DXとテレワークの関係性とは?よくある課題や推進ポイントを解説

最終更新日時:2023/05/12

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DXとテレワークの関係性とは

近年急速に広まっているDX。DXに向けて多くの企業がテレワークの導入を検討していますが、未だ多くの企業がテレワークを実践できていないのが実態です。本記事では、そんなDXとテレワークの関係性、導入する際の課題や推進ポイントなど詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

近年、大企業を中心に急速に広がっている「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」とは、新しいデジタル技術を活用して既存のビジネスのモデルから脱却し、日々の生活や業務をより豊かに快適にしていくことを意味します。

アナログな方法を脱却して、新しいデジタルツールを積極的に取り入れていく動きは今後も多くの企業に必要とされる動きとなります。重要なのは、ただデジタル化すれば良い、ということではなくデジタル化を通して、良い結果に繋げるための変化であるということです。

DXとテレワークの関係性について

DXを推進していく上で欠かせない要素の1つがテレワークの推進です。昨今の柔軟な働き方を実現するテレワークによって多くのデジタル化が実現し、企業にとってのDXも大きく前進するでしょう。

テレワークでは、出社する場合と比較した際に、対面でのコミュニケーションや業務遂行が難しいため、多くのデジタルツールやシステムを活用することが不可欠であり、結果的にDX推進に貢献するケースも少なくありません。

そして、コロナウイルスの流行により、DXを推進する重要性やテレワークという働き方に急速に注目が集まり、世界中の多くの企業によって推進されているのです。

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DXに向けたテレワーク導入における課題

日本のテレワークの普及率はコロナウイルスの流行によって上昇したものの、未だ高い数値とはいえません。ここからはDXの推進におけるテレワークの推進を阻む企業の課題について説明します。

テレワークでできる業務が少ない

まずは挙げられる課題として、テレワークでできる業務の少なさが課題となります。具体的には複数かつ対面の会話が必要とされる販売や接客・運送などの業務や、個人情報などを扱う兼ね合いでセキュリティレベルの高い業務、社内決裁や承認をペーパー及び捺印作業を通す必要がある場合の業務を指します。

対面の会話を必要とする営業や販売・接客の場合、デジタル化を推進したり、新しいシステムを導入することで解決できるものもありますが、パフォーマンスが落ちる可能性が高くなります。

社内承認もペーパーレスに移行させるためのシステムやフローの見直しを行う必要があり、簡単に今までのハンコ文化を脱却することができない企業が多いのが実態です。

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コミュニケーションの希薄化

次に、「コミュニケーションの希薄化」という課題があります。メインのコミュニケーションはチャットやメールになり、会話も電話もしくはオンライン会議に変化するため、対面で仕事をしている時には気軽にリアルで質問することができた小さな疑問や、世間話のような相手との仲を深める雑談のようなコミュニケーションは取りにくくなってしまいます。

小さな疑問の発生はいずれ大きなトラブルになることも珍しくありません。疑問や違和感を即時解決出来るようなコミュニケ―ションをテレワークでいかに実現できるかが多くの企業にとって課題となります。

複雑化した勤務状況の把握

社員それぞれが今何をしているのか、対面で出社していれば簡単に把握できることが、テレワークとなれば急激に不透明になります。ミスを起こして悩んでいるかもしれないし、分からないことがあって質問をするかどうか迷っているかもしれません。

そういった個人の行動や感情を把握することが簡単にできなくなるため、勤務状況が具体的に掴めなくなってしまいます。また勤怠に関しても、当然出社をしていないので、目視では確認ができず、勤怠管理システムなどを駆使して、社内ルールを整備した上で従業員の勤怠状況を正しく把握・管理することが求められます。

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適切な人事評価が難しい

勤務状況の確認が難しくなるにつれて、人事評価も複雑になります。今までは、勤務態度や成果に到達するまでのプロセスも含めて総合的に評価していた部分が、なかなかプロセスを確認することが難しいので結果重視の人事評価になってしまうでしょう。

しかし、結果だけでなく、もちろん業務のプロセスなども踏まえて最適な人事評価を実現しないと社員からは不満が出てしまうでしょう。

テレワークにおいては、コミュニケーションやシステムを駆使して、適切に業務のプロセスを把握し、人事評価に組み込める体制を構築することが非常に難しくなってしまうのです。

認識のズレが起きやすくなる

テレワークにおけるよくある課題として、社員1人1人の認識のズレが発生しやすくなることが挙げられます。テキスト中心のコミュニケーションに慣れていないと、業務の指示に対する認識のズレやコミュニケーションの行き違いがチーム内でも起きてしまうことが少なからずあるでしょう。

特に、リスクに対しての捉え方に違いが生まれる危険性があり、「表情や雰囲気を察して対応する」ということが出来なくなるため、トラブルが発生してしまう可能性が高くなります。

また、正確な認識が出来ていないまま業務に取り掛かってしまうことで、本来出せていた成果が出せなくなってしまったり、得られる評価を失ってしまう社員も出てきてしまう可能性があります。

脆弱なセキュリティ

最後に解説する課題は、セキュリティの脆弱性です。自宅のネットワークは会社で使用するものよりもセキュリティが脆弱なケースが多いです。ウイルス感染を引き起こしたり、社内の機密情報が流出してしまっては全社を巻き込む大きなトラブルとなります。

顧客の個人情報を扱うケースや、会社にとっての機密情報を扱う業務に携わる人をテレワークに切り替えられず、やむを得ず出社を続けている企業は数多く存在しています。

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DXに向けたテレワークの推進方法について

本来沢山のメリットをもたらすテレワークをなかなか推進できない会社が多いのが現状です。実際、企業のテレワーク実施率は2021年3月時点で大企業69.2%(※)、中小企業33%(※)と大企業に比べて中小企業はまだまだテレワークの推進ができていません(※総務省「情報通信白書令和3年版」より)。

DXに向けたテレワーク導入における課題を踏まえて、どのようにテレワークを推進していけば良いのかという疑問を解決すべく、まず実践すべき3つの方法を解説していきます。

ペーパーレス化を進める

1つ目の方法として、書類の電子化・ペーパーレス化は最も先に手を付けるべき重要な施策です。押印するために会社に出社したり、紙の書類を保管する空間も必要なくなります。

ペーパーレスに以降するために、電子契約サービスやオンラインストレージといったシステムを導入し、書面で実施・管理していた作業をデジタル化することで、業務効率の向上や事務所の省スペース化、無駄なコストの削減を図ることができます。

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コミュニケーションツールを導入する

2つ目の方法として、ビジネス用のコミュニケーションツールを導入することが非常に重要です。前述した通り、離れた場所で仕事をするため円滑な今まで通りのコミュニケーションができないことがテレワークの障壁になりがちです。

ビジネス用のコミュニケーションツールでは、従来のメールや電話とは異なり、会話のようなコミュニケーションをテキストで実現でき、ビジネスのスピード感を低下させないという大きなメリットがあります。

さらに、ビジネス用のコミュニケーションツールには便利なタスク管理機能や組織に合わせた運用が可能なグループ作成機能・権限機能、さらには感情を表現しやすいリアクション機能なども実装されているので、チームとして業務を円滑に進めていく上で非常に役立ちます。

勤怠管理システムを導入する

3つ目の方法として、勤怠管理システムを導入することが挙げられます。オフィスに出勤しなくても、自宅でPCやスマートフォンから勤怠打刻が可能であり、さらに社員の休憩時間や残業時間もシステムで自動的に管理することが可能です。

出社の場合にはタイムカードや目視で確認できた勤怠状況も、テレワークではもちろん不可能です。とはいえ、従業員の勤怠状況を適切に把握し管理することは企業における義務でもあるため、勤怠管理システムの導入が非常に重要になります。

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DXに向けてテレワークを導入する際のポイント

ここまで、DXに向けてテレワークを導入する課題・推進方法について解説してきました。ここからは、実際にテレワークの導入に向けて推進する際のポイントについて解説していきます。

自社に適したツールを導入する

1つ目のポイントは、自社に適したツールであるかどうか、見定めて導入するということです。使いこなせないシステムをいくら導入してもテレワークの導入は推進できません。

自社のテレワーク導入における課題やボトルネックは何か、どのようなツールを導入すれば解決できるのかという観点で適したツールを選ぶ必要があります。

同時に、本当に従業員がツールを使いこなせるのかについても考慮する必要があります。デジタルツールについてあまり詳しくない社員が多い会社であればなるべくシンプルなものを導入する、逆に得意な社員が多いのであれば、より生産性を高める多機能なツールを導入するといった自社の状況や特性に合わせて選択することが重要です。

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ITリテラシー教育を実施する

2つ目のポイントは、従業員に向けてのITリテラシーを向上させる教育体制も同時に構築していくことです。社員は日々の業務に追われて自分のITリテラシーを高める動きを取れない可能性があります。

また、テレワークやDXの推進に伴って利用するデジタルツールの数が増えたり、機能が複雑になってくることも予測されます。

そのため、会社として従業員に対してITリテラシーを高めるために内部研修、あるいは外部のリソースやサービスを活用した教育体制を構築し、実践していくことで、中長期的にDX化に向けて強い組織に成長させることができるはずです。

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進捗状況を常にチェックする

3つ目のポイントは、テレワーク導入の進捗状況を常にチェックし、現状を把握することです。導入時に高い温度感で進められていたことも、時間が経てば優先順位が下がってしまったり、個人やチーム、部門ごとで浸透度合いに差分が出てきます。

そのため、チームや部署の責任者、あるいはテレワーク推進プロジェクトのリーダーなどが常に進捗状況を確認して状況を把握する必要があります。

重要なのは、進捗が遅れている部門やチームをきちんと認識した上でフォローアップを行うことです。スムーズにテレワークが推進できているチームからその要因やコツなどのナレッジを共有することも重要です。

社内制度やマニュアルを整える

最後のポイントは、社内制度やマニュアルをテレワークに対応したものに整備することです。テレワークを推進していく上で、出社する場合と比較して業務フローや勤怠管理、稟議の承認やミーティングの実施方法などあらゆる変化が発生します。

もちろん最初は手探りな状態で進める形になりますが、できる限り早急にテレワークに対応した社内制度や業務マニュアル、業務フローを整備することが重要です。

テレワークにおいては、今までのように現場で間違いを指摘してすぐに修正するといったことが難しいため、従業員の認識違いやミスの発生をできる限り防ぐためにも、わかりやすいマニュアルや社内制度を整えましょう。

一度ある程度整えられれば、従業員からの同じような問い合わせに人が対応する必要もなくなるので、非常に楽になります。

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テレワークの導入で必要な3つのセキュリティ対策

本記事では、テレワークを導入するにあたって課題の1つにセキュリティの脆弱性について触れました。テレワークにおいて、セキュリティ対策は会社として非常に重要な部分となるため、3つの観点からセキュリティ対策を解説します。

1.物理的なセキュリティ管理

社内パソコンやタブレット・機器を自宅から持ち出す際に、紛失・盗難・破損するケースが考えられます。紛失・盗難の場合は、見知らぬ第三者が機器にアクセスする可能性があるので、必ずパスワードでロックしておくことが重要です。

会社としては、きちんとルールを制定しておくことで防ぐことのできるケースが多いので、以下のようなルールを制定し、従業員全体に周知することを徹底しましょう。

  • パソコン/スマートフォンには必ずパスワードでロックをかける
  • パソコンの入った鞄を自分から離れた場所に置き去りにしない

また、万が一紛失・盗難にあった場合は、早急に会社に連絡し、対応する必要があります。従業員が多く、会社貸し出しの機器が多い場合は、会社側で個別のデバイス管理が可能なツールの利用も検討するべきでしょう。

2.ネットワークセキュリティの管理

物理的なリスクだけではなく、ネットワーク環境におけるセキュリティ対策も行う必要があります。ウイルス対策ソフトを導入したり、セキュリティが弱いフリーWi-Fiへの接続を禁止するルールを制定するようにしましょう。

最悪の場合、端末を乗っ取られてしまったり、社内の機密情報や個人情報が流出してしまうと全社を巻き込む大きなトラブルや社会的な責任も問われる場合もあります。

3.働く場所に関するセキュリティ管理

テレワークを実施する場所についてもセキュリティの観点で注意が必要です。自宅であれば問題ありませんが、カフェやコワーキングスペース、移動の電車やタクシー内などで業務を行う場合、周囲にどんな人がいるのか分からないという意識を常に持っておくべきです。

横目でパスワードを見られたり、業務で扱う個人情報などの機密情報をのぞき見されるリスクは十分にあります。証拠も残らないので、犯人の特定も難しいケースが多いです。どうしても外出先で業務を行う必要がある場合は、周囲に目を配り、のぞき見防止シートを使うなどの対策をしましょう。

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DX推進には不可欠なテレワークを推進しよう

DXに向けたテレワーク導入に関しての課題・メリットや注意すべきポイントについて説明してきました。テレワークは優秀な人材の確保や社員のワークライフバランスを守る、そして新しい働き方へと対応していくためにも今後ますます重要視される勤務形態です。

本記事で解説した内容を踏まえて、DX推進を見据えた働き方改革の一環としてテレワークの推進に注力してみてはいかがでしょうか。

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