請求書はメールで送付してもOK?送る際の注意点やメール文例を紹介
請求書は郵送するのが一般的でしたが、リモートワークが浸透したこともありメールで送る機会が増加しています。本記事では請求書のメール送付について法律やマナーの観点から解説。また、メールで送る際の注意点やポイント、メールの例文を紹介します。
目次
請求書をメールで送付してもOK?
請求書は企業間の取引において書類で発行することが義務付けられていないため、法律上においてもメールで送付して問題ありません。在宅ワークやリモート勤務が増えている近年、請求書をメールやチャットツールを使用して送付する企業が多く存在しています。
ただ、取引先の中には取引が実際にあったか把握しづらいことから、原本でないと請求書を認めない企業も存在しています。請求書をメールで送付する場合は、あらかじめ取引先に請求書をメールで送付してもよいか、確認するようにしましょう。
▷【文例あり】請求書送付の依頼メールの書き方!文面やビジネスマナーも解説
請求書をメールで送付するときのポイント
請求書をメールで送付する際に気をつけておくべきポイントを2つ解説します。
件名やファイル名は請求書と判断しやすい名前にする
請求書をメールで送付する際は、「〇月分ご請求書のお知らせ」といったメールを受信した段階で、請求書であると分かる件名にしましょう。取引先が請求書と判断しやすいだけでなく、他のメールに埋もれてしまう可能性も低くなります。
添付ファイルも同様に「〇年〇月分(商品・サービス名)ご請求書」など、開く前に請求書だと分かるようにしておくことも大切です。受信側の手間を取らせずに、確実に請求書を送付する気遣いが必要です。
データはPDFにする
ExcelやWordで請求書を作成しても、メールで送付する際はPDFに変換しましょう。PDFは修正が難しく、改ざんの防止になります。また、受け取り側も見やすいため、印刷が容易なところもメリットです。
メールで送付する際は、誤送信やファイル流出の可能性も考慮してパスワードを設定しておくと、リスクを減らせます。また、メールを送付するパソコンの不正アクセス対策も行う必要があります。
メールだけでなく、インフラ全体のセキュリティ対策も併せて行っておくことを心がけましょう。
▷請求書をPDFで発行してOK?有効性や原本の扱い・送付する際の注意点
請求書をメールするときの文例
請求書をメールで送付する場合、適切な文章を記載する必要があります。会計ソフトを導入していると、あらかじめ適切な文章のテンプレートが用意されているため、作成する手間がかかりません。
また、以下の項目を記載する必要があります。
- 件名
- 宛先
- 作成者の情報と連絡先
- メールの要件
- 添付内容(ファイル名)
- 振込先
- 請求金額
- 支払い期日
これらの項目を記載したうえで、請求書送付時のメールで使える文例を紹介します。
(1)郵送で原本を送らない場合
郵送で原本を送らない場合の文例は以下のとおりです。
件名:「請求書」○月分請求書送付のご案内「作成者の会社名」 「取引先の会社名・担当部署・担当者名」様 平素は弊社に格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。 「作成者の会社名、部署名、担当者名」と申します。 〇月分の請求書をメールにて送付させていただきますので、ご査収の程、よろしくお願いいたします。 「添付内容」 請求書 ファイル名 1通 請求金額 お支払い期日 内容をご確認いただき、期日までにお支払いくださいますようお願い申し上げます。 何かご不明な点がございましたら、お気軽にお申し付けください。 本メールに返信する形でもお問い合わせいただけます。 何卒よろしくお願い申し上げます。 |
(2)メールに加え原本も郵送する場合
続いて、メールに加え原本も郵送する場合の例文です。同封内容の他に、決済期限や振込手数料についても記載します。
令和〇〇年〇月〇日(発送日です。右寄せにします) 「取引先会社名」 「担当部署名」「担当者名」 様 「自社名」 「住所」 「連絡先」 「担当部署名」 「担当者名」 (自社の情報は右寄せにします。) 〇〇月分のご請求について 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。 さて、先日メールにてお送りいたしました、〇〇年〇月分の請求書の原本を別添のとおり送付いたします。 つきましては、金額をご確認のうえ〇月〇日(支払期限)までに指定口座までお振込みくださいますようお願い申し上げます。 なお、振込手数料に関しましては、貴社のご負担でお願いいたします。 敬具 記 1.振込先 銀 行 〇〇銀行 支 店 〇〇支店 口座種別 普通(当座、貯蓄など) 口座番号 〇〇〇〇〇 口座名義 〇〇 〇〇 2.同封書類 ・〇年〇月分請求書 1通 以上 |
請求書をメールで送付するときの注意点
請求書をメールで送付する際に注意する点を解説します。
相手の了承を得る
請求書をメールで送付するときは、必ず相手に了承を得ておく必要があります。口頭でのやりとりでは担当者に伝わらない可能性もあるため、メール送付の経緯を契約書に記載しておくとよいでしょう。
押印の形式を取り決める
企業が発行した正式な書類である証として、請求書には会社の印鑑を押印します。電子データ化した請求書の押印形式は、紙の請求書に押印後スキャナーでPDF化する方法とデータ化させた印鑑を使用する方法があります。
電子印鑑を使用する際、請求書のメールと同じように請求先の企業の合意が必要です。企業によっては電子印鑑を承認していない場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
▷請求書に印鑑は必要なのか?押す位置やハンコの種類・電子印鑑について
請求書の原本は7年間保存する
請求書は所得税法や法人税法により「法人企業であれば7年間」・「個人事業主であれば5年間」の保管が必要です。「いつから7年間」保管が必要になるのか起算点に注意しましょう。
請求書の保存期間の起算点は、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間と「帳簿書類等の保存期間」で明記されています。
[出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」]
[出典:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」]
請求書をメールで送付する3つのメリット
請求書をメールで送るメリットを3つ解説します。
(1)郵送費や手間などコストの削減ができる
請求書をメールで送付すると、ペーパーレス化により紙代が削減できます。郵送費や印刷代などのコストも節約可能です。さらに、封書の準備や郵送手続きなど人的コストを抑えることにもつながります。
(2)作業の効率化ができる
請求書の電子化にクラウドサービスを利用する場合、インターネットに接続されていれば、スマホやパソコンを用いてどこからでも閲覧・作成が可能です。すぐに請求書の作成が必要な場合でも、スピーディーに対応できます。
また、ソフトによってはメールの開封確認や入金確認の機能もあるため、作業時間の短縮にもつながります。
(3)リモートワークの推進ができる
紙での請求書を発行する際、押印や発送手続きをオフィスで行うため、出社をしなければなりません。請求書をメール送付に切り替えることで、インターネットに接続されている環境であれば、場所を問わず業務ができるため、リモートワークの推進につながります。
▷テレワークでの請求書発行はどうする?電子化する流れや注意点について
請求書をメールで送付する3つのデメリット
請求書をメールで送付することは、メリットだけではありません。ここではデメリットについて解説します。
(1)送付ミスの危険がある
請求書をメール送付する際、送付ミスなどの人的ミスが発生するリスクも考慮する必要があります。メール送付はクリック1つで簡単に請求先にメールが届いてしまい、取り消せません。そのため、紙で送付する以上に慎重に取り扱う必要があります。
どれだけ丁寧に作成してチェックを行ったとしても、人が手作業やチェックを行う以上、ミスが起こる可能性を払拭できません。宛先や金額等の内容に間違いがないかどうか、送信前のチェックを怠らないようにしましょう。
(2)情報漏洩のリスク
紙媒体の請求書と違い請求書をメールで送付すると、情報を抜き取られるリスクが高くなります。特に紙媒体からメール送付に切り替えた場合、誤送信による情報漏洩には十分注意が必要です。
対策として、添付ファイルにパスワードを必ずかけておきましょう。ただし、取引先企業が多くなるほど、個々に添付するファイルのパスワード管理が必要となります。
(3)視認性が落ちる
パソコンのモニターで見るよりも、紙のほうが見やすいと考えている人が多いのも実情です。また、メール送信前の本文や宛先のチェックなど、紙の請求以上に確認工数が必要となるケースも考えられます。
今まで紙の請求書を使ってきた場合は、慣れるまでにある程度の時間がかかる場合があることも考慮しておきましょう。
▷請求書電子化のメリット・デメリットとは?システム導入の重要性を解説
注意点やポイントを把握して請求書のメール送付を
請求書をメールで送付する際の注意点やメール文例の解説は以上となります。一見、メリットしかないメール送付ですが情報漏洩や視認性の低下などデメリットも存在しています。
請求書をメールで送付する際、必ず請求先の企業に了承を得るようにしましょう。また、了承を得た場合も契約書に記載するなどメモしておくことが大切です。本記事で紹介した注意点やポイントを把握して、請求書のメール送付を実施してみてください。
▷請求書の原本は必要?保管が必要な理由や電子保存のメリットを解説
▷【基本】請求書の書き方ガイド! 作り方・記載事項・注意点などまとめ
請求書発行システムの記事をもっと読む
-
ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームからお問い合わせください。
お問い合わせはこちら