RPAとスクレイピングの違いとは?それぞれの特徴と活用例を紹介

最終更新日時:2023/04/12

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RPAとスクレイピングの違い

Webマーケティングを行う上で必須の業務とも言える競合調査。しかし、Web上から膨大なデータを人が処理することは非効率的です。そこで本記事では、Web上の情報収集を効率化するスクレイピングという方法について、メリットやRPAとの違いを徹底解説していきます。

スクレイピングとは?

スクレイピングとは、Webサイトから情報を抽出し、分析や加工をおこなうことで新たな情報を生み出す技術のことです。

一般的にはWebスクレイピングやデータスクレイピング、Webデータ抽出ともいわれています。「スクレイパー」と呼ばれているスクレイピングをおこなうプログラムは、「クローラー」がWebサイトの情報取得までなのに対して、取得した情報を分析・加工できる状態にするのが特徴です。

しかし、スクレイパーとクローラーの違いに明確な定義はなく、同じ意味で扱われることもあります。また、スクレイピングは自由におこなえるわけではなく、以下の点により違法になる可能性があるため、注意が必要です。

  • Webサイトが利用規約でスクレイピングを禁止している
  • 業務妨害罪にあたる可能性がある
  • 著作権や意匠権などの権利を侵害している
  • 個人情報保護方針や情報管理規則を遵守していない

スクレイピング活用の具体例

スクレイピングの主な活用例は以下の通りです。WebサイトやSNSなどから情報を集めてそれらをまとめるなどといったことが挙げられます。

マーケティング活用

スクレイピングを利用して、展開している事業に関する情報をWebサイトから定期的に収集し、確認することができます。マーケット情報を自動で定点観測することによって市場予測がしやすくなり、顧客ニーズの把握などを、効率的かつ効果的におこなうことが可能です。

他にも、オークションや株価など、相場の価格変更をリアルタイムでトレースすることで市場予測したり、自社サイト・サービスの検索順位の情報を得ることで、SEO対策にも役立ったりします。

業務効率化

スクレイピングは、SNSから特定の検索情報を自動で収集し、自社のWebサイトやサービスへの評価を集めて反映させることで、自社と顧客とのエンゲージメントを高めることも可能です。

情報を収集する作業自体は手動でもおこなえますが、膨大な工数がかかって貴重な人材の手をとられるため、現実的には不可能でしょう。そのため、企業の生産性向上にスクレイピング導入による業務効率化は欠かせないといえます。

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新規事業・サービスの開発

企業はスクレイピングを利用して、Webサイトから得た情報やデータを元に新規事業やサービスを開発することが可能です。

また、スクレイピングを実装させてWebサイトの情報を定期的に収集し、反映させるアプリやサービスなどの開発も進んでいます。

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スクレイピングとAPIの違い

スクレイピングは、WebページのHTML構造を解析して情報を抽出するのに対し、ソフトウェア機能を共有する仕組みを持っているのがAPIです。

ソフトウェア開発者からは外部の第三者に向けて、機能の一部もしくはすべてが公開されているため、公開されている情報や機能については自由に取得できます。

また、スクレイピングはWebページの管理者から事前に許可を取らなければなりませんが、APIは事前に許可されている状態となっているので、許可手続きが必要ないという特徴があります。

RPAとスクレイピングの違い

RPAとスクレイピングの違いとしては、抽出方法が挙げられます。分析や加工がしやすいようにWebサイトから情報を抽出するという点では同じです。

具体的に、RPAはクリック&ペーストなどで実際の画面操作を記憶することにより情報を抽出しますが、スクレイピングはページのHTML構造を解析して情報を抽出するのが特徴です。

RPAはスクレイピングと違ってWebページのHTML構造を解析する必要がないため、プログラミングの知識がなくても簡単にパソコン操作を自動化することができます。また、操作の対象をソースコードを解析して認識するものもあり、クリック&ペーストでの画面操作と連携させることによる自動化が可能です。

ソースコードで認識すると、操作対象のページがデザイン変更した場合でも、ロボットが動作を停止することがありません。

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スクレイピングのメリット

スクレイピングのメリットには主に2つです。自社の目的と照らし合わせて検討してみてください。

APIよりも取得できる範囲が広い

スクレイピングはAPIよりも取得可能な範囲が広いという特徴があります。APIは外部の第三者向けに、機能や情報の一部またはすべてを公開している仕組みのことです。

しかし、公開されていない機能や情報は取得できないため、さらに広く情報を収集するためには、スクレイピングの利用が必要となります。スクレイピングはHTML構造が変わらない限り、定期的にWebページの情報取得が可能です。

スクレイピングで幅広くデータを取得することにより、経営戦略に役立つ情報も漏れなく把握できるため、人的リソースをより生産的な業務に割り振ることができます。

膨大なデータを処理可能

スクレイピングでWebページの情報を自動取得するようにしておくと、膨大なデータを処理することができます。

手作業だとWebページから一つひとつ情報を取得しにいかなければならず、手間と時間を考えると現実的ではありません。

そこで、スクレイピングを一度設定しておくことにより、膨大なデータ処理を自動的に実行してくれます。人の手が介入しないためヒューマンエラーの心配がなく、効率的かつ正確にデータの取得と収集、集計がおこなえるのは大きなメリットです。

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スクレイピングのデメリット

スクレイピングはメリットだけでなく、主に3つのデメリットもあります。デメリットについてもよく理解し、スクレイピングを効果的に利用しましょう。

Webサイトの影響を受けやすい

スクレイピングは、Webサイトの影響を受けやすいのがデメリットです。

データの取得方法がWebページのHTML構造解析であるため、WebサイトなどでHTML構造を変更した場合、スクレイピングが実施できなくなるため、それに合わせてプログラムを修正しなければなりません。

スクレイピングを利用してWebページの情報を取得しているだけであれば、それほど問題ではありません、しかし、スクレイピングで取得した情報を元にしてサービスを展開している場合、スクレイピングが停止すると自社のサービスも止まってしまう可能性があります。

そのため、スクレイピングを実施している先のWebページを随時チェックする手間と時間が必要です。

セキュリティ面でのリスクが生じる

スクレイピングはセキュリティ面でのリスクがあります。IDとパスワードによる認証が必要なWebサイトの場合、IDとパスワードを抜き取られて不正に利用される可能性があるためです。

スクレイピングは自動的におこなわれることから、情報を抜き取られていることにすぐに気付けないという恐れもありますので、セキュリティ面は十分注意しましょう。

違法になってしまう可能性がある

スクレイピングの使用が違法になってしまうかもしれません。APIではアクセスできない機能や情報を取得できるのがスクレイピングのメリットのひとつですが、スクレイピングを禁止しているWebサイトもあるためです。

そのため、あらかじめWebサイトの利用規約などを確認し、不正アクセス禁止法に違反してしまう可能性があるかどうかをしっかりとチェックしておきましょう。

利用規約に抵触していなかったとしても、スクレイピングによってWebサイトに負荷をかけないように心がけることが大切です。

ほかにも、アクセス過多によって大きな負荷をかけてしまったり、頻繁にスクレイピングを実施することでWebサイトから目をつけられたりと、監視対象にされアクセスが拒否される可能性もあります。このことから、スクレイピングを使用する際には、違法になっていないかの確認もあわせておこなうとよいでしょう。

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スクレイピングをおこなう際の注意点

スクレイピングをおこなう際には。問題ないと思っていた行為も、過剰な負荷がかかっていたり、実は違法だったりなどといったケースになりかねません。そのため、スクレイピングをおこなう際にはしっかりと以下の点を確認しましょう。

  • アクセス先の負荷を考える
  • 利用先Webサイトの利用規約を確認する
  • 著作権や意匠権などの権利を侵害している
  • 個人情報保護方針や情報管理規則を遵守していない

アクセス先の負荷を考える

スクレイピングの使用により、アクセス先のWebサイトに負荷をかけないようにしましょう。スクレイピングを実施する範囲によっては、Webサイトに大きな負荷がかかってしまうためです。

その結果、他の訪問者の閲覧を妨げる恐れがありますので、十分気をつけてください。

利用先Webサイトの利用規約を確認する

スクレイピングをおこなうWebサイトの利用規約は、あらかじめ確認しておきましょう。

スクレイピングそのものに問題はありませんが、Webサイトの利用規約でスクレイピングが禁止されている場合、不正アクセス禁止法に引っかかってしまうためです。

また、利用規約上はスクレイピング実施に問題ないとしても、できるだけWebサイトに迷惑をかけないような実施計画を立てるようにしてください。

スクレイピングとRPAの違いを押さえておこう

膨大なWeb上のデータから情報を抽出し、分析や加工ができるスクレイピングは、非常に有効な手段といえるでしょう。

スクレイピングを活用することで、有益な情報を活用して事業の改善やビジネスモデルの転換、新サービスの開発などをおこなうことが可能です。

スクレイピングとRPAの違いを押さえ、ツールを効率的かつ効果的に利用してください。

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