レガシーシステムの問題点とは?懸念リスクと脱却に必要な手法や人材
本記事では、なぜレガシーシステムが問題視されているのか、また、経済産業省が発表した2025年の崖、レガシーシステムからの脱却方法などを詳しく解説しています。 新システムの移行を検討されている企業担当者の方はもちろん、日本の世界におけるデジタル競争力の低下も招くとされる「レガシーシステム問題」の理解を深めたい方にもおすすめの内容です。ぜひ参考にされてみてください。
目次
レガシーシステムとは?
レガシーシステムとは、組織で長期間に渡って使用されている中で老朽化し、かつ機能の追加や拡張を繰り返したことで、複雑化、ブラックボックス化してしまったシステムを意味しています。
ビジネス環境は、ライフスタイルや市場動向、社会環境などの影響を受け常に変化しています。そのため、企業が優位性を獲得し続けるには、流動的なビジネス環境に対応すべく、迅速なビジネスモデルの転換や、新しい価値の創出を繰り返していかなければなりません。
限られた人的リソースをフルに活用しつつ、スピード感をもって事業を展開するにあたっては、システムやデジタル技術により業務を効率化、自動化していく取り組みは必要不可欠といえるでしょう。
レガシーシステムは、老朽化により管理費が年々膨れ上がるといったデメリットや、システムに精通した人材の高齢化に加えて、ブラックボックス化したことにより、万が一不具合が起きた際には、復旧に相当な時間を要してしまうといったリスクを抱えています。
したがって、現状の組織や業務では不可欠なシステムであっても、今後ほとんどのケースにおいて、見直しや刷新が必要なシステムなのです。
▷レガシーシステムとは?課題や放置するリスク・脱却する方法をわかりやすく解説
注目される「2025年の崖」の問題
2018年6月、経済産業省は「DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~」というレポートを公開しました。そこで言及されていたのが、「2025年の崖」と表された、ある意味、警告とも言える内容です。
2025年の崖とは、レガシーシステムを使い続けることによって発生する、最大12兆円の複合的な経済損失のことを指しています。
2025 年までに予想される IT 人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある[引用:経済産業省「DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~」より]
「最大12兆円」もの莫大な損失が算出された背景については、次章にて詳しくご説明しますが、2021年度のデジタル国家予算が約1.7兆円とされていることを鑑みれば、12兆円がいかに莫大な経済損失となることは明らかといえるでしょう。
▷2025年の崖とは?経産省のレポートの要点やDX推進のシナリオをわかりやすく解説
レガシーシステムに生じる7つのリスクや問題点
ここでは、レガシーシステムを利用することによって生じる7つのリスクや問題点について説明していきましょう。
1.市場競争から脱落する
レガシーシステムには、最新システムとの連携が困難なことから組織のDX化が進められず、データの活用ができない点が挙げられています。
流動性の高い市場ニーズの変化に対応するには、ビッグデータと呼ばれる多種多様なデータの蓄積や分析が欠かせません。このようなデータが有効に活用できていなければ、ビジネスモデルの変革や、顧客への新しい価値の提案ができなくなり、企業の優位性が徐々に失われてしまうのです。
2.将来的なコストの増大
老朽化したレガシーシステムは、不具合が起きるリスクが高まるだけでなく、ブラックボックス化していることから、いざトラブルが発生した際にも復旧に時間がかかり、業務や事業に大きな支障をきたす可能性があります。
それだけでなく、レガシーシステムの多くは、メーカーの公式サポート期間が終了しているケースが少なくありません。その場合、別途、保守契約を結ぶ必要があり、保守料金が高額になりがちだったり、いざ、故障などのトラブルが起きた際には、部品の調達に時間もコストもかかってしまうのです。
このようなことからレガシーシステムの維持費が肥大化し、新たなIT投資ができなくなるといった負のループに陥ってしまいます。
3.業務の属人化
業務の属人化もまた、レガシーシステムの副産物といえるでしょう。
多くのレガシーシステムは、その他のシステムとの連携を前提にしない、独自のフレームワーク上に構築されています。業務の連携が少ないことから、特定の従業員しか扱い方を知らないというケースは、珍しくありません。
また、長年使用される間に機能の追加や拡張が繰り返されたことで複雑化してしまい、そもそもシステムを理解している従業員が限られてしまっている、あるいは、精通した従業員が高齢化し退職してしまうといった状況を招いてしまうのです。
4.IT人材獲得競争の敗者に
顧客ニーズや市場動向の流動性が高どまりを続ける中では、企業におけるデジタル競争力の強化は、経営戦略の根幹とも言える部分です。それに伴い、IT人材の確保も重要な課題となってくるでしょう。
経済産業省による既出のレポートでは、IT人材不足も、2015年の17万人から、2025年には43万人に膨れ上がると予想されています。
現状では人材不足の状況が、一気に好転すると考えることは難しいため、レガシーシステムからの脱却が進まずに、DX化の遅れをとってしまった場合には、人材不足がさらに深刻化する事態となってしまいます。
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5.システム処理をする従業員の負担
繰り返しになりますが、レガシーシステムは、ベンダーのサポート期間が終了しているものも少なくありません。そのため、修復するにも部品がなかったり、取り寄せに時間がかかってしまう恐れがあるのです。
また、システムに精通した従業員がすでに退職してしまっている場合、不具合が起きた際の復旧にかなりの労力を要することになるのは、容易に想像ができます。加えて、レガシーシステムの使用を続けている企業の多くは、システムが完全に停止してしまった場合の準備ができいないため、担当者には大きな負担を強いることになってしまいます。
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6.通信やシステム障害が生じる
使用するレガシーシステムがITシステムの場合、セキュリティの脆弱性を突いたサイバー攻撃のリスクも高まってしまいます。
レガシーシステムは、セキュリティー面の脆弱性が把握できていたとしても、そもそも対策を講じるのが難しく、そのまま放置されてしまいがちです。12兆円の経済損失の中には、このようなサイバーセキュリティの脆弱性によって生じるデータの消滅やトラブルによる損失も含まれています。
7.コンプライアンス遵守への不安
レガシーシステムの使用は、メンテナンスやリスク管理が不十分なまま、脆弱なセキュリティプロトコルや、古いセキュリティ基準を使用し続けているという事実でもあります。
近年のコンプライアンス基準では、新しいテクノロジーによるサポートが推奨されています。このため、レガシーシステムのセキュリティホールに起因するデータ漏洩などの重大なインシデントが発生した場合は、システムの復旧にかかる労力や費用だけでなく、コンプライアンスの意識が低い企業として、社会的信用や企業イメージの低下などにもつながってしまいかねません。
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解決手法であるレガシーマイグレーションとは?
レガシーシステムを使用し続けることによって発生する可能性のある問題をご説明しました。
ここからは、レガシーシステムを新しいシステムへと移行する際の手法とされている「レガシーマイグレーション(legacy migration)」について解説していきます。
このレガシーマイグレーションは、大きく3つの手法があり、具体的にはリホスト・リビルド・リライトの3つに区別することができます。
1.リホスト
リホストとは、既存のプログラムやデータにほとんど手を加えないまま、メインフレームや古いコンピューターのシステムをクラウドなどのオープンなプラットフォームへと移行させる手法です。
また、レガシーアプリケーションでは、既存のアプリケーションをクラウドインフラにリホストする(ホストをクラウドインフラに切り替える)、この手法が最も合理的な手段となる場合があります。
そのほかにも、現行の業務仕様、アプリケーションは変更せずにハードウエアのプラットフォームのみを変更するため、短期間で移行作業が完了できるほか、コストを抑えられること、その他のクラウドサービスとの連携も可能になるなどのメリットが挙げられます。
ただし、アプリケーションを変更しない以上、根本的な課題解決とはならない可能性がある点には、気をつけなければなりません。
2.リビルド
もう一つのレガシーマイグレーション手法がリビルドです。
リビルドは、リホストとは異なり、レガシーシステムの全機能を構築し直す手法です。また、システムだけでなく、ビジネスロジックもイチから見直すため、現況に適した最適なシステムの開発と大幅な業務フロー改善が実現できます。
しかし、システムの開発には、莫大な予算を必要とするほか、業務フローを大きく見直す上では、IT技術の知見と自社事業への深い理解の両方を兼ね備えた人物が必要となるなど、多くの越えるべきハードルがある点がデメリットといえます。
3.リライト
リライトは、既存のビジネスロジックを残したまま、アプリケーションやデータベースを見直し、JavaやC#といった新しい言語で、OSやデータベースなどのプログラムを書き直す手法を指します。
使用する言語を変更することで、新規OSへの対応や情報セキュリティの向上、システムの効率化などが期待できる上に、表向きの業務仕様はそのままとなるため、混乱を最小限に抑えつつ、新しいシステムへの移行が完了します。
とはいえ、システム上は新しい言語での「書き直し」による刷新となるため、ゼロから新しいシステムを作るには多くの時間がかかりますし、相応のコストも発生します。
すべての企業がレガシーソフトウェアの問題に取り組むために、大きな投資を実行できるわけではない点に注意が必要です。
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レガシーマイグレーションを実施する5つのメリット
レガシーマイグレーションは、ビジネスプロセスに革新をもたらします。
レガシーマイグレーションを実施するメリットは、基本的に、クラウドを利用する理由そのものと同じで、コスト、パフォーマンス、セキュリティなどの要素に基づき、可能な限り効果的なIT環境でデータ管理し、活用できる点にあります。
以下では、レガシーマイグレーションを実施して得られるメリットについて具体的にご説明します。
1.現行システムが活かせる
レガシーマイグレーションを実施すれば、現行のレガシーシステムの一部を残しながらも、必要な箇所だけ新しいシステムに移行することもできます。
つまり、現状のレガシーシステムを刷新せずに、必要に応じたレガシーマイグレーションの手法を選択することで、現行のレガシーシステムのデメリットを解消することが可能なのです。
2.新しいビジネスに対応できる
近年、ビジネス環境は急速に変化しています。そのため、業務で活用するシステムもその変化に柔軟に対応できるものでなければなりません。
特に、顧客ニーズや市場動向をいち早くキャッチするには、ビッグデータと呼ばれる大容量かつ多種多様な形式のデータを収集し、分析してビジネスモデルへと反映するスピード感が求められます。
新システムによるシステム間の円滑なデータ共有、迅速なデータ分析・活用が実現することで、ビジネスモデルの変革や新しい価値の提供が可能になるのです。
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3.システムにかかるコストを減らせる
レガシーシステムの使用を続けた場合の、維持管理費の肥大化については前段にてご説明しました。
当然ですが、レガシーシステムからの移行に成功すれば、管理費のコストは大幅に削減することができます。特にクラウドサービスへ移行した場合、システムのアップデート作業やメンテナンスは、サービス提供会社によって適宜実行されるため、管理費だけでなく管理の手間を排除することも可能です。
4.新技術を導入しやすい
レガシーマイグレーションによって、維持管理費の縮小化や業務の効率化が実現できれば、新たなIT技術への積極的な投資もできるようになります。
結果として、組織全体のDX推進が可能となり、ビジネスモデルの軌道修正が必要になった間にも迅速に対応することができ、デジタル競争や流動的なビジネス環境に太刀打ちできるだけの「体力」を身につけることができるようになるのです。
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5.セキュリティ面で安心できる
レガシーマイグレーションを検討すべき最も重要な理由の1つは、セキュリティ強化の実現です。
サイバーセキュリティの技術も、日々進化を続けています。そのため、レガシーシステムが構築された当初は万全のセキュリティ環境だったとしても、今では「低度」なセキュリティとなっているかもしれません。
さらに、サポート契約が終了しているレガシーシステムにおいては、脆弱性を把握していたとしても、セキュリティのアップデートを実行することができないケースもあります。
インターネット環境を利用する上では、サイバー攻撃といったリスクをゼロにすることはできませんが、常に最適なサイバーセキュリティ環境を整えておくことは、大切な情報資産を守るためだけではなく、コンプライアンスを考慮する意味でも重要な取り組みといえます。
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レガシーマイグレーションを成功させる6つのコツ
ここからは、レガシーマイグレーションを成功させる6つのコツを紹介していきます。
1.自社システムをしっかり確認
まず、レガシーシステムの機能やシステムを利用する際の業務フローを徹底的に棚卸しします。
システムを操作する際の従業員のペインポイントを慎重に調査・検討し、現状の課題や将来的に導入したい機能までを洗い出していきます。新システムで実現できる業務を想定するには、現場の意見と技術的な観点を照らし合わせる必要もあるでしょう。
さらに、「必要なデータ・業務」を洗い出す際には、「必要のないデータ・作業」も同時に見える化していくことで、必要な機能に絞った新システムの開発が実現でき、大幅な業務改善が見込めます。
2.どの方法を使うか検討
レガシーマイグレーションとして、主な3つの手法をご紹介しましたが、それらはあくまで代表的な手段に過ぎません。
実際に、どのような方法でマイグレーションを進めるかについては、自社のレガシーシステムの状況、予算、課題、目標などによって異なります。
そのため、方法の選択には、IT技術に対するある程度の知識が必要となるでしょう。そのような人材が社内で確保できない場合は、外部のコンサルティングなどを検討するのも一つの手です。
3.レガシーマイグレーションをするタイミングの見極め
レガシーマイグレーションは、コストや工数ともに相応の手間と綿密な計画を必要とする業務改善の取り組みとなります。
したがって、レガシーマイグレーションを実行するタイミングは、事業や業務の状況を考慮しつつ、現場担当者の意見も参考にしながら慎重に決めなければなりません。また、移行の前には、システム利用者への説明や研修を重ねることも必要となります。
4.DX推進を考えたシステムを考慮
レガシーマイグレーションは、組織のDX化を推進する中での、一つの取り組みであり手段と考える必要があります。
レガシーシステムから新システムの移行を単体のプロジェクトとして実行するのではなく、組織をDX化することで、組織にどのような効果をもたらし、事業にどのような変革を与えられるのかを見据えた上で、総合的な観点からシステムの移行を進めるようにしましょう。
5.IT人材の確保と育成
レガシーマイグレーションを実行したいのであれば、その移行を計画する段階からIT人材を交えたプロジェクトチームを立ち上げるのが理想的です。
そして、もう一つ忘れてはならないのは、システムは刷新して終わりではなく、メンテナンスや定期的なアップデートが永続的に発生する点についてです。今時点で最新のシステムであっても、そのシステムが将来レガシー化してしまうことは、十分に起こり得るでしょう。
そして、組織のDXもまた、一度きりではなく継続的な取り組みとなります。そのためには、これまでのような「システムの管理はベンダー任せ」といった状況を改善し、IT人材の確保・育成によるDXの内製化を図ることが求められるのです。
独立行政法人情報処理推進機構 社会基盤センターが2019年4月12日公開した「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」でも、IT人材の確保と育成が、レガシーシステムからの移行やDXの推進には必要であることが示されています。
6.継続的なアップデート
レガシーマイグレーションを進める際には、そのシステムが継続的にアップデートされるシステムなのかどうかを確認しましょう。継続的にアップデートされないのであれば、新システムもいつかはレガシーシステムとなってしまいます。
ビジネスの環境は急速に変化していきます。急速に変化する環境に柔軟に対応するためにも、システムのアップデートは必要です。
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レガシーシステムをモダナイゼーションで解決する方法
レガシーシステムは、いわば、現代とは異なる時代に活躍したレガシー(遺産)です。
そのようなレガシーを現代という環境で活躍できるようにモダナイズ(近代化)することが、モダナイゼーションにほかなりません。
レガシーシステムをモダナイズする代表的な方法として、リライト・リホスト・リプレースを紹介していきます。
1.リライト
既存のアプリケーションを新しい開発言語/ツールに書き換える方法を「リライト」と呼びます。マイグレーションにおけるリライトでは、既存の仕様を残したままデータやシステムを新しい環境へと移行するのに対し、モダナイゼーションでは、構造自体を最新技術によって変革します。
レガシーソフトウェアの書き換えは、後述するリホストよりもはるかに複雑で、開発チームはまずレガシーシステムが稼働しているロジックを解釈する必要があります。
このレガシーシステムの中身の理解は、繰り返し実行されたカスタマイズの全貌を理解している従業員がいなことや、業務の属人化によりマニュアル化されないまま使用され続けている可能性が高いためとても複雑な作業になります。
ビジネスプロセスを適切に分析して、ビジネスプロセスに合うように、システムのロジックをリライト(書き換え)しなければなりません。
2.リホスト
リホストは、レガシーシステムをモダナイズする最もわかりやすい方法です。リホストとは、システムを利用するインフラ(環境)を刷新することを意味します。
アプリケーションソフトやデータに手を加えることなく、インフラのみを刷新するのが「リホスト」の特徴です。たとえば、レガシーシステムのクラウドサーバーへの移行は、リホストとなります。
3.リプレース
リプレースとは「置き換え」を意味する言葉で、既存のレガシーシステムを完全に廃棄し、置き換えることを意味しています。
リプレースによるアプローチでは、既存のシステムを完全に廃棄して、新しい要件と最適化されたビジネスプロセスを考慮しながら、完全に新しいシステムに置き換えていきます。
たとえば、レガシーメールシステムをクラウドベースのMicrosoft 365のOutlookに置き換えたり、自社開発のCRMシステムからSalesforceといったクラウドサービスへ変更することはリプレースと言うことができるでしょう。
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クラウド活用でレガシーシステムから脱却することも可能
クラウド技術の活用は、レガシーシステムからの脱却のために必要不可欠なものです。以下では、クラウド技術を活用したクラウドサービスについて詳しく解説していきます。
クラウドサービスとは?メリットも解説
クラウドサービスとは、これまで各々のPC上にソフトウェアをインストールして使用していたり、PC上のフォルダに保存し、管理していたデータなどを、専用のインフラやソフトウェアを持つことなく、ネットワーク上で利用したり共有したりすることのできるサービスです。
現在は、経理、労務、人事、法務といったバックオフィス業務のシステムの他、業界特化型のシステムなど、さまざまなサービスが展開されています。
ネットワーク経由のサービスであるクラウドサービスは、情報の共有・連携に優れており、必要なときに必要な分だけ利用できる特性から、コストを抑えた運用も可能になるなど、多くのメリットがあります。
クラウドサービスの利用が向いている企業
クラウドサービスの利用は、レガシーシステムからの脱却を目指す企業はもちろん、システム間の連携や情報共有のしやすさから、業務効率の大幅な改善、生産性の向上が期待できるため、人的リソースに課題を感じている企業においても、早急な導入を検討したいサービスです。
そのほかにも、クラウドサービスは、インターネット環境とPCなどの端末さえあれば、時間や場所を問わずにアクセスできるため、テレワークの導入を進める企業においてもおすすめできるサービスといえるでしょう。
▷DX推進に欠かせないクラウド化とは?活用メリットやシステム移行について
クラウドサービスの選び方におけるポイント
レガシーシステムからの脱却、柔軟な働き方の実現の上で、DX化の重要なキーポイントとなるクラウドサービスですが、現在は多種多様なサービスが展開されているため、導入する際には、自社の目的に合ったサービスをを選ぶ必要があります。
ここではクラウドサービス選びのポイントについて解説していきます。
1.コスト
一口にクラウドサービスと言っても、提供されているサービスは機能や料金体系は様々です。
単に高機能であれば良いというわけでも、コストが安ければ良いというわけでもありません。業務に必要な機能、サポート体制、セキュリティ対策などの重要な要素とコストのバランスを考慮することが大切です。
初期導入費用や月に発生するランニングコストの手軽さだけで選ぶのではなく、総合的な観点から比較検討しましょう。
2.セキュリティ性
クラウドサービスの利用にあたって、利用者が最も気にするのはセキュリティの問題でしょう。その点、近年のクラウドサービスでは、多くの場合、高度なセキュリティ環境を実現していますが、少数派とはいえ脆弱性の課題を残してしまっているシステムが存在することも事実です。
各システムのセキュリティ対策については、導入実績なども加味しつつ、納得した上で選ぶようにしてください。
3.データの処理スピード
クラウドサービスは、クラウド上でデータをやり取りする必要があるため、ある意味、データの処理速度が、業務の処理スピードにそのまま直結します。
そのため、データの処理速度が遅いクラウドサービスは、業務プロセスに支障をきたす可能性もあるのです。したがって、クラウドサービスの利用に際しては、データの処理スピードも考慮しなければなりません。
▷DX推進に役立つツールを一覧で紹介!比較ポイントや導入方法・注意点を解説
レガシーシステムからの脱却は最優先で実施すべき課題
現状、特筆すべき問題の起きていないレガシーシステムの改革は、その重要性を理解するのが難しい側面があることは確かです。
しかし、経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」は、全くもって現実味のない問題ではなく、客観的な根拠に基づいたシナリオであることを忘れてはいけません。
不満の生じていないレガシーシステムであっても、近い将来に何からの変革や対策が必要となることを念頭に置き、デジタル化社会における企業の競争力維持に向け、着実なDX化を推進していきましょう。
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