デジタルデトックスは効果なし?その理由は?効果を感じない場合の対処法
デジタルデトックスを実践しても効果ないというのは本当なのでしょうか。本記事では、デジタルデトックスについての解説をした上で、効果がないと言われる理由や効果を感じない時の対処法をご紹介します。デジタルデトックスの効果に不安を感じている方は参考にしてください。
目次
デジタルデトックスとは?意味を解説
「デジタルデトックス」とは、一定の期間スマートフォン(スマホ)やパソコンなどのデジタル機器から離れることでストレスを軽減する取り組みです。
デトックスは解毒や浄化を意味する言葉で、デジタルデトックスとはデジタル機器の使用やインターネット上のコミュニケーションにより蓄積したストレスや心身の疲れを緩和する効果が期待されています。
また、デジタルデトックスによって、就寝前にスマホを長時間いじってしまう「寝る前スマホ」の習慣を改善することにより、睡眠の質も良くなるともいわれています。
デジタルデトックスの実践方法
PR TIMESが実施した調査では、日本人が利用するスマホの使用時間は1日辺り5時間台と答えた人が全体の14.2%で、最も多いことが報告されています。
しかし、スマホは、テレビやパソコンといったデジタル機器に比べより近い距離で凝視することから、長時間の使用は眼精疲労や肩こりといった身体の不調につながりやすい特徴があります。
また、SNSの反応を気にしすぎてしまう「SNS疲れ」も状況によっては深刻なストレスへとつながりかねません。そのため、このような疲れを感じているようであればデジタル機器と距離を置くことも時には必要でしょう。
ここではデジタルデトックスを行う方法について、7つの実践方法をご紹介しています。
(1)デジタル機器を操作できない場所に置く
デジタル機器を手に届く所に置いておくと、無意識に端末に手を伸ばしてしまいがちです。デジタルデトックスを行いたいときは、デジタル機器を物理的に離れた所に置いておくことが理想です。
しかし逆に、すぐ手に取れない場所に置くことで、かえってストレスになってしまう場合もあります。そのようなときは「スイッチング」と呼ばれる方法を活用するとよいでしょう。
スイッチングとは何かを抑えるために、代わりになる物を用意することです。身近な例をあげると、「タバコをやめるためにガムを噛む」ことなどがあげられます。
デジタルデトックスにおいては、本を読んだり音楽を聞いたり、デジタル機器に触れない時間を作ることがこのスイッチングに当たります。
仕事の都合上、どうしてもデジタル機器を使わなければならない場合は「電話とメール以外、使用しない」などとルールを定めておくことも一案です。デジタル機器を操作できない場所に置くことで、デジタルデトックスを行いましょう。
(2)キャンプに出かける
近年では、自然あふれる場所でデジタル機器から離れて過ごすことを目的としたキャンプイベントも開催されています。
ここではスマホなどのデジタル機器をすべて預け、自然の中で「触れる」「聴く」「匂いを感じる」といった五感を意識して過ごす時間が重要視されます。
現実社会にフューチャーし、普段は見過ごしてしまいがちな気づきを楽しみつつデジタルデトックスすることが可能なのです。
(3)デバイスを使用することの一部をアナログな手法に置き換える
普段はデジタル機器に頼っている作業をアナログな手段に変更することも、デジタルデトックスに有効です。
Apple創業者の一人であるスティーブ・ジョブズ氏や、Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏は、皮肉にも自身の子どもたちにはスマホなどのデジタル端末に幼少期は触れさせなかったといいます。
その行為が、必ずしもデジタル機器を使用しなければできないことなのかを改めて考え、アナログな手段を利用する時間を徐々に増やしていくことも効果的なデジタルデトックスとなります。
▷デジタルとアナログの違いとは?メリット・デメリットを例も踏まえて解説
(4)アプリで制限をかける
スマホが手元にないと落ち着かない、スマホがないと不安になってしまうなど、精神的な「スマホ依存」が深刻な状態になってしまうと、運転中など「使用してはいけない状況」でも無意識にスマホを触ってしまうようになり、取り返しのつかない大事故へとつながる危険性もあります。
そのような場合には、ある意味「強制的」に、スマホの使用を制限することのできるアプリを活用して、スマホ依存対策を講じるのも良いでしょう。
このようなスマホの使用制限アプリの中には、スマホに触れない時間を多く持つことでキャラクターが成長していくアプリなどもあり、ゲーム感覚でデジタルデトックスに取り組むことが可能です。
(5)タイムロッキングコンテナを活用する
「タイムロッキングコンテナ」とは、設定した時間になるまで開封ができない、小さなボックスのことです。
この箱は「禁欲ボックス」などとも呼ばれており、スマホやゲーム機、テレビのリモコンなどを入れ、時間を設定することで強制的にデジタル機器から距離を置くものになります。
タイムロッキングコンテナはさまざまな種類のものが販売されており、ボックス内に入れた状態でもスマホの充電ができるタイプや、緊急時には電話ができるタイプなど、幅広い種類のものが販売されています。
(6)寝室での充電を止める
寝室でスマホの充電をやめることは、睡眠の質を改善するのに効果的です。寝室で充電できる環境にすると、寝る直前までスマホやパソコンに触れてしまうこともあるでしょう。就寝前にブルーライトを浴びることは、睡眠の質が悪化する原因となります。
そこで、「充電はベットから離れた場所でする」「部屋をわける」といった対策が有効です。睡眠不足の状態が続くことで睡眠負債となり、心身へ支障をきたすことのないよう、寝室でのデジタル機器の充電はできるだけ避けましょう。
(7)デジタルデトックス専用のホテルのプランを利用
旅とデジタルデトックスを兼ねた宿泊プランが用意されたホテルもおすすめです。
このホテルでは、チェックインする際にデジタル機器を預けるため、宿泊中にデジタル機器を利用することはできません。
星野リゾートでは、以下の施設でデジタルデトックス用の宿泊プランが提供されています。
- 軽井沢
- 京都
- 竹富島
- 富士
- 東京
これらのプランでは、各地の自然や地域文化を体験することで、無理なくデジタル機器から離れることができるでしょう。
[出典:PR TIMES「スマホを1日何時間使っている?意識と実態に3時間差『スマホ利用に関する生活者実態調査』 公開」]
[出典:星野リゾート「【星のや】「星のや」にて「脱デジタル滞在」を通年で提供開始」]
デジタルデトックスで感じられる6つの効果
デジタルデトックスによって脳がリフレッシュされると、睡眠の質が上がり体調も整ってくるでしょう。また、デジタル機器を使わないことで時間の余裕も生まれます。時間のゆとりは、心のゆとりにもつながるでしょう。
時間と気持ちに余裕ができると、これまでは目に入らなかった新しい発見をすることにもつながります。ここでは、デジタルデトックスの実践によって感じる効果やメリットを6点、ご紹介します。
(1)脳がリフレッシュされる
デジタルデトックスの1番の効果と言われているのが、脳のリフレッシュができることです。
今の便利な世の中では、スマホやパソコンを使って、どこにいても情報を入手できるため、脳の処理が追いつかず、情報過多な状態となってしまうこともあります。
何気なくSNSやYouTubeを見ているだけでも脳に情報がインプットされているものです。情報過多になると、以下のような状態になることがあるので、注意が必要です。
- 集中力の低下
- 眠気
- 身体のだるさ
少しでも疲れを感じたら、デジタル機器を離れた所におき、脳をリフレッシュして集中力や記憶力を回復させましょう。
(2)睡眠の質が上がる
デジタルデトックスにより、スマホから一定の距離を置くことで、睡眠の質が向上されます。
スマホやパソコンから出ているブルーライトは、交感神経を刺激し、体内時計が朝と勘違いすることで脳を覚醒させてしまいます。
- 寝つきが悪い
- 深夜に起きてしまう
- 寝た感じがしない
- 頭がスッキリしない
一般に、就寝する30分前はスマホやパソコンを見ない方がよいといわれています。上記の症状を感じる方は、寝る前にスマホやパソコン操作をやめ、デジタルデトックスすることで睡眠の質を向上させましょう。
(3)不必要なツールやアプリを見極められる
デバイス機器に触れる時間が短くなると、自分にとって何が必要なアプリで、何が不要なのかを見極められるようになってくるでしょう。何ヶ月も使用していなかったアプリを不要と判断し、削除する余裕も生まれるでしょう。
すっきりしたスマホ上ではアプリを探す手間も省け、メモリを圧迫することもなく、効率よく利用できるでしょう。
(4)時間の余裕ができる
スマホを持つことで、SNSやゲームなど娯楽の幅が広がりました。その結果、気付かぬうちに多くの時間をスマホの利用に費やしていませんか?
「暇だから」「今日はやることがなくて退屈だから」といった理由で、目的もなくスマホを操作し、気が付いたらベットの上で1時間も経過していた、などといった経験は誰しもあるのではないでしょうか。
デジタルデトックスをおこなうことで、スマホを操作していた時間を有効活用できます。それまでスマホを見ていた時間を、読書や運動などに充てることができれば、それは将来的に自分にとっての財産となるでしょう。
スマホから離れてできた時間の余裕が、自分を成長させることにつながるかもしれません。
(5)心身ともに健康になる
デジタルデトックスは、心身ともに健康につながる効果が期待されています。デジタル機器に触れている時間が長くなると、睡眠の質の低下やSNSによる精神的な疲れなどを引き起こしてしまう懸念があります。
デジタルデトックスによりデジタル機器から距離をおくことで、以下のように心身とも健全な状態を保てるのではないでしょうか。
- 睡眠の質があがり毎朝スッキリ起床できる
- SNSを見る時間が減り、精神的に疲れにくくなる
- スマホを見る時間が減り、集中力が増す
心と体の健康は生活のベースです。健康な体があってこそ、さまざまなことにも挑戦できるものです。デジタル機器の利用に費やす時間は長くなり過ぎないように意識しましょう。
(6)新しい発見がある
デジタルデトックスをすることで、それまで気付けなかったことに目を向ける余裕を持てるようになるでしょう。スマホの利用に集中し過ぎてしまうと視野が狭くなり、身の回りの情報や町の変化に気付きにくくなるといった側面があります。
例えば仕事帰りの電車のなかで、スマホを利用せずに外を見ていると、「もう桜が咲く季節だ」「新しくお店がオープンしているな」といったように新しい発見があるかもしれません。
スマホを置いておくことで、心豊かなひと時を過ごせるようになるのではないでしょうか。
デジタルデトックスが効果ないと言われる理由
デジタルデトックスのメリットや効果もご紹介しましたが、一方で、デジタルデトックスは効果がないともいわれています。
MojoVisionの調査結果によると、デジタルデトックスに取り組んだ人たちの54%は望ましい効果を得られなかったと回答しています。
さらに、デジタルデトックスが続かず、すぐにデジタル機器の使用を再開しまったと答えた人は33%にのぼったことも報告されています。
デジタルデトックスで利用を我慢した後は反動が出てしまい、結局、さらに長く使ってしまったという人も少なくありませんでした。
スマホの使用時間を減らしても効果は一時的なもので、すぐ元の習慣に戻ってしまっていては、根本的な解決とはなっていません。
また、ここまで生活に浸透しているスマホやデジタル機器の使用をしないという選択肢は、非現実的であると考える人も多いようです。
スマホを使い過ぎてしまう原因がSNSにあると、多くの人が答えています。デジタルデトックスを継続したい場合、生活そのものを見直す必要があるのではないでしょうか。
[出典:Mojo Vision Inc.「Device Distraction: Understanding the Problem, Re-Thinking the Solution」]
効果がない時の対処法は「デジタル・ミニマリズム」
デジタルデトックスの効果が感じられない時の対処法として、「デジタル・ミニマリズム」が注目されています。
デジタルデトックスに挑戦したけれども長く続かなかった場合や、反動が出てさらに利用が増加してしまったというような人には、デジタル機器との新しい向き合い方、デジタル・ミニマリズムについてご紹介します。
(1)デジタル・ミニマリズムとは?
「デジタル・ミニマリズム」とは、デジタルツールの断捨離と考えてもよいでしょう。デジタル・ミニマリズムは、不要なものを減らし、必要最小限のもので暮らす「ミニマリスト」と「デジタル」を掛け合わせた言葉になります。
デジタル・ミニマリズムは、一時的なデジタルデトックスではなく、長期的なデトックスを目的としています。生活に浸透しているデジタル機器だからこそ、不要なものは取り除き、毒素をためないようにして、うまく利用することが大切です。
#1: デジタル・ミニマリズムの理解におすすめの本
デジタル・ミニマリズムを正しく理解して実践するために、「デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する」がおすすめです。
他にも以下の本を読むことで、さらに理解が深まるでしょう。
- スマホ脳
- 僕らはそれに抵抗できない「依存症ビジネス」のつくられかた
(2)具体的な行動例
デジタル・ミニマリストは、具体的にどんな行動があるのか?例を3つご紹介していきます。
#1: SNSに「いいね」やコメントをしない
「いいね」やコメントをしないことは、デジタル・ミニマリストの行動でよくあげられる事例です。
SNSには仕事上のつながりや友人などのフォローしている人も多いでしょうが、「いいね」やコメントをしないと相手を不快にさせるのではないかと気になり、精神的に疲れてしまう、といったことはよく聞かれる話です。
そこで、SNSでの「いいね」やコメントする回数を減らし、家族や友人たちと現実の世界での接点を持ちましょう。親しい人たちと、実際に対面してコミュニケーションを取ることで、きっと充実感や満足度が高まるでしょう。
SNSの利用に集中し過ぎると、場合によっては現実の世界での人間関係をおざなりにしてしまいかねません。自分をデジタル機器の束縛から解き放ち、本質的に何が大切なのかを考えてみましょう。
#2: 使わない時間を決める
デジタル機器が仕事上や家族との連絡手段になっている人も多いでしょうし、機器の利用を完全にやめてしまうことは非現実的です。絶対にデジタル機器を使わないと決めてしまうと、逆にそのストレスから継続が困難になることも考えられます。
そこで、デジタル機器をまったく使用しないのではなく、使わない時間を決めてみましょう。使うアプリの種類を限定することも効果的です。流れとして、以下の手順で行うとスムーズに実行できるでしょう。
- 自分がどのくらいスマホやパソコンを使用しているか書き出す
- スマホやパソコンを使用する時間を決める
- 使用するアプリの種類を決める
- 集中するときは、スマホを手の届かない所に置く
上記の手順を参考にすることで、自然とデジタル・ミニマリスト化できるでしょう。
#3: 大切なことから逆算してスケジュールを立てる
デジタル機器の利用には便利な側面もありますが、機器の利用に熱中し過ぎることによって犠牲になるものもあるかもしれません。
まずは、自分にとっての大切なものについて考えてみましょう。仕事に打ち込む時間、家族や友人と過ごす時間など優先順位を付け、逆算するようにスケジュールを組み立てることで、おのずとデジタル機器を使う時間は減ってくるのではないでしょうか。
効果を感じにくい時はデジタル・ミニマリズムの実践を
デジタルデトックスには今日から実践できる手軽なものもありますし、キャンプや観光とセットになった魅力的なプランもあります。
同時にデジタルデトックスは、継続することの難しさも併せ持っているといえるでしょう。一時的なデトックスに終わってしまえば、根本的な解決にはつながりません。
持続性についても意識してデジタル・ミニマリズムを取り入れ、デジタル機器の利用をコントロールすることにより、ベストバランスでこれらの機器との距離を保つことも有効でしょう。
デジタル機器を手放した生活がベストであると考える必要はありません。デジタル化社会に生きる私たちが、何が大切なのかを忘れずに過ごす中でデジタル機器と向き合っていくことが、健全な生き方といえるのではないでしょうか。
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