Web会議のセキュリティリスクとは?対策や注意点を解説
近年、急速に普及している「Web会議」。場所を選ばずに開催できる利便性の反面、セキュリティ面の課題が懸念されています。本記事では、Web会議のセキュリティリスクとセキュリティ対策や注意点を、実際の事故事例とあわせて解説します。
目次
Web会議のセキュリティリスクとは?
Web会議は利便性が高い反面、不正アクセスや情報漏洩などのセキュリティリスクが伴います。ここでは、主なセキュリティリスクを解説します。
部外者による覗き見や盗み聞き
Web会議中、部外者が許可なく会議に参加し、大切な話を覗き見たり盗み聞きしたりするリスクがあります。会議のリンクやパスワードが不適切に共有されたり、セキュリティ設定が甘いために起こる問題です。
安全なWeb会議を実施するためには、参加者の確認やアクセス制御の強化が必要です。また、公共の場でWeb会議に参加する場合も、第三者による覗き見や盗み聞きに十分注意しなければなりません。
誤操作による情報漏洩
Web会議での誤操作は、重要な情報が意図せず外部に漏れる原因となります。
例えば、画面共有時に機密情報が含まれたドキュメントを誤って表示してしまったり、会議の録画を不適切に外部へ共有してしまったりすることなどがあげられます。
情報漏洩を防ぐためには、使用するツールの機能を正しく理解し、適切な操作を心がける必要があります。また、参加者への事前の指示やルール設定も欠かせません。
URL流出や端末紛失による不正アクセス
Web会議のURLや参加情報が流出したり、会議にアクセスするための端末が紛失したりすると、不正なアクセスの危険性が高まります。不正アクセスを防ぐためには、会議URLを信頼できる参加者のみと共有し、不用意にビジネスチャットやメール、SNSなどに投稿しないことが大切です。
また、端末のセキュリティ対策として、パスコードや生体認証の設定、リモートでのデータ消去機能の活用などがあげられます。これらの対策を実施することで、万が一の情報流出や端末紛失時でも、不正アクセスを効果的に防ぐ効果が期待できます。
▷Web会議のやり方・必要なもの|準備や円滑に進めるための秘訣を解説
Web会議のセキュリティ事故の事例
ここでは、Web会議で実際に起きたセキュリティ事故の例を紹介していきます。
会議に知らない人が入室してきた
Web会議中、突然招待していない参加者が入室し、混乱を引き起こすことがあります。会議の招待リンクが不適切に共有され、外部の人物にも流出してしまったことが原因として考えられます。
セキュリティ対策として、Web会議のリンクは必要な人にのみ送り、会議室への入室にはパスワードを設定することが重要です。また、ホストによる入室許可機能を利用することで、このような事故を未然に防げます。
他社の資料を投影してしまった
Web会議でのプレゼンテーション中、誤って他社の機密資料が含まれたファイルを画面共有してしまう事故が発生する場合もあります。このような誤操作は、情報漏洩と信頼失墜につながります。
会議前には共有する資料を事前にチェックし、画面共有機能を使用する際は表示する画面を正確に選択しなければなりません。また、不要なファイルはデスクトップから除去しておくことも対策の一つです。
会議がハッキングされてしまった
Web会議中に突如、画面が乗っ取られるハッキング被害が発生する恐れもあります。特に、誰でも利用できる公衆Wi-Fiを使用する際に発生しやすいといえます。
また、公衆Wi-Fiの利用によって、会議内容を傍受される危険性もあるため注意が必要です。
Web会議に参加する際は、公衆Wi-Fiではなく必ず暗号化されたWi-Fiを利用するなどの対策を行いましょう。
Web会議システムのセキュリティ対策機能
Web会議システムには、会議を安全に行うためのセキュリティ機能が搭載されています。
ここでは、Web会議システムの主なセキュリティ対策機能を4つ紹介します。
IPアドレス指定
IPアドレス指定は、特定のIPアドレスからのアクセスのみを許可するセキュリティ機能です。これにより、指定したIPアドレスのみWeb会議への参加が可能になり、不正アクセスを効果的に防げます。
例えば、社内ネットワークや特定のリモートワーク用の場所からのIPアドレスのみを許可することで、セキュリティを大幅に強化することが可能です。
暗号化機能
暗号化機能は、Web会議中にやりとりされる情報を保護する重要なセキュリティ対策機能です。この機能により、送信されるデータが暗号化され、もしデータが何らかの理由で第三者によって傍受されても、内容を解読することが非常に困難になります。
暗号化機能には、主にSSLとAESの2種類があります。
SSLはWebサイト上のやり取りを暗号化し、SSLが有効なWebサイトではURLが「https://〜」から始まることが特徴です。AESはアメリカ合衆国が定めた暗号化規格で強度が高く、無線LANの暗号化などに利用されている場合が多いです。
一般的に、Web会議システムにはAESによる暗号化機能が採用されています。
端末認証機能
端末認証機能は、特定の端末からのみWeb会議へのアクセスを許可するセキュリティ対策機能です。端末認証機能によって、認証されていない端末からの不正アクセスを防ぐことができます。
各端末には製造時にMACアドレスが付与されており、基本的にこの番号が変わることはありません。端末認証機能では、MACアドレスを登録することでWeb会議に参加できるようになります。
IPアドレス指定のように接続場所が制限されないため、在宅勤務時や外出時にWeb会議に参加する際に有効です。
接続ID・パスワードの設定
Web会議システムでは、会議室ごとに接続ID・パスワードを設定することが可能です。
接続ID・パスワードを知らなければ会議には参加できないため、参加者を事前に限定して不正アクセスを防ぎます。
▷Web会議システムとは?仕組みやテレビ会議との違い・導入するメリットを解説
無料のWeb会議システムのセキュリティ対策について
さまざまなセキュリティ対策が施されているWeb会議システムですが、有料版と比べて無料版はセキュリティの性能が低い傾向があるため注意が必要です。
もちろん、無料の製品にも一定水準のセキュリティ対策は講じられているものの、万全というわけではありません。
そのため、無料のWeb会議システムの導入を検討している場合には、セキュリティ対策機能の性能がどの程度のものなのか、あらかじめチェックしておくようにしましょう。
▷無料のWeb会議システム10選比較|時間制限なしの製品や有料版との違いを解説
Web会議で実施すべきセキュリティ対策
ここからは、Web会議をする際に講じるべき5つのセキュリティ対策を紹介します。
接続IDの取り扱いに注意する
Web会議で使用する接続IDは、会議室の鍵のようなものです。接続IDを不適切に扱って外部に漏れてしまうと、招待していない参加者が会議に侵入するリスクが生じます。
安全に会議を実施するためには、接続IDを参加者限定で厳密に管理し、不特定多数には共有しないことが重要です。また、使用後は速やかにIDを変更または無効化することで、次回以降の不正利用を防げます。
Web会議の共通ルールを定める
Web会議のセキュリティを保つためには、参加者全員が共通のルールを理解し遵守することが大切です。
例えば、会議の情報は参加者間でのみ共有し、外部に漏らさない、未承認の録画や録音を禁止するなどのルールを設けましょう。また、外出先から会議に参加する場合はカフェや駅などの公衆Wi-Fiは利用しない、ヘッドセットを利用して盗み聞きを防止するなどの対策も必要です。
共通のルールを明確にすることで、会議の進行をスムーズにし、情報漏洩や不正アクセスのリスクを低減できます。
会議室のURLを使い回さない
Web会議のセキュリティを強化するためには、同じ会議室のURLを繰り返し使用しないようにしましょう。
会議ごとに新しいURLを生成することで、過去の会議室のURLが外部に漏れた場合でも、不正アクセスのリスクを大幅に減らせます。特に大規模な会議では、この対策が非常に効果的です。
安全なWeb会議環境を保つためには、毎回異なるURLを生成し、参加者にのみ共有する習慣を身につけましょう。
自社に適した導入形態を選ぶ
Web会議システムを導入する際には、自社のニーズに合った形態のシステムを選択しましょう。
Web会議システムには、ベンダーのサーバーで運用する「クラウド型」と、自社サーバーで運用する「オンプレミス型」の2種類があります。
クラウド型は初期費用が安く、迅速に導入できるメリットがありますが、セキュリティ体制の構築はベンダーに依存します。一方で、オンプレミス型は設置や管理にコストがかかりますが、セキュリティ対策やデータのコントロールを自社で行える点がメリットです。
自社のセキュリティ要件、予算、管理能力などを考慮して、最適な導入形態を選びましょう。
システムは定期的にアップデートする
Web会議システムのセキュリティを保ち続けるには、システムを常に最新の状態にアップデートすることが不可欠です。アップデートには、新たに発見されたセキュリティの脆弱性を修正する修正プログラムが含まれている場合もあり、これにより不正アクセスやデータ漏洩のリスクを減少できます。
定期的にシステムのアップデートを行うことで、セキュリティ対策を強化し、安全なWeb会議環境の維持が可能です。アップデートを忘れないように自動アップデートの設定を有効にするか、定期的に手動アップデートを行うようにしましょう。
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十分なセキュリティ対策を講じてWeb会議を実施しよう
Web会議は、今やビジネスコミュニケーションの欠かせないツールですが、セキュリティ対策を怠るとさまざまなリスクに晒されます。
接続IDの管理、URLの使い回しを避ける、端末認証機能の利用、会議室の共通ルールの設定など、基本的なセキュリティ対策を実施することが重要です。安全にWeb会議を利用し、ビジネスの効率化と情報保護の両立を図りましょう。
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