BCP対策はクラウドで実施すべき?バックアップ作成のメリットを解説

記事更新日:2022/10/12

BCP対策

クラウドシステムのバックアップを実行するイメージ

災害により重要なデータが消えてしまうことは、企業にとって大きな損失です。データの保管は自社だけでなく、クラウド上でも行えます。本記事では、BCP対策をクラウドで実施すべきなのか、バックアップを作成するメリットなどを踏まえて解説します。

BCP対策はクラウドで実施すべき?

BCP対策とは、緊急事態に直面した際に被害を最小限に抑え、早期に事業の復旧・継続を図るための計画のことです。BCPは「Business Continuity Plan」の略で、「事業継続計画」と訳されます。

クラウドでBCP対策を実施すれば、サーバーや機器を自社で用意する必要がないため、災害による機器損壊のリスクを抑えられます。また、機器の設置スペースを新たに設ける必要もなく、設備投資にかかるコスト削減も期待できるでしょう。

BCP対策のバックアップをクラウド上で作成するメリット

IT関連のBCP対策として欠かせないのが、データのバックアップです。ここでは、クラウド上でバックアップしておくことのメリットを3つ紹介します。

リモートワークに対応できる

クラウドの場合、インターネット環境さえあればどこからでもアクセスできるため、社員のリモートワークが可能です。

災害で出社できない状況になったとしても、自宅やコワーキングスペースからアクセスし、事業の復旧作業や通常業務に取り組めます。オフィスが機能不全に陥っても業務を継続できるのが、バックアップをクラウド上にしておくメリットのひとつです。

災害からデータを守れる

クラウド上にデータを保存すれば、災害時にデータを消失するリスクを減らせます。クラウドサービスのデータセンターは、災害や停電に強い場所に設置されていることが多く、構造的にも頑丈です。

また、複数箇所にデータセンターを設置しているサービスもあります。仮に自社オフィスが災害によって損壊しても、データセンターが無事であれば、データ消失のリスクは避けられるでしょう。

低コストで導入できる

バックアップ用に利用するクラウドサービスは、低コストで導入できるのもメリットです。

自社で設備を整える場合、機材の設置費用やセキュリティ対策などの初期投資だけでなく、維持費用もかかります。BCP対策は非常時の対策であるため緊急性を感じにくく、コストの問題から導入を先延ばしにするケースも珍しくありません。

一方、クラウドサービスなら導入費用を抑えられることから、素早くBCP対策用のバックアップが実施できます。

BCP対策のバックアップをクラウド上で作成するデメリット

クラウド上にデータをバックアップすることは、多くのメリットがある一方で、注意しておきたいポイントもいくつか存在します。

ここからは、覚えておきたいデメリットを確認していきましょう。

接続障害によるリスク

クラウドの場合、災害や停電などによりネットワーク障害が発生すると、自社のデータにアクセスできなくなる可能性があります。また、データセンターが被害を受けると、データが破損・消失するリスクも考えられるでしょう。

データは複数の場所でバックアップを取るなど、接続障害が起きても業務への影響を最小限に抑える体制づくりが大切です。

サイバー攻撃によるリスク

クラウドサービスのセキュリティ強度は、サービス会社に依存します。セキュリティが脆弱なサービスを選んでしまった場合、サイバー攻撃の被害を受けるリスクが高まるため、注意が必要です。

また、自社で管理できない外部サーバーにデータを預けることになるため、サービス会社側のミスにより情報漏えいが発生する可能性もゼロではありません。

BCP対策をクラウドで実施する際の注意点

クラウドを活用したBCP対策を実施する際は、いくつか押さえておきたい注意点が存在します。それぞれ詳しくみていきましょう。

セキュリティ対策を確認する

サイバー攻撃や情報漏えいといった事故を防ぐためにも、クラウドサービスを利用する際はサービス会社のセキュリティ対策内容を確認しておきましょう。

通信の暗号化、サイバー攻撃対策、万が一の場合のサポート体制など、セキュリティ対策に力を入れているサービス会社を選ぶよう心がけてください。

複数のバックアップを用意する

複数のバックアップを用意すれば、データ損失のリスクを分散できます。また、データを分散して保管すれば、特定のサーバーがダウンしても、他のサーバーへのアクセスが可能です。

データ保管の考え方として「3-2-1ルール」があります。バックアップを2つ以上作成し、そのうち1つを遠隔地に保管することで、データ紛失や損壊時のリスクを減らす方法です。

クラウドサービスによっては、複数のデータセンターに分散して保管してくれるサービスもあるため、検討してみるとよいでしょう。また、クラウド以外の場所にバックアップを保管しておくことも、リスク分散方法として有効です。

バックアップ容量を把握する

クラウドサービスは、データ量が多くなるほど利用料金も上がります。したがって、保存したいデータ量を確認したうえで、サービス会社と料金プランを選ぶことが大切です。

また、すべてのデータをクラウドに保存すると利用コストが高くなってしまうため、重要なデータのみを保管するよう心がけましょう。重複データや古いデータを削除するなど、定期的に保存データを整理しておけば容量を節約できます。

BCP対策に役立つクラウドの特徴

いざBCP対策用にクラウドサービスを導入しようと思っても、どのようなサービスが優良なのか判断に悩む人もいるのではないでしょうか。

そこでここからは、BCP対策に役立つクラウドサービスの特徴を解説します。

利用しやすい設計である

クラウドサービスを選ぶ際は、従業員にとって利用しやすいサービスを選びましょう。セキュリティなどの設備が充実していても、使い勝手が悪ければ業務効率は低下してしまいます。

特に、非常時は迅速な対応が求められます。そのため、従業員が利用しやすく、素早く利用開始できるサービスを選ぶとよいでしょう。

セキュリティが高度である

企業が扱うデータには多くの機密情報が含まれているため、サイバー攻撃や不正アクセスによる情報漏えいが起きると、甚大な被害を受けます。そのため、クラウドサービスはセキュリティ対策に評判のあるものを選ぶことが大切です。

セキュリティ対策の一環として、通信の暗号化や不正アクセスの防止、アクセスログの管理などの機能が搭載されているのかを、事前に確認しておくとよいでしょう。

複数のデータセンターを保有している

クラウドサービスによっては複数のデータセンターを保有し、データを分散して保管できるものがあります。複数のデータセンターに分散して保管することで、非常時のデータ損失のリスクを抑えることが可能です。

たとえ災害被害に強い立地にデータセンターを設けていても、自社データをひとつの場所に集中して保管することはリスクの高いものと覚えておきましょう。

BCP対策以外でも活用できる

クラウドサービスはBCP対策としてだけではなく、平常時も利用できるものがおすすめです。平常時も利用できれば、リモートワークなど社員の柔軟な働き方を推進できます。

また、普段から使い慣れていれば、非常時でも抵抗なくサービスを使えることでしょう。迅速な対応が求められる緊急時において、スムーズに作業を進められます。

BCP対策のクラウドバックアップ事例

クラウド上のバックアップを導入するうえで、実際の企業事例を知りたい人も多いのではないでしょうか。そこでここでは、BCP対策にクラウドバックアップを活用した企業事例を紹介していきます。

ヤマハ発動機株式会社

ヤマハ発動機株式会社は、静岡県磐田市にある本社サーバールームに約700台のサーバーを配置し、基幹系システムを運用・管理してきました。しかし、東海地震などの被災リスクやITインフラコストの削減を考慮した結果、体制を見直すことにしました。

そこで実施したのが、基幹系システムのクラウド化です。結果としてBCPの強化に成功しただけでなく、設備投資・維持管理・設備の老朽化対策にかかるコスト削減が実現しました。さらには、カスタマーポータルにより、世界中にある拠点の基幹系システムの一元管理が可能となりました。

[出典:docomo business「ヤマハ発動機株式会社」]

株式会社鹿児島放送

2011年の東日本大震災を受け、株式会社鹿児島放送はBCP対策強化のために本社・新社屋を建設することにしました。南海トラフ地震・桜島噴火による地震・津波などの懸念があることに加え、PBX(構内交換機)の老朽化による電話システムの更新も課題となっていました。

そこで実施したのが、PBXのクラウド化です。クラウド型は毎月一定額を支払うだけで利用できるため、数年ごとにかかっていた更新費用や保守・管理費用の削減に成功しました。

ほかにも、スマートフォンを内線端末にしたことで、円滑な社内コミュニケーションが可能になったのもクラウド化によるメリットです。

[出典:docomo business「株式会社鹿児島放送」]

南会津町

南会津町は新庁舎建設にともない、通信環境を見直す必要がありました。南会津町は2006年に4つの町村が合併されてできた町で、合併前はそれぞれ別の電話システムを運用していました。

老朽化も進んでいたため、それぞれのPBX(構内交換機)の管理コストが問題となっていたのです。さらに、東日本大震災でPBXやサーバーなどのシステムがダウンした経験から、BCP対策として、庁舎内にできるだけサーバーを設置しない方針を推進中でした。

そこで採用したのが、クラウド型PBXの全拠点一括導入です。従来のオンプレミス型PBXの1/4のコストで導入でき、維持・管理コストの大幅削減に成功しました。また、使われていなかった固定電話を整理できたのもポイントです。

[出典:docomo business「南会津町」]

富士通Japan株式会社

富士通Japan株式会社では、従来のデータ通信システムだと、必要な回線数や設備規模の把握が困難で、コスト最適化が難しいという課題を抱えていました。

また、定期メンテナンスも困難で、災害発生時の対応が煩雑であるなど、BCPの観点からも対策が求められていたのです。

そこで導入したのが、ナビダイヤルです。ナビダイヤルを通じて、従来は把握できなかった通信利用状況が可視化できるようになり、必要に応じて予備回線を開放できるようになりました。

また、非常時には遠隔地のバックアップシステムへと切り替えられることから、災害リスクを抑えることにも成功しています。

[出典:docomo business「富士通エフ・アイ・ピー株式会社(現:富士通Japan株式会社)」]

東京海上日動火災保険株式会社

東京海上日動火災保険株式会社では、IT基盤の強化と最適化を課題としていました。災害時でも事業を継続しながら質の高いサービスを提供するために、災害に強いデータセンターを必要としていたのです。

また、全国の拠点でバラバラに導入されていたPBX(構内交換機)や通話録音システムなどを統一し、サービス品質の向上もテーマとして掲げていました。

そこで導入したのが、CTIシステムです。CTIシステムとは、コンピューターと電話を連携させるシステムを指します。外部サービスのCTIシステムを導入したことで、自社でインフラを持つことなく、共通のシステムを全国の拠点が利用できるようになりました。

また、CTIシステムだけでなく、データセンターにも秀でたサービス会社を選んだことで、顧客対応品質を高めるのと同時に、災害に強いデータセンターの確保が実現できています。

[出典:docomo business「東京海上日動火災保険株式会社」]

クラウド活用によるBCP対策はメリットが多数

今回は、BCP対策をクラウドで実施するメリットや、導入の際の注意点について解説しました。

地震や台風などの自然災害が多い日本では、非常時でも事業を継続できるようにBCP対策が必要です。低コストで導入可能なクラウドサービスを利用すれば、災害からデータを守りながら事業継続が図れるでしょう。

BCP対策でクラウドを活用する際は、サービス会社のセキュリティ対策が万全であるかどうかや、複数のバックアップ先の用意を心がけてください。

クラウドサービスを有効活用して、自社のBCP対策を強化していきましょう。

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