テレワークとリモートワークの違いとは?意味や定義・導入メリットを解説
近年よく耳にするようになったテレワークとリモートワーク。何気なく使っている言葉ですが、それぞれはどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、そんなテレワークとリモートワークの違いについて、意味や定義など詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
テレワークとは?
テレワークとは「tele(離れた場所)+ work(働く)」を掛け合わせた造語で、オフィスから離れた場所で業務を行う働き方のことです。元々テレワークはアメリカで生まれた働き方で、日本では1984年にNECが初めてテレワークを導入しました。
コロナ渦や働き方の多様化を実現するために、多くの企業がテレワークを導入したここ数年の間で、テレワークの認知度が急激に高まっています。
なお、日本テレワーク協会によると、「ICT技術を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と、定義されています。
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テレワークの起源
1970年代のアメリカでテレワークという言葉が生まれました。当時、自動車製造による大気汚染が社会問題となっていたアメリカは、自宅で仕事ができる体制を整えるため、テレワークを導入しました。
日本ではインターネットの普及が始まった1984年に、NECがサテライトオフィスの創設と同時にテレワークを初めて導入しました。NECは結婚や出産で退職する女性が多く、優秀な人材の流出に悩んでいました。育児との両立を目指せるよう、サテライトオフィスの創設とテレワーク導入を同時に行っています。
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リモートワークとは?
リモートワークとは「remote(遠隔)+work(働く)」を掛け合わせた造語で、オフィスから離れた場所で業務を行う働き方全般を指します。主に民間企業に所属する会社員やフリーランスの働き方を形容する場合に、リモートワークは使用されます。
リモートワークはデザイナー・エンジニア・ライターなど、納品物の質で評価される職種と相性が良い働き方です。上記の職種は一人ひとりの担当案件・業務内容が異なる他、勤務地によって納品物の質にさほど大きな影響を与えないからです。
なお、リモートワークはテレワークよりも後に生まれた言葉で、人々の間に定着してから日が浅く、語源や定義は明確化されていません。
リモートワークの特徴
リモートワークはオフィス以外の場所で働く会社員やフリーランスを対象に多く使われる言葉です。デザイナー・エンジニア・ライターなど、スキルや知識を活用して業務を進める職種にリモートワークは適用されています。
一人で業務を完結できる・社員ごとに担当案件が異なる・納品物で評価されるなど、働く場所や時間に囚われない職種と相性が良いためです。
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テレワークとリモートワークの違いとは?
テレワークは言葉の定義が明確化されている一方、リモートワークの定義はありません。ただし、違いは定義の有無だけで、どちらも言葉の意味は一緒です。オフィス以外の場所で業務を行う働き方を指します。また、傾向的にテレワークは政府や自治体など、行政側が使う言葉として認知されています。一方、リモートワークは民間企業の社員・フリーランス・個人事業主の働き方を形容する場合に使われるケースが多いです。
テレワークには明確な定義がある
日本テレワーク協会では、「ICT技術を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と、定義しています。つまり、ノートPC・スマートフォン・タブレット端末を活用し、オフィス以外の場所で働くことが、テレワークに該当します。
また、テレワークは、在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務の3種類に分類されます。
在宅勤務
在宅勤務はオフィスに出社せず、自宅で仕事を行う働き方です。就業時間中はメール・チャット・電話で上司や同僚と連絡を取りながら、業務を進めていくのが特徴です。
在宅勤務へ完全にシフトしている企業もあれば、週に1〜2日オフィスへの出社を組み合わせるハイブリッドワークを導入しているケースもあります。
ハイブリッドワークを導入すると、コミュニケーション不足解消・社員の主体性向上・オンとオフの切り替え促進など、多くのメリットが望めます。コミュニケーション不足や業務効率低下にお悩みの場合は、ハイブリッドワークの導入を検討してください。
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モバイルワーク
モバイルワークは商談の合間や移動中に、ノートPC・タブレット端末・スマートフォンを駆使して、業務に励む働き方を指します。外出機会が多い営業マンに適用される働き方です。
外出先でもメールチェック・資料作成・商談報告を行えるため、一度帰社して作業をこなす必要は無くなります。
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サテライトオフィス勤務
サテライトオフィス勤務とは、本社から離れた場所に設置された小規模オフィスで仕事に励む働き方を指します。インターネット環境・会議室・モニターなど、業務に必要な設備が一通り揃っており、快適な環境で仕事に打ち込めます。
コワーキングスペースやシェアオフィスとは異なり、自社専用のワーキングスペースとなるため、不特定多数の方との接触を避けられる点が特徴です。
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テレワーク・リモートワークの需要が高い背景
テレワーク・リモートワークは現代では様々な企業で導入されており、世間からの需要も非常に高いです。なぜ、需要が高まっているのかの理由について紹介していきます。
働き方が多様化しているため
現代においては、出世欲や収入を増やす目的で仕事をしている人が少なくなってきており、私生活との両立・プライベートの充実などが重視されています。
このように変化している価値観に対して、テレワークという働き方は非常に相性が良く、需要が高待っています。
少子高齢化が慢性化しているため
少子高齢化が慢性化しており、労働人口が少なくなってきているのもリモートワークの需要が高まっている背景の一つです。
労働人口が減少しているために、企業が少しでも人材を確保する目的で、世間で求められているリモートワークという働き方を提供しているのです。
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テレワーク・リモートワークの導入メリット
テレワークの導入によって得られるメリットは以下の6点です。
- コスト削減
- 離職防止
- 生産性向上
- ワークライフバランス改善
- 育児と介護との両立
- 非常事態下での継続性確保
企業と社員側に多くのメリットをもたらします。
コスト削減
テレワークを導入するとオフィスに通勤する必要が無くなり、交通費・移動費を削減できます。さらに、社員や取引先とのコミュニケーション・書類作成・データ入力など、業務に必要なやりとりはオンライン上で完結するため、印刷費・インク代・OA機器のリース代などを削減できます。
さらに、ペーパレス化の促進によって、これまで用意していた書類の保管スペースも必要無いため、オフィスの省スペース化を実現可能です。
離職防止
テレワークの導入によって柔軟な働き方を実現できる環境が整い、優秀な人材の離職を防げます。居住地が変化してもインターネット環境さえ整っていれば、引き続き業務に励めます。
併せてフレックスタイム制を導入すると、社員が仕事量を調整しやすくなり、無駄な残業の削減・業務効率改善・成果物の品質向上が望めます。
生産性の向上
マイペースで仕事に取り組めるため集中力を保ちやすく、黙々と業務に励むことができるため、業務効率改善が期待できます。
また、web会議ツールの利用で対面商談からオンライン商談へ移行すると、営業活動の効率化と顧客満足度向上を実現できます。移動時間を顧客との商談に充てられるからです。顧客との接点が増え、リピート率改善・新規案件発掘・購入単価向上につなげられます。
ワークライフバランスの改善
テレワークの導入によって無駄な残業を削減され、通勤する必要がなくなるため、プライベートの時間が長くなります。そのため、ワークライフバランスを改善できます。
近年は価値観の多様化・趣味時間の充実・副業への挑戦など、様々な理由から仕事よりプライベートを重視する方が増えています。2019年にIBJが独身男女700人を対象に行った調査(※)では、男女とも8割以上の方が「プライベートを優先した働き方を実現したい」と、回答していました。
テレワークの導入でワークライフバランスが改善されると、従業員のモチベーションアップにもつながります。
参照元:株式会社IBJ
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育児・介護との両立
テレワークとして自宅で働くような環境ができれば、時間や場所に囚われない働き方を実現でき、育児や介護と両立して働くことができます。
会社によっては時短勤務を採用しているケースもあり、働きやすい環境を提供している企業も非常に多いです。また、企業側にとっても優秀な社員の流出を回避できる他、企業のイメージアップにもつながります。
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テレワーク・リモートワークの導入における課題
テレワーク導入時に発生する課題は以下の4点です。
- ネットワーク環境のセキュリティ対策
- 勤怠管理の複雑化
- コミュニケーションの減少
- 切り分けが難しくなる仕事とプライベートの境界
ネットワーク環境のセキュリティ対策
社外からアクセスする機会が増加するため、情報漏洩のリスクが高まる点には注意しておきましょう。第三者が出入りするカフェやコワーキングスペースで業務を行った場合、ノートPCの盗み見・盗難・紛失につながる可能性があります。
パスワードの設定・スマートフォンの携帯・シンクライアント端末の導入など、情報漏洩のリスクを最小限に抑える取り組みが進めましょう。また、無料Wi-Fiのお店で作業する場合、Wi-Fi名(SSID名)に錠前マークがあるか確認してください。
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勤怠管理の複雑化
テレワークでは、オフィスワーク時に利用していたタイムカードによる管理ができなくなってしまうため、勤怠管理が複雑になってしまうのもデメリットです。修正作業や管理負担の増大を避けるためにも、テレワーク導入前に勤怠管理を見直してください。
また、オフィスワークと異なり、上司や先輩からの監視の目はありません。自己管理能力が乏しい場合は業務に身が入らず、業務効率悪化や成果物の品質低下につながります。チーム単位で業務を進めている場合は、全体の作業進捗にも影響を及ぼします。
取引先に迷惑を掛けないよう、部署内で定期的に仕事の進捗具合を確認する機会が必要です。
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コミュニケーションの減少
社員同士気軽にコミュニケーションを図れる機会が減少します。チャットの場合は基本的に文章のみのコミュニケーションとなるため、相手の仕草・表情・声色がわからず、対面での会話と比べ微妙なニュアンスが掴めません。
特にチーム単位や複数人で仕事を進める機会が多い部署に所属している場合、寂しさや孤独感を覚えやすくなります。毎週オンラインで部署内ミーティングを行い、社員同士顔を合わせる機会を設けてください。
また、状況に応じて出社と在宅勤務を併用するハイブリッドワークを導入し、コミュニケーション不足解消を図るのも一つの選択肢です。
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仕事とプライベートのメリハリがつかなくなる
テレワークの導入で業務を中断される機会が激減するため、マイペースで仕事に打ち込めます。ただし、業務に集中し過ぎて仕事を切り上げるタイミングを見失い、結果的に残業時間増加につながるケースがあります。
特に在宅勤務の場合はプライベートの境界線が曖昧になりやすく、オンとオフの切り替えが困難です。長時間労働の慢性化に悩む社員が多く発生した場合は、出社と在宅勤務を併用するハイブリッドワークを導入してください。
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テレワーク・リモートワークを導入する際のポイント
テレワーク導入時に重要なポイントは以下の4点です。
セキュリティ対策は入念に行う
マルウェア感染・ランサムウェア・内部漏洩など、様々な点に気を配ったセキュリティ対策を講じないといけません。情報漏洩のリスクを最小化するためには、複数のセキュリティツール導入が不可欠です。
例えば、EDRを導入するとスマートフォン・ノートPC・タブレット端末に入った脅威を素早く検知・隔離し、モバイル端末内の安全性を高められます。ウイルス対策ソフトでは検出困難なファイルレスマルウェアやランサムウェアにも対応しています。
さらに、侵入経路や影響範囲を分析できるため、今後のセキュリティ対策の参考データとしても活用可能です。また、IDaaSを導入すると不正アクセスのリスクを軽減できます。
ユーザーが社外からクラウドサービスやアプリにアクセスする際、多要素認証を要求するからです。ワンタイムパスワード・スマートフォンアプリ・指紋認証などを設定し、なりすましによる情報盗取を防げます。
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勤怠管理システムを導入する
勤怠管理システムの導入で、社員の出退勤時刻や労働時間を正確に把握できます。スマートフォン・ノートPC・ICカードなど、様々な方法で打刻できるため、働く場所を問わず出退勤時刻を正確に管理できます。
生体認証やGPSを活用した勤怠管理システムもあるため、不正打刻が起きるリスクを最小限に抑えることが可能です。また、残業時間・有給休暇・給与計算など、労務管理全般の作業をシステム上で完結できるため、管理負担軽減にもつなげられます。
業務プロセスをデジタル化する
テレワークはオフィスではなく自宅で仕事をするために、オフィスに出社しなければならない作業があると、テレワークという働き方は実現しません。
そのため、紙で処理している業務はできるだけデジタル化を進める・承認フローをデジタル化するなど、パソコンのみで仕事が完結するようにしましょう。また、デジタル化によって業務の効率化やコストの削減も期待できるでしょう。
コミュニケーションツールを導入する
ビジネスチャットやweb会議ツールを導入すると、社員同士が気軽にコミュニケーションを取れる環境を構築できます。ビジネスチャットは複数人の方とすぐに情報を共有できる点がメリットです。
また、タスク管理もできるため、業務の見落としや対応漏れのリスクを最小限に抑えられます。
一方、web会議ツールは互いの顔を見ながら会話できる点がメリットです。文章では伝わりにくい細かいニュアンスも伝えられるため、部署メンバーとスムーズな意思疎通が期待できます。
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テレワーク・リモートワークを導入して時代に合った働き方を
テレワークとリモートワークは定義の有無が違うだけで、言葉の意味は一緒です。どちらもモバイル端末やオンラインツールを活用し、オフィスから離れて仕事を行う働き方を指します。
テレワークの導入でワークライフバランス改善・コストカット・育児や介護との両立など、社員と企業側双方に多大なメリットをもたらします。一方で、セキュリティ対策・コミュニケーション不足・勤怠管理の複雑化など、様々な課題を解決しなければなりません。
今回の記事で紹介したツールやポイントを参考に、課題解決を図ってください。
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