請求書払いとは?メリット・デメリットや導入時の注意点について
主に企業間取引で利用されている請求書払い。取引数が多い企業では、取引の都度請求作業を行わなければならず、負担に感じている人も多いのではないでしょうか。本記事では、そもそも請求書払いとは何か、請求書払いのメリット・デメリットや導入時の注意点をあわせて解説します。
目次
請求書払いとは?
請求書払いとは一定期間の取引を請求書でまとめ指定日に一括して入金する後払い方式を指します。掛け払いや料金後払い・与信取引などとも呼ばれています。
一般的には、BtoBの取引で請求書払いが使われていました。しかし、企業間の信頼関係が成り立っていなければ、都度払いや前払いを活用しています。また近年ではECサイトでのコンビニ後払いなど、BtoC取引でも請求書払いが普及しつつあります。
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請求書払いのメリット
請求書払いには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、請求書払いのメリットを請求側と支払い側で解説します。
請求側のメリット
請求側における請求書払いのメリットは、主に3つです。
- 不要な作業を省けて請求作業を効率化できる
- 誤請求等のリスクを回避できる
- 取引先数の増加が期待できる
不要な作業を省けて請求作業を効率化できる
サービスの提供や商品を購入するたびに支払いが発生する場合、都度請求書の作成や入金確認をしなければならず非常に不便です。
しかし、請求書払いは請求書の発行や入金確認が一回でまとめて行えるため、取引のたびに発生していた支払い業務が不要です。そのため経理担当者の業務負担を減らし、請求作業の効率化が見込めます。
誤請求等のリスクを回避できる
誤請求などのリスクを回避できる点もメリットです。請求書払いは経理担当者の業務負担が減るため、人為的ミスが減らせます。誤請求が発生すると、取引先との信頼関係にも関わるためリスク回避できる点はメリットと言えるでしょう。
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取引先数の増加が期待できる
請求書払いを導入することで、取引先に決済方法を複数提示できます。より多くの支払ニーズに対応できるため、多くの企業との取引が期待できるでしょう。
支払い側のメリット
支払い側における請求書払いのメリットは、主に2つです。
- 入金作業の効率化につながる
- 資金繰りにゆとりができる
入金作業の効率化につながる
請求書払いは締め日にまとめて支払えるため、取引の都度入金する必要がありません。入金作業が効率化することで、経理担当者は別の業務に時間を使えるため人件費の削減にも効率的です。
資金繰りにゆとりができる
請求書払いは後払いになるため、資金繰りにゆとりができる点もメリットです。毎月決められた日にまとめて支払えるため、資金繰りの計画が立てやすくなります。また支払いをまとめることで、振込手数料の負担も軽減できます。
請求書払いのデメリット
請求書払いには、メリットがある一方でデメリットもあります。ここでは、請求書払いのデメリットを、請求をする側と支払いをする側で解説します。
請求側のデメリット
請求をする側における請求書払いのデメリットは主に3つです。
- 代金未回収のリスクがある
- 与信調査を実施しなければならない
- 入金消込への対応が求められる
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代金未回収のリスクがある
代金未回収のリスクは大きなデメリットです。請求書払いは後払いになるため、代金が未回収になると追加で回収業務を行うリソースが必要になります。悪質で督促状の発行など法的な措置が必要な場合は、より時間を使わなければならないでしょう。
また未回収代金の増加や貸し倒れが起こると、自社の資金繰りにも影響が出てしまい、場合によっては黒字倒産といった事態も引き起こしかねません。
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与信調査を実施しなければならない
代金未回収のリスクを回避するためには、取引先の与信調査が必要です。取引先に支払い能力があるか経営状況などから、自社で定めた基準に沿って審査します。
与信調査には時間と手間がかかるため、ノウハウがないと業務負担が大幅に増加します。さらに基準が高すぎると、取引先を逃しビジネスの機会を失う可能性もあるでしょう。
入金消込への対応が求められる
請求書払いでは、取引先の入金確認した代金を仕訳処理する入金消込が必要です。入金消込とは、未回収となっている代金を明らかにし売上を正確に計上するために必要な作業です。
取引先が多いと入金消込作業がその分増えるため、経理担当者の業務負担が大きくなり人的ミスの発生が起こる可能性も高まるでしょう。
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支払い側のデメリット
支払いをする側における請求書払いのデメリットは以下の通りです。
- 信用喪失のリスク
信用喪失のリスク
経理担当者のミスによる支払い忘れや資金繰りが間に合わず支払いの遅延が発生することで、信用を失う可能性があります。何度も支払い漏れが発生すると、最悪の場合には取引停止という事態にもなりかねません。
請求書払いの導入の流れ
業務を効率化するために請求書払いを導入したいと考えている場合には、どのような手順を踏めば良いのでしょうか。ここでは、請求書払いを導入する際の流れを解説します。
企業間の契約締結
請求書払いを検討している企業との間で、取引に必要な条件を擦り合わせ契約締結します。取引内容や納品日・支払い金額・支払い方法などを具体的に決めます。ここで具体的な取り決めをしておかなければ、後からトラブルになる可能性もあるため注意してください。
与信調査
取引先に支払い能力があるか自社が規定している与信基準で審査します。与信基準が低すぎると代金未回収のリスクが高まり、高すぎると取引先がクリアできず取引の機会を失う可能性があります。自社で判断が難しい場合は、第三者機関へ与信調査を依頼することも可能です。
与信基準をクリアできない場合は、前払い・都度払い・代金引換など請求書払い以外の方法を提示しましょう。
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与信枠の制定
与信調査で審査した内容をもとに、取引先の与信枠を制定します。取引先の支払い能力に応じて与信枠を制定することで、代金未回収のリスクが軽減できます。取引先の経営状況は変化するため、与信枠は定期的に更新することが大切です。
請求書の発行
納品が完了し、請求金額が確定したら請求書を発行します。請求書には、以下の7項目を記載してください。
項目 | 詳細 |
発行者名 | 発行者名と合わせて住所や連絡先も記載 |
発行日 | 請求書を作成した日ではなく、取引先と締め日を調整して記載 |
請求先 | 請求先の会社名・部署名・担当者名を記載 |
取引内容 | 取引のあった商品名・単価・個数・小計金額を記載 |
請求金額 | 取引金額・消費税などをすべて合算し、取引先が支払う金額を記載 |
振込先情報 | 振込先の金融機関名・支店名・預金種別・口座番号・口座名義を正しく表記 |
支払期日 | 契約時に取引先の締め日との兼ね合いで定めた支払い期日を記載 |
請求書払い導入時の注意点
請求書払いの導入には、いくつか注意点があります。ここでは、請求書払いを導入する際に注意すべきポイントを解説します。
印鑑の押印
請求書への印鑑の押印は、法律上義務付けられていません。しかし、取引先によっては印鑑がないと請求書が受理されない場合もあるため注意してください。
印鑑の押印された請求書は、正式な書類の証明になります。偽造を防ぎ取引先の信頼を高めるため、請求書には押印するのが一般的です。
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振込手数料の確認
振込手数料をどちらが負担するか、契約時に確認しておきましょう。振込手数料は支払い側の負担が一般的ですが、会社によって認識に差があります。トラブルを未然に防ぐためどちらが振込手数料を負担するか明確にし、請求書にも記載しておくと安心です。
与信管理は継続的に行う
取引先の経営状況は変化します。そのため一度与信枠を定めた企業でも、取引が発生している間は定期的に与信枠の更新が必要です。与信枠を管理しておかなければ、代金の未回収や貸し倒れなどのトラブルに繋がる可能性が高まります。
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請求書払いを理解し企業経営を円滑に行おう
請求書払いは、多くの企業間取引で用いられている支払い方法で、複数の支払い方法が提示できるため、取引先の増加や業務負担の軽減など請求側・支払い側それぞれにメリットがあります。
しかし、メリットだけではなく代金の未回収や支払い漏れの際には信用を喪失するなどのデメリットもあるので、それぞれを明確に理解しておく必要があります。
請求書のフォーマットや記載方法なども取引先の企業によって異なるので、請求書払いをしっかりと理解し業務に取り組んでみてください。
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