージ容量が十分確保されているので、そういった心配はありません。

クラウドタイプ

クラウドタイプは、インターネット上のクラウドサーバで稼働するタイプで、サーバ上に環境を構築したりソフトウェアをインストールしたりする必要がありません。導入費用や時間も大きな負担がないことから、技術的に不安を抱えている企業におすすめです。

さらに、プログラミング知識を保持していなくても管理がしやすいタイプなので、IT人材不足の企業や中小企業に向いています。最新のバージョンアップも自動的におこなわれるため、データ更新に手間がかからないこともメリットの一つです。

RPAツールは全3種類!それぞれの特徴や違い・選ぶ際のポイントを徹底比較

RPAが注目されている理由

RPAが注目されている理由としては2つの背景があります。以下では具体的にどのような背景があるのかをご紹介するので参考にしてみてください。

働き方改革の推進に有用なため

近年、政府は働き方改革を推奨しており、その中でもとくにRPAの自動化に注目が高まっています。理由としては、繰り返し業務をRPAによって自動化ができると、従業員の業務負担を軽減できるだけでなく、仕事へのモチベーションやエンゲージメントの向上にもつながるからです。

このようにRPAの導入は、従業員の業務負担軽減やコア業務へのリソースを確保できるため、働き方改革の後押しにもなっています。

人材不足を解消できるため

少子高齢化により労働人口の不足が問題視されている日本ですが、RPAはこの人手不足をカバーしていくための有効な手段として期待が高まっています。

ロボットであれば24時間365日稼働が可能なので、夜間稼働ができたり、繁忙期などによる人材確保をする必要がなくなったりするため、時間的コストだけでなく人的コストの削減も可能です。

このように、限られた人材で企業が事業継続・成長していくためにもRPAは欠かせないツールとなっています。

RPAのメリットとデメリットを把握して導入しよう

人手不足や働き方が多様化する現代では、RPAの導入により、業務効率や人手不足の問題を改善しようと取り組む企業が増えています。

しかし、RPAの得意ではない業務でロボット化しても作業効率が見込めない、コストだけがかかってしまうといったことになりかねません。費用対効果を高めていくためにもRPAのメリット・デメリットをしっかりと把握することが大切です。

今回ご紹介したRPAの特徴と導入手順を参考に、自社の業務内容に適したサービスを導入していきましょう。

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