業務プロセスとは?正しい改善の手順や成功させるためのポイントを解説

最終更新日時:2022/06/28

業務効率化・業務改善

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仕事をする上で、「業務プロセス」の改善が必要。といった会話を耳にすることはありませんか?その「業務プロセス」について、なんとなく理解しているものの、改善の目的や方法までは把握できていない方も多いのではないでしょうか。本記事では、業務プロセスの概要と改善するための具体的な手順や知っておきたいポイントを解説しています。

業務プロセスとは

業務プロセスとは、業務の進め方や手順を意味する言葉です。また、目的を達成するために必要な行動がここに含まれる場合もあるでしょう。

私たちが普段従事している仕事は、細かなプロセス(作業)の積み重ねにより成り立っています。例えば、請求書の発行は、大まかに「顧客からの受注」「請求方法や請求詳細の決定」「請求書の作成」「請求書の送付」といったプロセスを経て完了します。

そのため、業務プロセスは一つの仕事を細分化したものと考えることができるでしょう。ただし、単に細分化するだけではなく、優先順位付けが求められる点も認識しておく必要があります。

つまり、仕事を細分化し、さらにそのプロセスを最も効率の良い順番で組み立てた流れ・手順が業務プロセスと呼ばれているのです。

業務フローとの違い

業務プロセスと業務フローは明確に区別されているわけではありません。場合によっては、同意語として使われているケースもあるでしょう。

一般に、業務プロセスは、仕事を細分化したもの、そしてその順番を合理的に並べ替えたものを意味しています。つまり、小さな作業が連続したものであると捉えることができます。

一方で、業務フローとは、業務プロセスが連続したものを示す言葉です。業務プロセスの集合が業務フローとなります。したがって、仕事 > 業務フロー > 業務プロセス > 作業(タスク)というイメージで捉えておきましょう。

そもそも仕事と業務は違う?

まずは「業務」ですが、主にこちらは会社の指示のもと、日常的に発生する作業を意味する場合が多いでしょう。

それに対しての「仕事」は、「業務」を含むより広義な概念として、組織の目標を達成するため行う全ての行為を意味しています。

これらのことから、業務は仕事よりも受動的な要素が多く、仕事はより主体的な行動が求められると考えることができます。

業務プロセス改善の目的

業務プロセスは、目標を達成するための過程でもあるため、プロセスに課題があるのであれば早急に改善を目指すのは当然でしょう。

ここでは、その業務プロセス改善の「目的」について詳しくご説明していきます。

業務の効率化

業務プロセスを改善する一番の目的は業務の効率化です。各業務プロセスの時間や工数の軽減は、プロジェクト全体のスピード感の改善や生産性の向上につながります。

特にルーティン作業の業務プロセスでは、習慣化しているだけの工程が残っているなど、無駄が含まれているケースも少なからずあるでしょう。

そのため、業務プロセスは定期的な確認により、そのような無駄を排除するための改善が必要となります。常に最適な業務プロセスを運用することで、継続的な業務効率の向上が可能となるでしょう。

リスクマネジメント

業務プロセスの見直しは、業務に潜む問題や課題を早期に発見、もしくは、未然に防ぐリスクマネジメントとしての役割も持っています。

例えば、業務プロセスが適切に管理されていれば、業務が特定の社員のみに依存してしまうといった業務の属人化を避けることができるでしょう。

業務の属人化は、不正や隠ぺいの温床となってしまうこともあるため、組織にとっては重要なリスクマネジメントの一つであるといえます。

QCDの改善

業務プロセスを改善すると、その成果物である商品やサービスの質も向上します。

QCDとは、主に製造業における生産管理の際に考慮すべき3つの要素「Quality(品質)」「Cost(費用)」「Delivery(納期)」の頭文字からなる言葉です。

業務プロセスの改善は、すなわち「無駄の削除」や「効率の向上」を目指すものであるため、ひいては業務のクオリティー向上、人的コストなどの削減にもつながるものです。

その結果、QCDのバランス、つまり「質・コスト・スピード」の最適化といった目標も達成できるようになるのです。

適切な労働環境の構築

業務プロセスの改善および可視化は、長時間労働の改善や非効率な作業の洗い出しにも役立ちます。

長時間労働の常態化の原因は、「無駄であったり非効率な作業が多い」もしくは「人手が足りていない」のどちらかであることがほとんどです。

そのため業務プロセスが明確になっていれば、「この工程はAの部署よりもBの部署で行う方が効率がいい」「この工程にはもっと人手が必要」といった全体の流れを捉えた効率的な改善策を講じることができます。これらの見直しは、労働環境の改善にもつながるでしょう。

マネジメントの最適化

業務プロセスの連続が業務フローであり、業務フローの達成によって仕事が成り立っているのであれば、業務プロセスの改善は、仕事における課題の改善であるといえるでしょう。

つまり、業務プロセスの最適化は、さらに大きなプロジェクトにおけるマネジメントの最適化でもあるのです。

業務プロセス改善の手順

ここからは、業務プロセスの改善手順を説明していきましょう。

1.現状の業務を可視化する

業務プロセスの改善は、まず現状の業務の可視化から開始します。「誰が」「何を」「いつ(どのタイミング)」「どのように」して行っているのかを可視化しましょう。

そして、個人業務の洗い出しが終わったら、次にそれぞれの業務の相関関係や優先度などを整理していきます。この作業では、フローチャートなどを活用するとスムーズです。

2.現状の問題点を明らかにする

業務のプロセスと流れの可視化が完了したら、次は、それぞれの作業レベルの詳細を確認しつつ、無駄や非効率な手段になっていないかを検討していきます。

例えば、経費精算の一般的な業務プロセスは、稟議書の作成→申請・承認→経費の使用→領収書を添付した精算申請書類の提出→申請・承認→経費精算と多くのプロセスを経て行われているケースが多いのではないでしょうか。

しかし、稟議書の承認者と経費精算時の承認者が同じなのであれば、精算時の承認は不必要であるとも考えられます。

このように、1つ1つの作業レベルで問題点を明らかにしていくと、業務プロセスの改善が進んでいくのです。

3.問題の改善策を検討する

業務プロセスの問題点が明らかとなったら、次はその改善策を検討しなければなりません。

不要な工程の削減や担当者や担当部署の変更、人的リソースの見直しなどが挙げられますが、抜本的な改善を行うのであれば、「人の目や人の手」で行うことが最善であるのか、といった視点を持った上で改善策を練るのも良いでしょう。

4.改善策を実施する

次は、改善策を実際に実行します。その際には、必ず実施後の変化を評価できるような体制を整えた上で行うことが重要です。

無駄な工程を省いたことで、プロセス完了までの時間にどのような変化があったのか。弊害などは発生しなかったのかなどを注意深く見守る必要があります。

5.評価と対策を繰り返し行う

業務プロセスの改善は、一度で成功するとは限りません。多くの場合は、対策と評価を繰り返し行うことになるでしょう。

そもそも決められたプロセス通りに実施しているのかどうかの定期的なチェックも必要です。トライアンドエラーを繰り返し、業務プロセス全体の最適化を目指しましょう。

業務プロセス改善のポイント

業務プロセス改善のためには何がポイントになるでしょうか。ここでは、業務プロセス改善のためのポイントを説明していきましょう。

改善後の運用まで考える

業務プロセスは、いわば日々業務を体系的にまとめたものです。そのため改善は、実際の作業や運用されるシーンを想定した、実用的なものでなければ、まさに「絵に描いた餅」となってしまいます。

そのため、業務プロセスは理想ではなく、現実として実行可能な改善を行うようにしましょう。

共通の認識を持つ

業務プロセスの改善は、担当者レベルではなく、関連する部署はもちろんのこと、全社における協力体制のもと実行しなければなりません。

そのため、なぜ改善するのか、改善によりどのようなメリットが得られるのかについては、事前に共有を徹底し、万全の協力体制のもと実行できるよう準備しておきます。

プロセスのつながりを意識する

業務プロセスは、業務の一連の流れでもあるため、1つのプロセスの変更が、そのほかのプロセスに予期せぬ影響を与えることもあるかもしれません。

したがって、改善策を講じる際には、多角的な視点から業務の役割やつながりを確認する必要があります。

継続して取り組む

先にもお伝えしましたが、業務プロセスの改善は、トライアンドエラーの繰り返しです。

また社内の事情だけでなく、社会背景や新たなツールの登場などによっても業務プロセスの改善を求められることもあるでしょう。したがって、定期的な見直しといった取り組みやアップデートが必要である点を認識しておくことが大切です。

情報共有ツールを活用する

業務プロセスの改善が定期的な取り組みとなるのであれば、その業務自体もできる限り効率的に行いたいところです。

その有効な手段となるのが、クラウドストレージやチャットといった情報共有ツールの活用です。業務プロセスの改善や業務の効率化は、前提として「プロセスや情報の徹底した共有」が重要となります。

そのため、これらの「情報共有」を円滑かつ迅速に行えるツールの導入は、ぜひ検討したいポイントといえるでしょう。

業務プロセス改善の注意点

業務プロセスを改善する際には、以下の注意点についてもきちんと把握しておく必要があります。業務プロセスの改善が、かえって混乱を招く結果となってしまうことのないよう、気をつけるようにしましょう。

現場の理解を得ておく

当然ではありますが、業務プロセスの改善は、関係する社員や部署の了解を得てから行うようにしてください。

もとより現場の理解や協力が得られていないのであれば、適切なプロセスの洗い出しもできていないことになります。実状を無視した業務プロセスの改善は、無意味な取り組みともなりかねません。

本質を見失わない

業務プロセスの真の目的は、プロセス全体での業務の効率化や最適化にあります。

特定の作業ばかりを改善した結果、そのほかの作業への影響が大きく、全体として生産性が下がってしまったり、コストが増大してしまったりすることがないよう、プロセスの改善は必ず俯瞰的な視点を持って行うようにしてください。

改善後の運用を徹底する

作業の効率化が叶う業務プロセスの改善であったとしても、手間のかかる「慣れた作業」を続ける社員は、必ずといっていいほど現れます。

そうした背景から、業務プロセスの改善策がうまく機能せずに、現状維持となってしまうケースは少なくありません。業務プロセスの改善を実行したら、その運用を徹底し、適切なPDCAサイクルを回せるようチェック体制も整えておくようにしましょう。

業務プロセスを正しく把握することが重要

業務プロセスの改善は、業務プロセスを正しく把握することから始まります。

業務プロセスが、どのような作業から成り立っているかを可視化して、何がボトルネックとなっているのかを理解しなければ業務プロセスの適切な改善へと到達するのは困難でしょう。

業務プロセスの改善には多くのメリットがありますが、実際に改善を進めるのは簡単なことではありません。業務プロセスを改善する目的、方法、注意点をきちんと理解したうえで改善に取り組むことが大切です。

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