SaaS企業への転職が人気な理由と転職活動のポイントについて

記事更新日:2022/09/24

SaaS

SaaS企業で働くビジネスパーソンのイメージ

転職先としても人気なSaaS企業。他業界からも注目が集まるSaaS業界ですが、果たして転職する際のポイントとは何なのでしょうか。本記事では、そんなSaaS企業への転職について、人気な理由や転職活動でのポイントなどを詳しく解説していきます。

SaaSとは?

SaaSとは「Software as a Service」の略であり、「サース」と読みます。直訳は「サービスとしてのソフトウェア」です。

クラウド上にソフトウェアがあるため、インターネットに繋ぎさえすればユーザーはサービスを利用できます。働き方の多様化やリモートワークの浸透などを背景に、最近では複数のSaaSを利用する企業も珍しくありません。

SaaSの例としては、Google WorkspaceやSalesforce、DropboxやChatworkなどが有名です。

SaaS企業への転職が人気な理由

コロナ禍をきっかけに、遠隔でのコミュニケーションや契約等の電子化ニーズが高まりました。SaaSはそうしたニーズの解決策のひとつであり、同時に業務効率化の手段でもあります。

SaaS業界では、業界全体の規模拡大にともない、人材の募集が随時行われている状況です。2022年7月の段階で求人倍率(=求職者1人に対する求人数)5以上と、ほかの業界に比べても高い状況が続いています。

[出典:パーソルキャリア株式会社「doda転職求人倍率レポート(2022年7月)」]

ここからは、SaaS関連企業への転職が人気である3つの理由を確認していきましょう。

市場規模が拡大し続けている

おすすめの理由のひとつは、市場の成長性です。国内SaaS市場は近年飛躍的に伸びています。

スマートキャンプ株式会社の『SaaS業界レポート2021』によると、2020年の時点で日本のSaaS市場規模は8千億円近くに達しており、2025年には1兆5千億円規模にまで成長すると予測されています。なお、世界のSaaS市場は、2020年の段階で千億ドルを超えており、2022年には1,450億ドルに達する見通しです。

ビジネス環境という観点では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が国の政策として推進されているため、担い手であるSaaS企業にとって追い風の環境といえます。人事管理や会計などの業界横断的なSaaSだけでなく、専門的なSaaSも普及し始めていることから、今後も多様な分野でSaaSの利用が拡大していくものと考えられます。

このように、市場規模の拡大や優遇されているビジネス環境が、SaaS企業への転職者を増やす要因のひとつとなっています。

顧客との関係性が売上に直結する

DXの実現に頭を悩ませる企業にとって、SaaS企業はサポート役として頼れる存在です。サブスクリプション型のサービスが多いことから、契約を交わした企業は継続的にSaaS企業と付き合うことになります。

幅広い企業に長期にわたって関与できるのは、SaaS業界の魅力のひとつといえるでしょう。SaaS事業では、顧客との長期的な関係構築が事業成功のカギを握ります。

モノ(=製品)の販売ではなく、コト(=成功体験)の販売に意識を向けたSaaS特有のビジネスモデルは、やりがいのある転職先を求める人材にとって魅力的に映ることでしょう。

様々な経験を積める

成長市場であるSaaS業界では、新たなビジネスチャンスや市場参入機会が豊富に存在します。そのため、SaaS業界に身を置くことで、他の産業にはない経験を積める可能性もあるでしょう。

また、成長市場であることから、スタートアップ企業が多く存在するのもSaaS企業の特徴です。組織としての年数が浅い企業では、複数の職務を任されることも珍しくありません。

営業職でもマーケティングに携わったり、1年目から大きなプロジェクトの責任者を任せられたりする可能性があります。このように、幅広い経験と独自性の高いキャリアを積める点が、SaaS企業へ転職する魅力のひとつです。

SaaS企業の基本的な3つの職種

SaaS企業が募集している職種は、主に営業、マーケティング、開発の3つです。転職を希望する人は、これら3つの職種を中心に検討していくとよいでしょう。

SaaS事業の一般的な業務プロセスは、以下のとおりです。

①プロダクトの開発
②見込み客の発掘
③見込み客へのコンタクト
④商談・契約
⑤使用後のフォロー
⑥製品改良や方針転換

この1と6を担うのが開発、3から5が営業、2や全体がマーケティングの業務範囲にあたります。ここからは、それぞれの業務内容を詳しくみていきましょう。

営業

営業には、大きくインサイドセールスとフィールドセールスの2種類があります。

インサイドセールスの仕事は、見込み客に電話やメールなどでコンタクトを取り、フィールドセールスに案件を渡すことです。この業務で獲得した商談見込みの案件を「リード」と呼びます。

フィールドセールスの仕事は、リードを商談へと成長させ、契約を取ることです。また、導入後もユーザーをサポートし、成功体験を与えられるよう努力します。

SaaS事業成功のカギは、顧客にとっての成功体験、つまり「カスタマーサクセス」を実現させることです。SaaS事業はユーザーが気軽に契約を解除できる特徴があるため、顧客に継続してサービスを利用してもらえるよう、カスタマーサクセスを意識した取り組みが求められます。

マーケティング

SaaS企業におけるマーケティング業務は、LTVの最大化がポイントです。LTVとは「Life Time Value」の略で、日本語だと「顧客生涯価値」と訳されます。

LTVは、ある顧客がどれだけ自社に利益をもたらしてくれるのかを意識したマーケティング指標です。LTVを最大化するために必要なマーケティング業務としては、以下が挙げられます。

①見込み客を開拓する企画・イベントの実施
②見込み客をインサイドセールス担当やフィールドセールスと繋げる
③フィールドセールス活動のサポート
④ユーザーのニーズを探り、開発をフォロー

この中で1の部分はコンテンツマーケティングと呼ばれ、SaaS業界で活用されることの多い手法です。

また、4のユーザーのニーズを探る点については、ユーザー個別の案件対応だけでなく、統計データから全体を俯瞰する能力が求められます。

開発

開発の仕事はユーザーのニーズに対する解決策を製品の形にすることであり、主にエンジニア職に相当します。

SaaS事業における差別化ポイントとして、製品開発は欠かせません。ユーザーの問題解決に繋がる機能だけでなく、直感的に使用できるようにユーザーインターフェースなどにも気を配る必要があります。

ソフトウェアは外観・裏側・ネットワークの3つの要素から成り立っており、以下の3つに分けて開発するケースも珍しくありません。

  • フロントエンジニア:サービスやインターフェイスのデザインなど、外観に関する設計
  • サーバーエンジニア:データ管理方法やシステム内部など、システムの根幹部分を設計
  • インフラエンジニア:ネットワーク内でシステムが安定的に動くよう管理

SaaS企業への転職活動で有利な3つのスキル

SaaS企業に転職するうえで、持っていると有利なスキルは以下の3点です。

  • データ分析スキル
  • 問題解決スキル
  • 変化への対応スキル

それぞれ詳しく解説していきます。

1.データ分析スキル

SaaSプロダクトは、基本的に次のような流れで製品クオリティを高めます。

  1. 未完成の状態でリリースし、使用により得られたデータを分析
  2. 分析結果を参考に改善
  3. 改善されたプロダクトで更にデータを取る
  4. 分析結果を参考に改善

データ収集と分析を繰り返しながら品質を高めていく製品開発では、得られたデータからプロダクト改善に繋げられる分析スキルが重要です。

また、SaaSビジネスでは開発分野だけでなく、顧客管理やマーケティングにおいてもデータを参考にした施策や提案が求められます。「このタイミングで顧客が自社サイトから離脱した理由は何か」「なぜコンバージョン率が低いのか」といった問題に対する改善案は、的確なデータ分析によって精度を高められるでしょう。

2.問題解決スキル

SaaSはユーザーが抱える問題を解決するツールとして提供されるものです。したがって、顧客が抱える問題の本質を見出し、問題解決に繋がる製品を提案したり、ユーザーが成功体験を得られるようサポートしたりすることが求められます。

問題解決には、「ユーザーにとっての成功とは何か」を正確に掴み、現状とのギャップを具体的に言語化する能力が必要です。問題解決スキルは、特にフィールドセールスの現場で重要なスキルといえるでしょう。

3.変化への対応スキル

SaaS業界は変化の激しい業界のひとつです。そのため、変化へ柔軟に対応するスキルは、SaaS企業で活躍するために押さえておきたいスキルといえます。

SaaS業界の変化の一例は、次のとおりです。

競合
  • 比較的参入しやすい事業であるため、競合製品が次々にローンチされる
  • 業界内の統廃合が多いため、業界マップが突然変化する
ユーザー
  • テクノロジーの進化や新しいツールの登場により、ユーザーニーズが急激に変化する
  • 市場の変化やユーザーの需要の変化により、サービスの仕様変更を余儀なくされる
環境要因
  • DX推進政策やコロナ禍などをきっかけに様々な場面でのデジタル化が進んでいる状況
  • 環境問題や新興国の発展により、次々と新しいサービスが登場してくる

競合、ユーザー、環境要因それぞれの変化が激しいことから、取るべきアクションや最善の営業アプローチは状況に応じて柔軟に変えていく必要があります。過去にSaaS産業のような成長市場に身を置いた経験がある場合、そこでの成功体験をアピールすることでSaaS企業にとって魅力的な人材に映ることでしょう。

SaaS企業への転職を未経験から成功させるためのポイント

未経験業界への転職は容易ではありませんが、それでも魅力あふれるSaaS企業へ転職したい人もいるのではないでしょうか。

そこでここからは、未経験でもSaaS業界へ転職できるよう、事前に押さえておきたいポイントを紹介します。

SaaSビジネスへの理解を深めておく

まず、業界研究は必須です。実際に働いてみないとわからないことも多いかもしれませんが、ある程度の基礎知識を面接で提示しなければ、未経験業界へ転職する熱意が伝わりません。

業界分析では、基本であるPEST(政治、経済、社会、技術)や4C(環境、自社、競合、ユーザー)を押さえておくのがおすすめです。特に、業界の主なプレイヤーや各社サービスの特徴、今後の業界の動きなどは、面接時に回答できるように理解を深めておくとよいでしょう。

SaaS企業の特徴を理解する

営業職を例に考えた場合、通常の営業職とSaaS企業の営業職とでは業務内容が異なります。

SaaS企業では、商品を販売することがゴールではなく、いかに商品やサービスを継続して利用してもらえるかが事業成功のポイントです。そのため、顧客とは長期的な関係構築を図る必要があり、顧客満足度を高めるために既存顧客へのフォローが欠かせません。

こうしたSaaS企業の特徴を理解しておけば、どのような人材を企業が欲しているのかがイメージでき、自己アピールすべきポイントも明らかになってくるでしょう。

自分のスキルを最大限に活かせる職種を選ぶ

SaaS企業への転職率を高めるには、自分の強みを理解しアピールすることが重要です。インサイドセールス、BtoB営業、カスタマーサクセス、システム開発、マーケティングといった職種の中で、自分のスキルを活かせる職種があるか分析してみましょう。

自分のスキルが具体的にイメージできない場合は、これまでに自分がやってきたこと、成功したこと、失敗から学んだことを整理してみてください。取引先とのコミュニケーション力や問題解決力などは、SaaS企業においても重宝される能力のひとつです。

それらのスキルを、過去の業務経験から志望企業へアピールできないか分析してみるとよいでしょう。

SaaS事業で注目される国内企業

注目度の高いSaaS企業は多数ありますが、ここでは売上や資金調達額といった観点でいくつか企業を紹介していきます。SaaS企業をチェックする際の参考にしてみてください。

【国内SaaS企業売上ランキング(2020-2021年)】

企業名 売上
(2020-2021年)
サービス概要
Sansan 161億円 「営業を強くするデータベース」がキャッチフレーズ
名刺管理・共有やマーケティング支援ツール
サイボウズ 156億円 社内情報共有ツール「サイボウズOffice」「Garoon」「Mailwise」など
ラクス 122億円 バックオフィス系SaaS「楽楽精算」「楽楽明細」「楽楽労務」など
マネーフォワード 113億円 経理や人事労務に関するバックオフィスSaaS「クラウド会計」など

[出典: 業界動向サーチ「SaaS業界」]

【国内SaaS企業資金調達額ランキング(2021年)】

企業名 調達金額
(2021年)
サービス概要
ヘイ 162億円 中小の事業者向け決済、ECサイト構築サービス「STORES」など
SmartHR 156億円 クラウド人事労務ソフト「SmartHR」など
キャディ 80.3億円 製造業の受発注プラットフォーム「CADDi」、図面データ活用クラウド「CADDi DRAWER」など

SaaS企業への転職の際はエージェントを活用しよう

市場規模の拡大や新たなビジネスモデルへの期待感から、SaaS企業への転職を考える人も少なくありません。

SaaS企業が募集している主な職種としては、営業、マーケティング、開発などがあります。転職を試みる際は、SaaSビジネスや企業への理解を深めたうえで、自分のスキルを最大限活かせる職種を選んでみるとよいでしょう。

なお、効率的な転職を図りたい場合は、転職エージェントの活用がおすすめです。積極採用中の企業や求めている人材像など、転職エージェントには情報が集まっています。

また、プロのキャリアアドバイザーが、SaaS企業への転職に向けた履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などをサポートしてくれるため、初めての転職活動でも安心です。転職エージェントを有効活用し、自分に合ったSaaS企業への転職を実現してみましょう。

次に読みたいおすすめ記事

  • ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームまたは、お電話からお問い合わせください。

    お問い合わせはこちら

    TEL:0120-987-053(無料)
    【受付時間】10:00~18:00(土日祝を除く)

ビズクロ編集部
「ビズクロ」は、経営改善を実現する総合支援メディアです。ユーザーの皆さまにとって有意義なビジネスの情報やコンテンツの発信を継続的におこなっていきます。

おすすめ関連記事

メールパーミッションとは?重要性や取得するポイントを解説

2022/11/28

メール配信システム

2022/11/28

メール配信システム

ワークライフバランスを整える働き方とは?仕事と生活のバランスを保つコツ

2022/11/24

ワークライフバランス

2022/11/24

ワークライフバランス

【最新】テレワークにおすすめのキーボード10選!最適な選び方も解説

2022/11/24

テレワーク

2022/11/24

テレワーク

業務改善とは?必要性や基本手順・実施する際のポイントを解説

2022/11/23

業務効率化・業務改善

2022/11/23

業務効率化・業務改善

日程調整メールの正しい書き方とは?返信方法やマナー・注意点を解説

2022/11/23

日程調整ツール

2022/11/23

日程調整ツール

CTB分析とは?特徴や目的・分析方法をわかりやすく解説!

2022/11/23

CRM(顧客管理システム)

2022/11/23

CRM(顧客管理システム)

【2022年最新】タイプ別おすすめ給与計算ソフト!選び方や性能を徹底比較!

2022/11/22

給与計算システム

2022/11/22

給与計算システム

SDGsで簡単に実践できることは?〜私たちの日常生活での取り組み〜

2022/11/22

SDGs

2022/11/22

SDGs

働く女性の理想のワークライフバランスとは?現在の課題や社会進出について

2022/11/22

ワークライフバランス

2022/11/22

ワークライフバランス

日程調整後のお礼メールは必要か?書き方やマナーを文例付きで解説

2022/11/21

日程調整ツール

2022/11/21

日程調整ツール