DXとAIの関係について!AI導入がDX推進に重要?活用事例も紹介

2022/5/21 2022/06/06

DX

DX

人工知能・AI

DXにおいて、AIが重要なテクノロジーの一つであることは事実です。しかし、AIを導入してしまえば、DXの本来の目的が達成されるというものではありません。AIによるメリットを最大限に享受するには、DXにおけるAIの役割や活用方法を理解する必要があるでしょう。ここでは、DXとAIの違いや関係性、DXにAIを活用した事例をご紹介します。

DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、そもそもスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が、2004年に論文内にて提唱した概念です。

その内容とは、「進化し続けるテクノロジーは、やがて人間の生活に何らかの影響を与えることになる。その結果、人々の生活は、より便利で快適な方向へと変化する」というものでした。

このような概念をもとに、ビジネスシーンにおけるDXとは、IT技術によって、業務や業務フローを抜本的に見直すだけでなく、既存の商品・サービスへのIT技術の導入により、よりよい価値や利便性の提供を目指し、ビジネスモデルの変革を実行する取り組みとして捉えられています。

DXの重要性

近年、DXが重要度がより高まる傾向にある理由の一つとして、「2025年の崖」が挙げられます。

2025年の崖とは、経済産業省が発表した「DXレポート」内にて言及された、企業におけるDX化が推進されなかった場合に引き起こる、さまざまな課題を表す言葉です。

政府は、この2025年の壁において、国内企業のDXが依然として実現できなかった場合、企業の優位性や競争力が著しく低下することで、最大12兆円(年間)の損失が出ると予測しています。

2025年を待たずとも、日本は既にDXへの取り組みや、データの活用といったデジタル競争において世界に後れをとっている状況にあり、今後は、より迅速なDX推進が求められている現状にあるのです。

2025年の崖とは?経産省のレポートの要点やDX推進のシナリオについて

AIとは

AI(人工知能)とは、IT技術を用いて、学習・思考・判断といった人間の知的な意志決定プロセスを人工的に再現したコンピューターシステムです。

つまりAIは、膨大なデータから特徴や規則性を見出すだけでなく、そのような分析結果を学習することで、人間の指示を待つことなく、独自の判断ができるシステムなのです。このようなAIの技術は、音声アシスタント機能を搭載したスマートスピーカーや、ロボット掃除機など、日常の身近な製品へも搭載され、日々実用化が進んでいます。

ただしAIには、はっきりとした定義があるわけではなく、現時点で、完全に人間と同様の知的な判断や活動ができる状態には至っていないため、未知の領域が多々残された技術であるともいえます。

AI活用で実現すること

先端IT技術として多くの可能性を秘めたAIは、新しい価値の創出や業務の自動化による人的リソースの最適化など、DXの目的を達成するための一手段として有効であることは間違いありません。

しかしながら、AI技術を導入したからといって、企業や組織のDXが完結するわけではありません。特に、AI技術の活用には専門的な知識が必要なため、具体的なビジョンを持って進めることが重要です。

ここでは、AI技術が「得意とする分野」と、その技術によって実現できることについて、詳しく解説します。

ルールに基づいた単純作業

AIの特徴は、「学習ができること」ではありますが、もちろん、規則性のある単純作業も得意な分野の一つです。

文字や数値のコピペ、入力項目のチェックなどは、AIに作業のロジックをインプットすることで、人間がおこなうよりも効率やミスの軽減において、高い生産性を確保することができます。

データ解析による未来の予測

AIが最も得意とする分野であり技術の真価ともいえるのが、蓄積された膨大なデータの解析と学習による「予測」です。

たとえば、オンラインショップなどで表示される「おすすめ商品」や「類似商品」は、AIが複数データから抽出した共通点をもとに表示されています。

また、未来予測の機能についても、先にお伝えした「タクシーの需要予測」だけでなく、「飲食店の来客予測」、小売業にける「需要予測による自動発注」など、さまざまな業界にて、すでに実用化は進んでおり、売上の向上はもちろんのこと、リスク回避や業務の効率化などに役立っています。

画像や音声等のデータの認識

音声認識とは、AIが人間の声を文字として認識し、その発言内容を判断する技術のことです。実用例としては、音声認識による「文字起こし」機能のほか、家電や携帯電話などを声で操作できる「音声アシスト機能」として、すでに身近に利用されている方も多いのではないでしょうか。

ただし、この音声認識には、スピーカーにおける「大人と子供の区別」や「感情の判別」など、人間中心のアプローチの面で、いくつかの技術的な課題を抱えており、今後も技術の進化が待たれる分野であることも事実です。

そのほか、画像認識の精度については、AI技術の根幹でもある機械が自ら学習する機能である「ディープラーニング」の進化によって、すでに人間の能力を超えるレベルに達しているといわれており、産業界での実用化が拡大しています。

DXで重要なデータ活用とは?必要な理由や効果・活用方法を解説

DXとAIの関係性

AIは、DXの目的を達成するための選択肢として、業務の改善、また、新しい価値の創出において、有効に活用したいIT技術です。

ただし、DXを実現する過程においては、AIだけでなく、クラウドやIoT、5G、モバイル、BIといった、さまざまなIT技術やサービスを複合的に活用し課題の解決を図る必要があります。

DX実現とAIが、密接な関係にあることは事実ですが、AIはあくまでDXを推進するための一つの手段にすぎません。DXは、AIに限らず、多様なIT技術の活用によって達成される点を理解しておく必要があります。

DXにAIを導入する際のコツ

次に、DX実現に向け、実際にAIを導入する際のコツをご紹介します。

(1)目標を明確化させる

DXを実現させるためにAIを導入する目的やゴールは、具体的でなければなりません。

AIの導入に限らず、DX推進に向けた業務や組織の改革は、どれだけ入念に事前準備をしていても、実行時には、大なり小なり混乱が生じてしまうものです。そのような局面を乗り切るには、全社員の協力が必要となります。

そのため、デジタル技術の活用によって、どのような事業の転換を図り、どのような状態を目指すのかといった目標については、明確化するのはもちろんのこと、経営陣やマネジメント層だけでなく、全社員への共有を徹底することが重要です。

(2)データの信頼性を保証できる取り組みをする

AIによる画像・音声認識の精度は年々高まっていますが、その精度には、いまだバラツキがあることも事実です。

例えば、画像認識において、顔認証システムや、自動運転などに利用される障害物や歩行者の検知といったシステムでは高い精度が認められている一方で、画像内のテキストを読み取る「文字認識(OCR)」の技術については、人の判断力と比べ、未だ品質が低い傾向にあります。

そのため、AIが認識したデータについては、データの信頼性を保証するための、指標や基準の設定など、仕組みづくりも大切です。

(3)AI人材の育成体制を構築する

AIの導入・活用には、先端IT技術に対する深い知見を持ったAI人材が必要不可欠となります。ただし、ここで注意したいのが、AI技術の有効な活用方法は、企業によって異なるため、それぞれの企業に適した人材が求められる点です。

そのため、AI人材には、IT技術に関する知識だけでなく、自社事業や市場のトレンド、自社のリソースに対する理解も必要です。

人材の育成は、一朝一夕に実現できる取り組みではありませんが、自社に合った人材を明確化しておくことは、長期かつ継続した人材の確保や教育体制の構築に大いに役立ちます。最適なAI人材像を想定しながら、社内で育成体制や教育フローを少しずつ整えていくようにしましょう。

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AIでDXを推進していく際の注意点

DX推進にAIを導入する際には、注意しなければならない点もあります。

ここでは、AI導入における把握しておきたい懸念事項として、3つの注意点を詳しくご説明します。

(1)データに偏りがあるとバイアスがかかる

AIは、当然ながら設定されたデータをもとに分析をおこないます。

そのため、データに偏りがあれば、AIの学習内容も偏り、AIが分析するデータにもバイアスがかかってしまいます。そのため、AIに学習させるデータには、合理的な分析結果となるよう、ある程度の母数が確保できるデータを使用するなど、一定の基準のもと運用することが重要となります。

(2)AIの判断が絶対ではないことを理解する

アメリカでは、警察の捜査活動に、すでにAIの顔認識技術が導入されています。しかし、AIの顔認識の誤りから誤認逮捕が発生した事例や、不完全な画像を使用して顔認識をおこなっていた事例など、技術の精度だけでなく、運用面における問題点も次々に浮き彫りとなりました。

実際に、このような課題から、カリフォルニア州サンフランシスコ市では、警察などによる顔認証技術の利用を禁止するといった動きも見え始めています。

そのため、AIの分析結果や予測は、100%の確証が得られるものではなく、あくまで合理的な判断を下すための一つの要素であると考える、運用する側の認識が必要となります。

(3)個人情報の流出等プライバシーの問題

AIの活用方法の一つには、各ユーザーの登録情報をもとに最適な広告を表示したり興味を予測したりするといった、マーケティング活動の効率化が挙げられます。

しかし、膨大な個人情報を保有しているにもかかわらず、ソフトウェアの欠陥により個人情報流出の危険にさらされた企業も存在します。

膨大かつ重要な個人情報を1つの企業が保有することに対する懸念もありますが、万全かつ高度なセキュリティ体制の構築や、情報を扱う社員におけるセキュリティーに関する高い意識と知識は、そもそも個人情報を扱う企業としての絶対条件であるともいえます。

また、プライバシー性の高い情報をデータ分析に活用する際は、事前にユーザーの許諾を得るといったルールの策定も必要です。

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DX推進にAIを活用した3つの事例

AIを導入したことでDX推進を実現した成功事例をご紹介します。

(1)LINE Score

「LINE Score」は、属性に関する質問やLINE上での行動を分析することで、各ユーザーの信用スコアを自動的に算出するサービスです。

算出されたスコアは、特典やクーポンなどのサービス提供に活用されるだけでなく、ローンの申し込み時にも利用されます。スコアリングによる貸付ビジネスの新規立ち上げは、DX推進に向けたAIの有効活用といえるでしょう。

(2)ファンケル

化粧品や健康食品の製造販売を手掛けるファンケルは、従来、使用していたOCRにAIを導入することで数字だけでなく、「手書き文字の読み取り」ができるようシステムを改善しました。これによりハガキやFAXでおこなっていた受注業務の約50%を効率化、大幅な業務時間の短縮に成功しています。

また、処理時間が短縮できたことから、受注業務における人員の見直しなど、コストの削減も実現しています。

(3)AIチャット

県内産業のDXを支援する「佐賀県産業スマート化センター」を設立するなど、県内企業ののDX化にに向けた取り組みを積極的にサポートしている佐賀県庁では、庁舎内の業務にもIoTやAIといった、先端IT技術を導入し、業務の効率化を図っています。

チャットを提供している佐賀県には、DX推進センターを設けている佐賀県庁があり、庁内にもAIシステムを取り入れています。

その一つが、AIチャットボットによる問い合わせ対応の自動化です。このチャットボットサービスは、場所を問わずWebから利用できるだけでなく、24時間対応可能なことから、職員の業務負担軽減だけでなくサービスの向上も同時に実行しています。

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DXにおけるAI活用は飛躍的成長の鍵となる

ここでは、AIとは何かといった基礎知識のほか、DX推進におけるAIの役割や実際の活用事例などをご紹介しました。

新しい価値の創出だけでなく、マーケティングの効率化や顧客体験の向上などの領域においても、有効な実用性を持つAI技術は、導入によって、企業が飛躍的な成長を遂げることのできる可能性を秘めたテクノロジーでもあります。

しかし、DXにおいて大切なのは、AI導入を目的・ゴールとするのではなく、デジタル技術を活用することより、どのようなビジネス変革を実行するのかといった目標を明確に持つことです。

AIは、あくまでDXを実現するための一つの手段にしかすぎないということを忘れず、デジタル技術の複合的な活用を実行して、DX本来の目的である、ビジネスの変革による企業優位性や競争力の強化を実現しましょう。

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