見積書・納品書・請求書・領収書の違いとは?4大書類の役割について
見積書・納品書・請求書・領収書は4大証憑書類と呼ばれています。この4つの書類は役割や目的が異なるため、違いを理解しなければ適切な処理ができません。この記事では、4つの書類の役割と違い、取り扱い方法や代替可能な場合を解説しています。
目次
請求書・見積書・領収書・納品書の役割
請求書・見積書・領収書・納品書の役割について解説します。請求書・見積書・領収書・納品書は4大証憑書類と呼ばれており、企業間の取引に必要です。
- 請求書は取引完了後に料金回収をするための書類
- 見積書は契約前の合意形成のための書類
- 領収書は債務支払いが終わっていることを証明する書類
- 納品書は契約で取り決めたサービスを提供したことを証明する書類
(1)請求書は取引完了後に料金回収をするための書類
請求書は取引完了後に料金回収をするための書類を指します。納品と同時か、または納品完了後に請求するのが一般的です。
掛売方式と都度方式の2種類があり、掛売方式は締め日を設定し、月に一度請求書を発行する方式です。同じ月の複数取引をまとめて請求したい場合や、毎月定常的な取引がある場合に用いられます。
都度方式は、取引が発生する度に請求書を発行する方式です。単発の取引や代金を早く回収したい場合に用いられます。
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(2)見積書は契約前の合意形成のための書類
見積書は契約前の合意形成のための書類です。取引条件に認識の齟齬がないか依頼主と契約前に確認し、合意形成します。具体的には、取引するサービスや商品の名称・数量・単価・合計金額・納期・納品方法などを確認します。
見積書は企業間の取引において最初に発行される帳票書類です。取引条件の認識の齟齬によるトラブルを防ぐほか、依頼主が商品やサービスを選定をするうえでの比較材料ともなります。
(3)領収書は債務支払いが終わっていることを証明する書類
領収書は債務支払いが終わっていることを証明する書類です。納品者が確実に代金を受け取ったことと、依頼主の債務支払いが終わっていることを証明します。そのため、領収書は必ず入金を確認してから発行するようにしましょう。
また、業務上必要なものを立て替えて購入した場合など、経費精算をおこなううえでも必要な書類です。
(4)納品書は契約で取り決めたサービスを提供したことを証明する書類
納品書は契約で取り決めたサービスを提供したことを証明する書類です。納品物の内容・数量・金額・納品日などを記載し、契約時の納品物が届いているかを確認するために送付します。
納品書の主な役割は、依頼主を安心させることです。発行義務はありませんが、取引上のトラブル防止や、依頼主が納品物を確認しやすくするために発行されます。
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請求書と見積書・領収書・納品書の違い
請求書と見積書・領収書・納品書の違いについて解説します。この4つの書類は発行する目的やタイミング、記載内容が異なるため注意が必要です。
- 発行するタイミング
- 発行の目的
- 記載内容
(1)発行するタイミング
仕事の依頼を受けてから契約が成立する前に発行します。
納品書は、商品やサービスを納品するタイミングで発行します。現物がある場合は商品と一緒に郵送し、ない場合は別途送付をおこないます。
請求書は、商品やサービスの納品と同時、もしくは依頼主の納品確認が取れた後に発行する書類です。発行タイミングは、締め日を設定し、月に一度請求する「掛売方式」と、取引のたびに発行する「都度方式」の2種類があります。
領収書は、代金を受け取った後に発行する書類です。取引が完了した証明になる重要な書類なので、入金前に発行しないようにしましょう。
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(2)発行の目的
見積書は取引内容について、企業間の認識を揃えるために発行する書類です。認識の齟齬によるトラブルを未然に防いだり、依頼主が商品やサービスを選ぶ検討材料にしたりします。
納品書は、納品内容の確認や、納品したことを証明するために発行する書類です。納品物の内容・数量・金額・納品日を明記することで確認しやすくなり、依頼主を安心させる効果があります。
請求書は、商品やサービスの納品後、依頼主に代金を支払ってもらうために発行する書類です。請求書を発行しないと代金が支払われないため、取引が完了しません。
領収書は、納品者が代金を受け取り、依頼主が確実に入金したことを証明するために発行されます。
(3)記載内容
記載内容については、依頼主の宛先や納品者の名称・住所・連絡先、発行日などは共通して必要な情報ですが、そのほかは書類ごとに異なります。
見積書では、依頼された商品やサービスの取引条件を依頼主に提示します。具体的には、取引するサービスや商品の名称・数量・単価・合計金額・納期・納品方法などがあげられるでしょう。また、見積書の内容がいつまで有効であるかを示す見積期限の記載も必要です。
納品書には、納品した商品やサービスの内容を記載します。納品物の名称・数量・単価・合計金額などが必要な情報です。
請求書は、依頼主に代金を支払ってもらうために必要な情報を記載します。具体的には、商品やサービスの名称・単価・数量・合計請求金額・振込先情報・振込期限があげられます。振込期限は依頼主の締め日に合わせて記載するのが一般的です。
領収書は、いくらの代金をいつ受け取ったかを証明する書類です。依頼主の宛先や納品者の名称・住所・連絡先、発行日など、他の資料と共通する情報のほかに、領収金額・但し書きを記載します。
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4大証憑書類の保管・取り扱い方法を解説
4大証憑書類の保管・取り扱い方法を解説します。請求書・見積書・領収書・納品書の4大証憑書類には保管義務があるため、しっかりと確認しておきましょう。
- 証憑書類の意味
- 証憑書類の保管には事前の申請が必要
- 証憑書類の保管方法について
(1)証憑書類の意味
証憑書類の意味ですが、証憑書類とは、ビジネスにおける取引があった証拠として扱われる書類のことです。請求書・見積書・領収書・納品書などの社外取引についての書類だけではなく、入金伝票・出金伝票・稟議書などの社内取引も対象となります。
法人の場合、法人税法施行規則により、基本的に証憑書類には7年間の保管義務が定められています。
(2)証憑書類の保管には事前の申請が必要
証憑書類の保管には事前の申請が必要です。証憑書類は紙での保管が原則ですが、保存要件を満たせば電子化しての保管が可能です。
また、以前は電子化にあたって、税務署長の事前承認が必要でしたが、2022年1月施行の改正電子帳簿保存法により、申請せずとも証憑書類の電子化ができるようになりました。
(3)証憑書類の保管方法について
証憑書類の保管方法についてですが、基本的に紙での保管が原則です。ただし、保存要件を満たせば、電子化しての保管ができます。また、2022年1月施行の改正電子帳簿保存法により、データでやりとりした証憑書類の電子データ保存が義務化されました。
▷請求書を発行する際に確認したいポイントは?注意点を解説!
納品書を領収書代わりに経理処理することは場合によって可能
納品書を領収書代わりに経理処理することは場合によって可能です。ここでは、領収書の代わりとして扱える書類や条件について解説します。
- 原則発行タイミングが違うので別に処理する
- 先払いの場合は代替できる
- 領収書代わりにするなら支払い明細書が適切である
(1)原則発行タイミングが違うので別に処理する
原則発行タイミングが違うので別に処理する必要があります。納品書と領収書には似たような内容が記載されていますが、入金前に発行された納品書では、代金の支払いが完了したことを証明できません。
納品書は、あくまで商品やサービスを納品したことや取引内容を証明する書類であり、代金の支払いを証明する領収書とは役割が異なります。したがって、納品書と領収書は別に処理することが必要です。
(2)先払いの場合は代替できる
先払いの場合は代替できることも把握しておきましょう。基本的には、納品書を領収書として処理できませんが、納品前に代金の支払いが済んでいる場合には「納品書兼領収書」として処理が可能です。納品書兼領収書を発行する際は、書類上に領収書である旨と、代金の支払いが済んでいる旨を記載しましょう。
(3)領収書代わりにするなら支払い明細書が適切である
領収書代わりにするなら支払い明細書が適切であるといえます。領収書の発行をしてもらえない場合、支払い明細書であれば領収書代わりにできます。たとえば、クレジットカードの利用明細書や銀行の振込明細書、レシート、通販などの注文確認メールなどが代用可能です。
▷請求書発行システムとは?導入するメリットやデメリットも解説
証憑書類の違いを理解して正しい処理を行いましょう!
証憑書類は、取引があった証明となる重要な書類のため、適切に作成・保管をする必要があります。
領収書と納品書には似たような記載がありますが、基本的に納品書を領収書としては処理できません。そのため、領収書が発行されない場面で領収書の代わりとして使える書類を覚えておくと便利です。
証憑書類それぞれの役割を理解したうえで、正しい処理を行いましょう。
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