デジタル・ガバメントとは?政府が提唱する実行計画の概要や今後の見通し

記事更新日:2022/06/03

デジタル化

デジタル庁イラスト

デジタル・ガバメントとは、昨今政府が提唱している政策で日本企業にも大きな関係があります。この記事ではデジタル・ガバメントの定義や目的、実行計画書の内容をわかりやすく解説します。また同時に求められるDX推進の必要性にも触れますのでぜひ参考にしてください。

デジタル・ガバメントとは何か?定義を解説

デジタル・ガバメントは、日本における社会問題の解決や経済成長の実現に欠かせません。ここではまず、デジタル・ガバメントの定義から解説していきます。

(1)デジタル・ガバメントの定義

デジタル・ガバメントとは、ジタル技術の活用と官民協働を軸に行政サービスを見直し、行政の在り方をデジタル社会に対応したものに変革する」という政府による取り組みのことをいいます。

このデジタル・ガバメントの実現こそが「日本が抱える社会問題の解決や経済成長の実現における鍵になる」と、日本政府は考えています。

(2)デジタル・ガバメントが生まれた経緯

デジタル・ガバメントは、2000年に制定された「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部令」の規定に基づき、2018年6月に開催された「第1回デジタル・ガバメント閣僚会議」で生まれました。

2020年12月21日まで「デジタル・ガバメント閣僚会議」は計10回開催されており、2019年段階で日本におけるデジタル・ガバメントの進捗状況は「世界5位」という高い評価をOECD(経済協力開発機構)から受けています。

(3)行政・自治体の一連の手続きを利便性の高いものにする目的

デジタル・ガバメントの目的は、行政や自治体における手続きの単なるオンライン化ではなく、日本政府の掲げる「Society 5.0」時代にふさわしい行政サービスを、利用者である国民から見て利便性の高いものにすることにあります。

これはすなわち、デジタル・ガバメントを実現できなければ、日本が目指す社会未来像である「Society 5.0」への到達は困難になることを示しています。

デジタル・ガバメントの実行計画の内容をわかりやすく解説

デジタル・ガバメントの実行計画は2018年1月に制定され、その後2020年12月に改定されています。

デジタル・ガバメント実行計画では、「(1)デジタルファースト」「(2)ワンスオンリー」「(3)コネクテッド・ワンストップ」から成る「デジタル化3原則」という方針があります。また、デジタル・ガバメントの実現に向けて、具体的な7つの取り組みを掲げています。

ここでは、デジタル・ガバメントの実行計画における7つの取り組みについて解説します。

(1)サービスデザイン・業務改革の徹底

行政サービスの利用者にとって「すぐ使えて」「簡単」で「便利」なサービスを前提とした上での「デジタル・ガバメント実行計画」に示されている「サービス設計12箇条(※1)」にそって、一人ひとりの利用者の行動などにおけるサービスの分析・設計の実行を掲げています。

これにより、行政サービスの利用者に対して最良なサービスが提供できるだけでなく、高品質なサービス内容の継続的な改善・向上が実現できるとしています。

※1:[出典:令和2年12月25日閣議決定「デジタル・ガバメント実行計画」]

(2)国・地方デジタル化指針

日本政府は、2020年12月に「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」が取りまとめた報告を「国・地方デジタル化指針」とし、今後各府省は本指針に基づいて、マイナンバー制度及び国と地方の「デジタル基盤における抜本的な改善に向けた取り組み」を進めるとしています。

また、マイナンバーカードと運転免許証や資格証明書等の各種カード・手帳等の一体化についても、引き続き推進していくとしています。

(3)デジタル・ガバメント実現のための基盤整備

デジタルインフラ等の徹底利用を推進することにより、各府省における業務の標準化や情報システムの共有化・標準化を進めるとしています。

また、クラウドサービスの利用の検討を徹底し、効率化により生み出された資源を活用したサービスの向上を目指すとしています。さらには、デジタル化によってリスクが高まる可能性のある情報セキュリティ対策の徹底もここに盛り込まれました。

(4)一元的なプロジェクト管理の強化等

デジタル庁の設置に加えて、各府省が共通で利用するシステムを「デジタル庁システム」とし、デジタル庁が自ら整備・運用することによる一元的なプロジェクト管理の強化を実施するとしています。

(5)行政手続きのデジタル化・ワンストップサービス推進等

行政手続きのデジタル化をはじめとして、各種手続きにおける添付書類の省略や手続きの見直し、個人や法人が行う行政手続きのワンストップサービスの推進、さらには法人デジタルプラットフォーム機能の拡充などを実現するとしています。

(6)デジタルデバイド対策・広報の実施

オンラインによる行政手続き・サービスの利用方法について、高齢者等が身近な場所で相談・学習ができるようにする「デジタル活用支援員」の本格的な実施や、デジタル・ガバメントにおける広報の手段として、SNSや動画サービスなどを利用し、国民参加型のイベント等を実施するとしています。

(7)地方公共団体におけるデジタル・ガバメントの推進

地方公共団体における業務システム・情報システムの標準化や共通化をさらに加速させ、行政手続きのオンライン化の推進を目指します。

また、各地方公共団体における取り組みの指針と国による支援策及び具体的な手順などをまとめた「自治体DX推進計画」に基づいて各種支援を進めるとしています。

デジタル・ガバメントにおけるこれまでの経緯と今後の施策

冒頭に述べた通りデジタル・ガバメントの計画は2000年から存在し、すでに20年余りが経過しています。

ここでは、政府やデジタル庁によるデジタル・ガバメントにおけるこれまでの経緯と、今後の施策について解説します。

(1)高度情報通信ネットワーク社会形成基本法に基づくIT戦略

インターネットの普及に伴い、政府が行政や社会における「IT化の推進」を目的として定めたのが、2000年に制定された「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」です。

IT基本法の主な内容は、ITを基盤とする国際競争の激化を見据え、インフラの整備とIT活用を推進するといったものでした。翌年の2001年には、IT基本法に基づいた「e-Japan戦略」と銘打つIT戦略が開始され、これによりIT基盤の整備が促進されました。

(2)官民データ活用推進基本法に基づくデータ活用

その後の「AI」や「IoT」といった新たなデジタル技術の登場により、政府が構築した新たなIT戦略が、2016年成立の「官民データ活用推進基本法」です。

これはインターネットなどの高度情報通信ネットワークを通じて、流通する大量の情報を活用し、官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進することを目的としており、現在の行政DXにも大きく関わる取り組みのひとつです。

また、これにより国民が安全かつ安心して暮らせる社会や快適な生活環境の実現に寄与するとしています。

(3)行政のDX推進

2020年から感染が拡大した新型コロナウイルス感染症の影響を受け、政府が経済活動における停滞対策として実行した国民への給付金支給において、マイナンバーの活用や行政手続きにおける混乱などの問題点が浮き彫りになりました。

その後、政府によって行政のDX推進が表明され、行政の業務における単なるオンライン化に止まらず、根本的な業務の変革につながるDX化の考え方が採用されました。

デジタル・ガバメント化による変化とは?

デジタル・ガバメントの実現によってもたらされる変化には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、デジタル・ガバメントによって想定される4つの変化を解説します。

(1)一連の手続きがワンストップで行えるようになる

デジタル・ガバメントの実現により、サービスごとに窓口をはしごする必要のあった一連の手続きもワンストップで行えるようになるため、各種手続きにかかる利用者の負担を大幅に軽減できます。

なお、デジタル・ガバメントにおいては、以下のような手続きのワンストップ化が計画されています。

  • 子育て
  • 介護
  • 引っ越し
  • 死亡
  • 相続
  • 法人の設立・登記変更
  • 企業における従業員の社会保険や税金

(2)Society5.0によるデジタルと現実の融合

デジタル・ガバメントの実現は、日本政府の掲げる「Society5.0」により、デジタルと現実の融合がもたらす「社会的な課題の解決と経済発展の両立」が期待されています。

「Society5.0」とは、仮想空間と現実空間の最先端デジタル技術を活用した上で高度に融合させ、社会における課題と経済の発展の両立を目指す「人間中心」の理想的な未来社会を表現した言葉です。

Society5.0の目指す社会では、IoTによりすべての人間とモノがつながり、さらにAIを活用して欲しい情報を適切なタイミングで得られるようになります。

Society5.0の実現により、少子高齢化や地方の過疎化、貧富の差といった日本の抱える社会問題の解消が期待できるとされているのです。

(3)行政サービスが利用しやすくなる

デジタル・ガバメントの実現にあたり、すべての利用者にとって行政サービスは「すぐに使えて」「簡単」で「便利」なものであるべきとされています。

政府はこのような行政サービスの基盤としてデザイン思考を導入した「サービス設計12箇条」を標榜し、行政サービスの利用者における利便性の向上を目指しています。

(4)行政機関自体のDX化

行政機関のDX推進は、日本全体のデジタル技術による業務の効率化や生産性向上、働き方改革などの促進をもたらします。

今もなお、紙媒体やハンコによる手続きを続けている企業は少なくありません。しかし、行政が業務のペーパーレス化やオンライン化を積極的に導入することで、あとに続く民間企業も現れるはずです。

その結果、社会全体が組織や業務のDX化へと動き出し、行政機関のDXもまた、さらに推進されることになるでしょう。

デジタル・ガバメントの流れを受けて企業もDX推進が必要

国や行政機関におけるデジタル・ガバメントの流れを受け、企業においてもDXの推進が必要になっています。ここでは、企業のDX推進において取り組むべき5つの方法について解説します。

(1)ペーパーレス化に着手する

根強く残る紙文化やハンコ文化を払拭し「ペーパーレス化」に着手することは、企業がDXにおける経営戦略を立てる上で、もはや最低条件となりつつあります。

まずは押印の業務を減らすことに注力し、ペーパーレスで契約の処理や社内経理などを進められるように、デジタル技術を用いたシステムやツールの導入を検討しましょう。

(2)DX推進のためのリソースを雇用する

デジタル・ガバメントにおける企業のDX推進には、社内の業務に関わる分野を熟知している人材に加えて、DX推進を目的としたリソースの雇用が必要になります。

ITに関わるSEやプロデューサー、はたまたITへの深い知見とマネジメント経験を兼ね備えた人材など、高いスキルを持つリソースの雇用が、企業におけるDX推進をさらに加速させることでしょう。

(3)IT導入補助金などの助成金を利用する

企業のDX推進には多くのコストがかかるため、資金調達にあたっては国や地方自治体、厚生労働省などが実施している補助金や助成金の利用が欠かせません。

企業のDX推進に利用できる代表的な支援制度には「IT導入補助金」が挙げられますが、このような各補助金・助成金は、申請時期や応募条件などが制度によって異なるため、利用する際には注意が必要です。

(4)テレワークを導入する

企業のDX推進において、テレワークの導入による社内体制のデジタル化もまた、DXの目的を達成する過程における、必要不可欠な段階のひとつといえるでしょう。

テレワークを導入する際には、同時にWeb会議システムやビジネスチャットを利用したオンライン上での会議や面談へのシフトを試みましょう。

このように、テレワークの実施に伴う社内体制のデジタル化が進むことで、従業員一人ひとりのDX推進に対する心理的負荷の軽減にもつながります。

(5)新しい働き方への社内規則の制定をする

前述のテレワークのように、企業における従業員の働き方が変わる場合には、そのような新しい働き方に対する社内規則の制定も必要不可欠です。

また企業の経営陣においては、テレワークの導入にあたり、これまでの勤怠管理や人事評価の継続が困難であることについても、曖昧にせず書面による従業員への伝達に努めましょう。

デジタル・ガバメントに合わせて自社DX化も進めましょう!

今回は、デジタル・ガバメントの定義や政府が提唱するデジタル・ガバメントの実行計画の概要、さらには今後の見通しなどについて解説しました。

デジタル・ガバメントとは、デジタル技術の活用と官民協働を軸に行政サービスを見直し、行政の在り方をデジタル社会に対応したものに変革する、という政府による取り組みのことです。

日本政府は、デジタル・ガバメントにおける実行計画を掲げるだけでなく、デジタル・ガバメントの実現における行政機関の変化などにも触れています。

このようなデジタル・ガバメントの流れを受け、各企業におけるDX推進が必要不可欠となっています。世界的なパンデミックにより企業に普及したテレワークなどの後押しを受け、各企業においてDXを推進することが、日本のデジタル・ガバメントにつながるといえるでしょう。

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