【事例あり】DX推進に動画を活用する方法!メリットや成功させるコツ
多くの企業でDX化が進んでいる中、ビジネスにおいて動画を活用できるシーンが増えています。本記事では、DX推進に動画の活用をおすすめする理由、メリット、具体的な活用方法を解説していきます。実際に動画を活用した5つのDX成功事例も紹介しますのでぜひ参考にしてください。
目次
DXとは
デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation: DX)とは、デジタル技術を企業活動のなかに取り込んで、ビジネスの再構築を図ることです。DXによって、ビジネスのやり方や顧客との関わり方を変革(transform)することが目的です。
DXを推進し、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することは企業にとって喫緊の課題です。各企業はさまざま活動を通して、DX化を模索しています。
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DX推進に動画活用がおすすめな理由
近年、スマートフォンの普及や5Gの整備などによって、生活のなかに当たり前のように動画が溶け込み始めています。YouTubeやニコニコ動画などの無料動画サービスをはじめ、Netflix、DAZN、Disney+といった有料の動画サービスを利用している人も多いことでしょう。
スマホやタブレットなどのデバイスの普及や情報インフラの整備、コンテンツ産業の発展などが相まって、これまで以上に動画を視聴しやすい環境が整ってきているのです。
これに加えて、コロナ禍もあって、可処分時間の使い方がより一層ネット中心になっており、特に動画に触れる時間が増えています。
消費者にとって動画が生活の一部になっている現状では、DX推進に動画を活用するのは当然の流れとも言えるでしょう。これはBtoB、BtoCのどちらにも当てはまることで、適切な内容・方法・タイミングで動画コンテンツを発信することによって、ユーザーに最適な情報を届けられるようになっているというわけです。
また、動画は文字情報よりも伝えやすいという特徴があり、短時間で多くの情報を効率的に届けられるなどのメリットもあります。企業がDXを推進する際には、そのような動画の強みも最大限に生かす必要があります。
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DX推進に動画を活用する5つのメリット
ここでは、DX推進に動画を活用する5つのメリットを紹介していきます。
1.時間・場所を選ばない
DXの推進に動画を活用する最大のメリットは、動画は時間と場所を選ばないということです。
動画の視聴者は自分の好きなときに、好きな場所で動画コンテンツを見ることができます。パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレット端末などでも視聴可能です。
一般ユーザー向けの動画配信サービスはもちろん、ビジネスシーンでも動画コンテンツのメリットを享受できます。たとえば、メールやチャットに動画を添付したり、自社サイトにアップしておけば、相手の都合がよい時間に動画コンテンツを確認してもらえます。
しかも、動画は何度でも視聴できます。製品情報や会社紹介・施設見学を動画にして、オンラインでの広報活動に利用すれば、ユーザーはいつでもその情報にアクセスできるのです。
2.伝えられる情報量が多い
文字や画像と比較すると、情報量が多いのも動画のメリットです。短時間で効率的により多くのことを動画視聴者に伝えることができます。
厳密に言えば、動画は伝えられる情報量が多いというよりも、伝えられる情報が具体的であるというのがメリットでしょう。
たとえば、自転車の乗り方をユーザーに伝える場合を考えてみましょう。文章や画像で説明されるよりも、実際に自転車に乗っている人の動画をみる方が具体的にユーザーは自転車の乗り方をイメージすることができるのではないでしょうか。
つまり、動画は伝えられる情報が具体的なのです。具体的な情報が含まれた動画を発信することは、商品・サービスやブランドの世界観を構築する際にも役立つでしょう。
3.コストを削減できる
DX推進のために動画を活用することはコストの削減にもつながります。たとえば、教育や採用などに関する、説明を伴う対人業務に動画を利用するケースなどが考えられます。
テキストベースの業務マニュアルに動画コンテンツをのせれば、理解の促進に役立ち、教育や研修の時間・手間・コストの削減につながります。
採用時の会社案内や自社サービスの紹介に動画コンテンツを活用すれば採用担当者の負担軽減、人数削減も期待できます。
それによって生まれた人的リソースを、他の業務に振り分けられるのもメリットです。
4.マーケティングにも活用できる
動画はさまざまな顧客にリーチできる可能性があるので、多くのデータの収集が可能になります。集めたデータをもとに、ユーザー属性の分析・測定を行えば、狙った顧客ターゲットへ適切なコンテンツを届けることができます。PDCAサイクルを高速に回し、コンバージョン率をアップさせるような最適な施策につなげることもできます。
また、オンライン動画はTVCMに比べて制作費が安いという特徴もあります。これまでは、動画を企業のマーケティングに活用する際にはTVCMが中心でしたが、制作費用がネックとなっていました。
しかし、最近のWebコンテンツの動画制作費は、小規模な企業でも十分導入可能なレベルとなっています。動画投稿のプラットフォームを使えば、より簡単に導入可能です。
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5.SNSと関連付けられる
制作した動画コンテンツは、SNSと関連付けることで相乗効果を生み出すことができます。
近年では、動画プラットフォームとSNSの境界はなくなってきています。YouTube、TikTok、ニコニコ動画などの動画投稿プラットフォームでは、他のSNSを利用して簡単にコンテンツをシェアできます。
動画コンテンツは、SNSと関連づけることでユーザー同士で拡散され、想定以上のターゲット層に届けられる可能性があるのです。
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DX推進に動画を活用する際の4つのポイント
DX推進に動画の活用がいかに有用であるかについては理解できたと思います。ここでは、実際にDX推進のために動画を活用する際に、大切な4つのポイントを説明していきます。
1.DXの動画制作担当者を確保する
動画を作成するためには、動画のディレクション(方向づけ)を行う動画制作担当者を確保する必要があります。
経済産業省が2018年に取りまとめた『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』のなかでも、「デジタル技術の進展の中で、DX を実行することのできる人材の育成と確保は各社にとって最重要事項である」と説明されています。
DXのために動画を活用する場合も同様で、動画コンテンツを戦略的に使える人材の確保は極めて重要です。
ここで大切なのは、単に動画を制作できる人材ではないということです。何のために動画を制作するのか、誰を動画のターゲットにするのかなど、動画制作の意図と目的を理解して、ディレクションできる人材です。
各業務部門において、業務内容に精通しつつ、動画の活用によって何ができるかを理解し、DXの取り組みをリードする人材を確保することがポイントです。
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2.ユーザー視点の動画作成を意識する
なぜDX推進のために動画作成をするのかと言えば、動画の活用によって顧客などとの関係性を変えられる可能性があるからです。
たとえば、採用活動において動画を作成するケースで、自社のアピールポイントなどを動画コンテンツに盛り込んだとしましょう。
当然そこには、ターゲットである、会社に興味を持ってくれている人材が興味を持ちそうな内容が含まれているはずです。具体的には自社サービスの魅力や強み、先輩社員のインタビュー、職場見学・施設見学、福利厚生に関する動画などです。
このように、動画コンテンツにはターゲットの興味・関心を踏まえた上で盛り込む内容を考える必要があります。ホームページに掲載されているような単なる会社紹介の動画では、動画コンテンツとしての魅力に欠けます。
そうなると動画の目的である採用につながりません。ユーザーがどんな情報を知りたいのかを考えながらコンテンツを制作しましょう。
3.あらゆるシーンで動画にシフトできるか模索する
これまで文書や画像などで対応していた業務について、動画にシフトできないかと考える視点も重要です。
前述したように、動画は相手により具体的に内容を伝えられるというメリットがあり、短時間で効率的に多くの情報を伝えられます。
ユーザーが何度も動画を視聴できる環境にあれば、わかりにくいことでもユーザーは繰り返し見返すことで理解を深めることができるでしょう。
たとえば、自社製品の特徴や使い方をわかりやすく説明した動画を動画プラットフォーム上にアップロードすることで、消費者は具体的な利用シーンをイメージしやすくなります。
また営業部門でも、これまでプレゼンソフトで作っていた資料を動画に置き換えるケースなども考えられます。
4.動画作成に対する苦手意識をなくす
TVCMに代表されるように、これまでは動画コンテンツの制作は制作会社などが担うものであり、多額のコストがかかるものでした。しかし、近年、動画プラットフォームや動画編集ソフトの普及などにより、動画制作は誰でも取り組みやすい環境が整っています。
以前に比べて、動画作成に対するハードルが低くなってきており、専門的な知識がない人材が動画担当者になるケースも増えています。
動画コンテンツの活用を考えている人にとっては、たとえはじめての業務だとしても苦手意識を持たないようにすることが重要です。またシステムやツールの導入決定者も、動画制作はコストがかかるという先入観にとらわれないで、柔軟に考えるべきでしょう。
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DX推進に動画を活用する具体的な方法とは
DXの推進に動画を活用することは、企業にとって多くのメリットがあります。ここでは、動画の具体的な活用シーンについて説明していきましょう。
1.解説動画
文章では解説しにくいことも動画で解説すれば伝わりやすくなります。テキストや画像では伝わりにくい細かい部分を含めた作業手順を動画で伝え、音声で補足説明を行えば、紙媒体よりも多くの情報を相手に伝えることができるでしょう。
現場で紙媒体を使って口頭で説明する場合には一度しか伝えられませんが、動画にしておくことで何度も繰り返し動画をみて理解を深めることができます。しかも、動画であれば自発的に視聴できるので、わざわざ同じことを繰り返し説明する手間も省けます。
2.サービス・製品の紹介動画
企業の動画コンテンツの活用シーンとして最も代表的なのがサービス・製品の紹介動画でしょう。自社商品を紹介するサイトに動画を設置しておけば、ユーザーはサービスや製品の具体的な利用シーンや特徴を理解しやすくなります。
自社サイトに動画を設置する以外にも、動画プラットフォームにサービス・製品を紹介した動画をアップロードすれば、既存顧客だけでなく潜在顧客へも効果的にリーチできます。
3.人材採用に関する動画
人材採用に動画を利用する方法もあります。求職者にとって、その会社に関する詳細な情報は入手しにくいものです。ホームページや求人サイトなどにおいて、文章で最低限の説明はされていても具体的に仕事内容を思い浮かべることは難しいはずです。
会社紹介、先輩社員へのインタビュー、事業内容を紹介する動画などがあれば、より具体的に会社の仕事を理解してもらえます。
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4.営業プロセスの動画化
営業活動でも動画コンテンツを導入するケースが増えています。たとえば製品やサービスの紹介動画やデモ動画、マニュアル動画を活用すれば、顧客の理解を深めることができます。
他にも既存顧客に新たなサービスを提案するためのウェビナーなど、営業現場での動画の利活用が進んでいます。
また動画は、ノウハウやナレッジの管理・共有にも使えます。営業活動のプロセスは各営業マンの手腕に依存しているケースも多く、企業にとっては属人化を解消することが課題になっています。
有能な営業マンやベテランの営業マンの営業プロセスを動画にしておけば、組織内でノウハウを標準化でき、誰であっても効果的な営業活動ができるようになるでしょう。
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5.社内マニュアル・研修の動画化
一般的に、新入社員への研修では大量の書類(マニュアル)が配られ、書類の内容にもとづいて業務プロセスの説明が行われます。そうしたやり方が効果的である場合もあるかもしれません。しかし、新入社員にとって、大量のテキストから業務を理解するのは難しい作業と言わざるを得ません。
そこで、業務プロセスの解説動画を作成してみましょう。文書で説明されるよりも、動画で説明されることでより具体的に業務プロセスを理解することができます。
図や文章を使用したマニュアルでは難解となってしまいがちな内容でも、新入社員は業務プロセスを具体的に理解できるでしょう。
動画であれば、新入社員は、自席や自宅などで視聴することができます。研修のために新入社員を同じ場所に集める必要もありません。教育担当者の作業負担にもつながるなど多くのメリットを享受できます。
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DX推進に動画を活用した成功事例5選
ここでは、動画活用でDXに成功した具体的な事例を5つ紹介していきます。
1.Google Japan
Google Japanは、Google のオンライン広告プログラムの広報宣伝のために動画コンテンツを活用しました。
実際に、Googleのオンライン広告を利用した企業の担当者にインタビューをした様子を動画コンテンツとして配信することで利用者を広げようという狙いです。
Google 広告で作成したオンライン広告は、自社の商品やサービスに関心を持っているユーザーに適切なタイミングで表示されます。
こうした優れたサービスであっても、ユーザーに認知されなければ利用者は少ないままに留まってしまいます。Google Japanは動画コンテンツをYouTubeの動画コンテンツとして配信して、その認知度を高めることに成功しました。
2.Netflix
Netflixは、動画コンテンツを配信することにより、従来のサービスであった実店舗でのビデオレンタルビジネスを変革しました。
デジタル技術の革新によって、大規模なストリーミングビデオの配信が可能になり、新しいビジネスを生み出したのです。
DXの推進により、Netflix はビデオコンテンツを顧客に直接ストリーミング配信できるだけでなく、視聴習慣や嗜好に関する洞察を得られるようになりました。
そのデータは、ユーザー体験の設計から、自社スタジオでの映画制作に至るまで、あらゆることに活用されています。
定額制のコンテンツをテレビ、パソコン、携帯端末に直接ストリーミング配信するという新しいビジネスモデルは、人工知能を活用したコンテンツ推薦システムなどのイノベーションをも生み出しました。
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3.家庭教師のトライ
株式会社トライグループが運営する家庭教師のトライは、2015年7月から、中学生・高校生向け映像授業サービスである「Try It」を開始しました。
個別教育のリーディングカンパニーとして、マンツーマン教育を行ってきた家庭教師のトライが培ってきたノウハウを生かすことで、完成度の高いコンテンツの制作に成功しました。
約6,000本の映像が制作されており、定期テストや大学・高校受験対策、苦手科目の克服など、これまでに100万人を超えるユーザーに無料で利用されています。
Try Itは永久無料なので、このサービスが直接売上拡大につながるわけではありません。同社では、Try Itを通じて、家庭教師のトライによる実際の指導を受けてみたいという幅広い潜在的なユーザーに働きかけることも狙いの一つです。
4.Gaba
マンツーマン英会話スクールを運営するGabaは、コロナ禍に大きな影響を受けた企業の一つです。そこでGabaは状況を打開するために、動画コンテンツの制作に着手しました。
Gabaは、電車広告などのオフライン施策から、コロナ禍を機にWEB広告やSNSアカウントの運用に力を入れるようになりました。
2021年6月、Gabaは、渋谷スクランブル交差点近隣の大型ビジョンに自社制作の動画広告を放映しました。動画制作には、アライドアーキテクツ株式会社が提供する動画作成支援サービス「LetroStudio(レトロスタジオ)」を活用。
これにより、従来よりも動画制作コストを抑えることに成功し、同時に顧客へのタイムリーな訴求も可能になりました。
5.MIC株式会社
MIC株式会社(旧水上印刷株式会社)は、マーケティング活動の全体最適化を実現するサービスを提供している会社です。
MIC株式会社では、50名を超えるクリエイティブメンバーが、オンライン・オフラインの垣根を越えてコンテンツを制作し、最適な形でのプロモーション活動や情報発信の運用を行っています。
自社のYouTubeチャンネルも開設して、動画を広く公開したり、採用ページに社員インタビュー動画などを掲載しています。これによって、自社サービスの利用や新規採用につなげています。
▷DXの事例集20選!成功事例からわかるDX推進のポイントをわかりやすく解説
DX推進の新たな選択肢として動画活用の検討も
DX推進は、今後の企業活動において欠かせない重要な要素の一つです。DX推進を実現する有効なツールの一つとして動画があります。従来、動画の制作はコストのかかるものでしたが、昨今では、誰もが動画制作ができる環境が整いつつあります。
企業プロモーションや販促活動、SNS展開などに加えて、営業ツールや社員教育など、あらゆるビジネスシーンにおいて、動画の利活用が急速に進んでいます。
今後、自社のDX化を進めて行く上で、動画の活用も一つの選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
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