業務プロセスとは?改善に向けたステップやアイデア・成功させるためのポイント
「業務プロセス」について、概要は理解しているものの改善の目的や方法までは把握できていない方も多いのではないでしょうか。業務プロセスを理解することによって、日々の業務の効率化や生産性の向上が見込めます。本記事では、業務プロセスの概要や改善するための具体的な手順や知っておきたいポイントを解説しています。
監修者 福本大一 株式会社kubellパートナー アシスタント事業本部|ユニット長 大学卒業後、toC領域のWEBメディア事業で起業。事業グロースに向けたSEO戦略から営業・運用広告に従事し、約2年間の経営を経て事業譲渡。2021年3月からChatwork株式会社(現:株式会社kubell)に入社し、カスタマーマーケティングやアライアンスを経験した後、メディア事業・運用広告事業の責任者としてミッションを遂行する。現在は、DXソリューション推進部のマネージャーとして新規事業領域のセールス・マーケティング・アライアンス・メディア事業を統括。
目次
業務プロセスとは
業務プロセスとは、業務の進め方や手順を意味する言葉です。また、目的を達成するために必要な行動がここに含まれる場合もあるでしょう。
私たちが普段従事している仕事は、細かなプロセス(作業)の積み重ねにより成り立っています。例えば、請求書の発行は、大まかに「顧客からの受注」「請求方法や請求詳細の決定」「請求書の作成」「請求書の送付」といったプロセスを経て完了します。
そのため、業務プロセスは一つの仕事を細分化したものと考えることができるでしょう。ただし、単に細分化するだけではなく、優先順位付けが求められる点も認識しておく必要があります。
つまり、仕事を細分化し、さらにそのプロセスを最も効率の良い順番で組み立てた流れ・手順が業務プロセスと呼ばれているのです。
業務フローとの違い
業務プロセスと業務フローは明確に区別されているわけではありません。場合によっては、同意語として使われているケースもあるでしょう。
一般に、業務プロセスは、仕事を細分化したもの、そしてその順番を合理的に並べ替えたものを意味しています。つまり、小さな作業が連続したものであると捉えることができます。
一方で、業務フローとは業務プロセスが連続したものを示す言葉です。業務プロセスの集合が業務フローとなります。したがって、仕事 > 業務フロー > 業務プロセス > 作業(タスク)というイメージで捉えておきましょう。
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業務プロセスの具体例
業務プロセスは仕事をする中でどのような作業にも存在しますが、イメージしやすいために請求業務を一例として紹介します。請求業務一つでも大まかに下記のよう流れで進んでいきます。
- 請求書の確定
- 請求書の作成
- 社内での承認を得る
- 請求書の印刷
- 捺印
- 封入作業
- 請求書の発送
- 入金確認
上記のように請求書の業務プロセスだけで多くの作業が関連しているため、社内で考えると多大な業務が連続しているのです。
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業務プロセスを改善する目的
業務プロセスは、目標を達成するための過程でもあるため、プロセスに課題があるのであれば早急に改善を目指すのは当然でしょう。ここでは、その業務プロセス改善の「目的」について詳しくご説明していきます。
- 業務の効率化
- リスクマネジメント
- QCDの改善
- 適切な労働環境の構築
- マネジメントの最適化
業務の効率化
業務プロセスを改善する一番の目的は業務の効率化です。各業務プロセスの時間や工数の軽減は、プロジェクト全体のスピード感の改善や生産性の向上につながります。
特にルーティン作業の業務プロセスでは、習慣化しているだけの工程が残っているなど、無駄が含まれているケースも少なからずあるでしょう。
そのため、業務プロセスは定期的な確認により、そのような無駄を排除するための改善が必要となります。常に最適な業務プロセスを運用することで、継続的な業務効率の向上が可能となるでしょう。
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リスクマネジメント
業務プロセスの見直しは、業務に潜む問題や課題の早期発見、未然に防ぐリスクマネジメントとしての役割も持っています。
業務プロセスが適切に管理されていれば、業務が特定の社員のみに依存してしまうといった業務の属人化を避けることができるでしょう。
業務の属人化は、不正や隠ぺいの温床となってしまうこともあるため、組織にとっては重要なリスクマネジメントの一つであるといえます。
QCDの改善
QCDとは、主に製造業における生産管理の際に考慮すべき3つの要素「Quality(品質)」「Cost(費用)」「Delivery(納期)」の頭文字からなる言葉です。
業務プロセスの改善は、すなわち「無駄の削除」や「効率の向上」を目指すものであるため、ひいては業務のクオリティー向上、人的コストなどの削減にもつながるものです。
その結果、QCDのバランスである「質・コスト・スピード」の最適化といった目標も達成できるようになるのです。
適切な労働環境の構築
業務プロセスの改善および可視化は、長時間労働の改善や非効率な作業の洗い出しにも役立ちます。
長時間労働の常態化の原因は、「無駄であったり非効率な作業が多い」もしくは「人手が足りていない」のどちらかであることがほとんどです。
そのため業務プロセスが明確になっていれば、「この工程はAの部署よりもBの部署で行う方が効率がいい」「この工程にはもっと人手が必要」といった全体の流れを捉えた効率的な改善策を講じることができます。これらの見直しは、労働環境の改善にもつながるでしょう。
マネジメントの最適化
業務プロセスの連続が業務フローであり、業務フローの達成によって仕事が成り立っているのであれば、業務プロセスの改善は、仕事における課題の改善であるといえるでしょう。
つまり、仕事を改善していくことによって、社員の業務フローが明確になりマネジメントする側にとっても管理がしやすくなります。そのため、プロジェクトにおけるマネジメントの最適化にもつながるのです。
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業務プロセス改善の手順
ここからは、業務プロセスの改善手順を説明していきましょう。
1.現状の業務を可視化する
業務プロセスの改善は、まず現状の業務の可視化から開始します。「誰が」「何を」「いつ(どのタイミング)」「どのように」して行っているのかを可視化しましょう。
そして、個人業務の洗い出しが終わったら、次にそれぞれの業務の相関関係や優先度などを整理していきます。この作業では、フローチャートなどを活用するとスムーズです。
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2.現状の問題点を明らかにする
業務のプロセスと流れの可視化が完了したら、それぞれの作業レベルの詳細を確認しつつ、無駄や非効率な手段になっていないかを検討していきます。
例えば、経費精算の一般的な業務プロセスは、稟議書の作成→申請・承認→経費の使用→領収書を添付した精算申請書類の提出→申請・承認→経費精算と多くのプロセスを経て行われているケースでは稟議書の承認者と経費精算時の承認者が同じなのであれば、精算時の承認は不必要であるとも考えられます。
このように、1つ1つの作業レベルで問題点を明らかにしていくと、業務プロセスの改善が進んでいくのです。
3.課題の改善策を検討する
業務プロセスの問題点が明らかとなったら、問題を解決するための改善策を検討していきます。
不要な工程の削減や担当者や担当部署の変更、人的リソースの見直しなどが挙げられますが、抜本的な改善を行うのであれば、「人の目や人の手」で行うことが最善であるのか、といった視点を持った上で改善策を練るのも良いでしょう。
改善策を出す際には、特定の社員のみ意見を出すのではなく現場の社員も巻き込んでなるべくたくさんの人から多くの改善策を出すのがポイントです。
異なる立場の社員から改善策を出すことによって、今までは気づけなかった改善策が見つかる可能性が高くなります。
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4.改善策を実施する
改善策を実際に実行する際には、必ず実施後の変化を評価できるような体制を整えた上で記録を残して行うことが重要です。
無駄な工程を省いたことで、プロセス完了までの時間にどのような変化があったのか、弊害は発生しなかったのかなどを注意深く見守る必要があります。
5.評価と対策を繰り返し行う
業務プロセスの改善は一度で成功するとは限らず、多くの場合は対策と評価を繰り返し行うことになります。そのため、講じた業務改善の施策でどのような効果が得られたのか、課題はなんだったのかなどを振り返って次のアクションにつなげましょう。
振り返りとなる評価をすることによって、繰り返し業務改善に取り組んでいく中でより精度を上げて業務改善に取り組むことができ、業務改善がスムーズに進みます。
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業務プロセスを改善するためのアイデア
業務プロセス改善のためには何がポイントになるでしょうか。ここでは、業務プロセス改善のためのポイントを説明していきます。
改善後の運用まで考える
業務プロセスは日々の業務を体系的にまとめたものです。そのため、改善していく上では実際の作業や運用されるシーンを想定した実用的なものでなけれなりません。
そのため、業務プロセスは理想ではなく、現実として実行可能な改善を行うようにしましょう。現実的な業務プロセスを組まないと理想と現実とでギャップが生まれてしまい改善が見込めなくなるので注意が必要です。
業務プロセスの改善に向けた共通の認識を持つ
業務プロセスの改善は、担当者だけではなく、関連する部署はや全社における協力体制のもと実行しなければなりません。
そのため、「プロセスを改善する意図」「改善によりどのようなメリットが得られるのか」については、事前に共有を徹底し、万全の協力体制のもと実行できるよう準備しておきます。
プロセスのつながりを意識する
業務プロセスは、業務の一連の流れでもあるため、1つのプロセスの変更がそのほかのプロセスに予期せぬ影響を与えることもあるかもしれません。
したがって、改善策を講じる際には多角的な視点から業務の役割やつながりを確認する必要があります。失敗しないためにも大掛かりな改善にいきなり取り組むのではなく、小さなステップで進めていくのが重要です。
プロセスの改善は継続して取り組む
業務プロセスの改善は、トライアンドエラーの繰り返しです。一度で改善が見込めるわけではないので、継続して取り組んでいく必要があります。
また社内の事情だけでなく、社会背景や新たなツールの登場などによっても業務プロセスの改善を求められることもあるでしょう。そのため、定期的な見直しといった取り組みやアップデートが必要である点を認識しておくことが大切です。
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情報共有ツールを活用する
業務プロセスの改善が定期的な取り組みとなるのであれば、その業務自体もできる限り効率的に行いたいところです。
その有効な手段となるのが、クラウドストレージやチャットといった情報共有ツールの活用です。業務プロセスの改善や業務の効率化は「プロセスや情報の徹底した共有」が重要となります。
そのため、これらの「情報共有」を円滑かつ迅速に行えるツールの導入はぜひ検討したいポイントです。
業務プロセスを改善する際の注意点
業務プロセスを改善する際には、以下の注意点についてもきちんと把握しておく必要があります。業務プロセスの改善が、かえって混乱を招く結果となってしまうことのないよう、気をつけるようにしましょう。
現場の理解を得ておく
業務プロセスの改善は、関係する社員や部署の了解を得てから行うようにしてください。
現場の理解や協力が得られていないのであれば、適切なプロセスの洗い出しもできていないことになり、実状を無視した業務プロセスの改善は無意味な取り組みともなりかねません。
また、業務プロセスが改善されることによって現場にどのような変更があり、既存の業務がどのように変わっていくのかもしっかりと説明しておく必要があります。
本質を見失わない
業務プロセスの目的は、プロセス全体での業務の効率化や最適化にあります。
特定の作業ばかりを改善した結果、そのほかの作業への影響が大きく、全体として生産性が下がってしまったり、コストが増大してしまったりすることがないよう、プロセスの改善は必ず俯瞰的な視点を持って行うようにしてください。
改善後の運用を徹底する
作業の効率化が叶う業務プロセスの改善であったとしても、手間のかかる「慣れた作業」を続ける社員は、必ずといっていいほど現れます。
そうした背景から、業務プロセスの改善策がうまく機能せずに、現状維持となってしまうケースは少なくありません。業務プロセスの改善を実行したら、その運用を徹底し、適切なPDCAサイクルを回せるようチェック体制も整えておくようにしましょう。
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業務プロセスを正しく把握することが重要
業務プロセスの改善は、業務プロセスを正しく把握することから始まります。
業務プロセスが、どのような作業から成り立っているかを可視化して、何がボトルネックとなっているのかを理解しなければ業務プロセスを適切に改善するのは困難です。
そのため、業務プロセスを改善する目的・方法・注意点を明確にしたうえで改善に取り組んでいきましょう。
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