ファイリングのやり方とは?実践すべきコツやおすすめの保管方法
書類の整理・保管を意味するファイリング。ルールの遵守等手間がかかる書類の管理ですが、特に紙媒体の書類を乱雑に扱うと書類紛失等のリスクが高まり、企業イメージを低下させる可能性があります。本記事では、ファイリングのやり方とは?実践すべきコツ等とあわせて解説します。
目次
ファイリングとは?
ファイリングとは、企業運営を進めていく中で、作成した書類を一定のルールに基づいて保管することです。文書管理の一種に該当し、作成した書類の保管から破棄まで、一連のサイクルを管理します。
近年はペーパーレス化に取り組む企業が増えている一方、紙文書を扱う機会は依然として多いうえに、契約書や見積書、労働条件通知書など、書類の種類によって保存期間は異なるため、正確な管理が必要です。
ファイリングによって、保管方法や保管場所などのルールを明確に定め、必要な書類をすぐに見つけられる環境が実現すれば、書類を探す時間を削減できて業務効率が高まるでしょう。また、時系列や保存期限ごとに書類を保管すれば、期限が過ぎた書類をスムーズに廃棄できます。
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ファイリングにおすすめの保管方法
ファイリングは以下4種類の方法に分類できます。それぞれについて詳しく説明します。
- バーチカルファイリング
- 簿冊式ファイリング
- ボックスファイリング
- 電子ファイリング
バーチカルファイリング
バーチカルファイリングとは、薄いクリアファイルに書類を入れた後、キャビネットの引き出しやファイルボックスの中に垂直に立てて保管する方法で、保管の手間を減らせる点が特徴です。
また、書類を保管する際に穴開けや綴じる作業をおこなう必要がありません。書類の追加や並べ替えもしやすく、業務マニュアルをはじめとする定期的に情報更新をおこなう書類の保管に適しています。
半面、保管する書類が多くなると、引き出しやファイルの数を多く確保しなければならないうえ、必要な書類をすぐに探し出せるよう、顧客名や案件名などを記載したシールの貼付けも必要です。
簿冊式ファイリング
簿冊式ファイリングとは、バインダーや厚型ファイルに書類を綴じた後、棚に並べて保管をする方法です。簿冊式は背表紙のあるファイルに書類を綴じるため、プロジェクト名や日付、重要度など、書類に関する情報を背表紙に記載できます。
閲覧する順番に合わせて書類を綴じていくため、必要な書類を見つけやすいですが、書類を保管するためのスペースも多く確保しなければならず、書類の穴あけや綴じ込む作業なども発生します。
書類の出し入れや並び替えも難しいため、顧客別の契約書や管理台帳など、時系列に沿った管理が必要な書類の保管に適しています。
ボックスファイリング
ボックスファイリングは、ファイルBOXやレターケースに書類を保管する方法で、書類の穴あけや綴じる作業が必要ないため、管理負担を軽減できます。レターケースを活用した場合は、保存する書類に応じて引き出しを使い分けられます。
ただし、毎回同じ向きに書類を保管しないと、すぐに書類を取り出せません。そのため、保管する書類の数が増えると、破損や紛失する確率が高くなるので、注文書や見積書など、日々の業務で使用頻度が高い書類を保管するのに適した方法です。
電子ファイリング
電子ファイリングとは、WordやExcel、PDFで作成した書類を電子データ化し、文書管理システム上に保管する方法です。電子データ化する方法は、紙文書を複合機でスキャンするだけなので、作業の効率化もできるうえ、ペーパーレス化の促進にもつながるでしょう。
また、業務に必要な書類はシステム上で一元管理するため、保管スペースの確保や整理整頓をする必要はありません。
そのほかにも、電子データで保存しておけば、盗難や紛失、破損の心配もなく、インターネット環境があるところならいつでもどこからでもアクセス可能です。アクセスする際には、情報漏洩が起きないよう、運用ルールの整備やアクセス権限の管理を徹底するようにしましょう。
また、これまで紙文書で保管していた書類をすべて電子データへ移行するには、多くの工数がかかるため、段階的に移行することが大切です。
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ファイリングの実践すべき3つのコツ
ファイリングをする際に実践すべき3つのコツは下記になります。
- 保管場所を定める
- 書類を分類する
- 不要書類を廃棄する
一つひとつ内容をみていきましょう。
1.保管場所を定める
ファイリングする前には、書類の紛失や破損するリスクを抑えるためにも、キャビネットの引き出しや空いている本棚など、書類を長期保管する場所を決めましょう。
それに並行して、運用ルールで分類できない書類を置いておくための一時保管用のスペースも設置しておきます。
一時保管スペースに書類を置いておけば、書類が必要になった場合もすぐに探せるので、作業の効率化にもつながるでしょう。また、書類を保管する際には、仕掛りボックスを設置すると、既に処理が終わって分類待ちの書類をまとめて保管できます。
2.書類を分類する
部署別や種類別、顧客別に文書を分類した後、シールや付箋を活用して、必要な書類を見つけやすい環境を整えます。書類の分類はツミアゲ式とワリツケ式の2種類があるので、これらの運用ルールにしたがって進めていきましょう。
ツミアゲ式
ツミアゲ式とは、各部署の実務担当者が現場の意見を汲み取りながら、文書を保管するルールを決めていきます。書類の分類は、「小分類→中分類→大分類」とボトムアップ形式を採用しています。
現場の意見を反映しながら書類の分類や保管方法を決めるため、現実とルールのギャップが生じにくく、従来のカテゴリーに該当しない書類が出てきても、ルールを柔軟に改善して対処が可能です。
半面、文書保管のルールを策定するため、担当者が既存の書類にすべて目を通さなければならず、業務負担増大や業務の属人化が起きる可能性が高まるでしょう。また、ツミアゲ式は部署ごとで文書管理に取り組む形を想定しており、組織全体での情報共有は困難です。
ワリツケ式
ワリツケ式とは総務部や法務部など、組織内で文書管理を担当する部署が、文書管理のルールを定める方法です。ツミアゲ式と異なり、「大分類→中分類→小分類」とトップダウン形式を採用し、書類を振り分けます。
ワリツケ式は組織内の部署が共通のルールで文書を管理するため、情報共有をしやすい点が特徴です。人事異動や配置転換で所属部署が変わったとしても、新たにルールを覚える必要もありません。
しかし、現場の実態とルールに乖離が生じやすく、分類に該当しない書類が出た場合への対処が難しくなります。カテゴリーに該当しない書類の数が増えると、ルールが形骸化する可能性が高まるでしょう。
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3.不要書類を廃棄する
不要書類を廃棄する前に、保存と保管の違いを理解しておきましょう。保管とは、見積書や注文書など、業務での使用頻度が高い書類をすぐに取り出せる状態にしておくことです。一方、保存とは使用頻度が低いものの、期限が過ぎるまで文書を管理することを指します。
書類の種類によって保存期間が法律で定められており、仕訳帳や総勘定元帳仮、現金出納帳など、会計帳簿は10年の保存契約書や請求書など、取引を証明する証憑書類に関しては、7年の保存が必要です。
保存と保管の違いを理解したうえで、保存期限が過ぎたらすぐに破棄できるように書類ごとに保管期間と保管場所を定めます。機密情報の漏洩を避けるためにも、保存期限が過ぎた書類はシュレッダーで処分しましょう。
そのほかにも、「作成したばかりの書類を右端の棚に入れる」「破棄すべき書類は赤のファイルにまとめる」など、ルールを決めておくことも重要です。
期限が古い書類から順番に破棄できる体制を整備でき、保存期限が過ぎた書類を溜めこむ事態を避けられます。保存期限ごとの書類保管が難しい場合は暫定的な対応として、使用頻度が低い書類を倉庫や資料室に順次移動させておきましょう。
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ファイリングをする際の注意点
ファイリングをする際の注意点としては、以下2点に注意し、ファイリングを進めましょう。
- 書類の過剰な細分化は避ける
- ファイリングを先延ばしにしない
書類の過剰な細分化は避ける
ファイリングをする際の注意点として、書類の過剰な細分化は避けるようにしましょう。判断基準を設けて必要な書類を選別しますが、ファイリングの際にあまりにも過度に細分化してファイリングをしようとすると、多くの時間がかかるうえに、管理するのも大変になります。また、書類によっては重要度が低く、ファイリングする必要がない場合もあるでしょう。そのため、重要度の高い書類からファイリングをおこなうことで、分かりやすく整理のしやすい管理につながります。
ファイリングを先延ばしにしない
ファイリングすべき書類を溜めない姿勢が重要です。慢性的な人手不足や繁忙期が続いていることから、ファイリングを後回しにしていると、書類の精査に必要以上の時間がかかってしまうでしょう。
そのため、毎週一回、必ずファイリングする時間を設けるなど、業務で処理が終わった書類は、すぐにファイリングする習慣を身に付けることが大切です。
書類を適切に管理し仕事効率をあげよう
ファイリングはバーティカル式や簿冊式、ボックス式など、さまざまな保管方法があり、それらを活用することで、書類が探しやすくなったりと作業の効率化につながります。
また、国税関係帳簿や決算関連書類、証憑書類などは、2024年から電子データで保存しなければならず、書類の種類に応じて保存期限も異なるため、正確に理解しておくことも重要です。
今回の記事で紹介したコツや注意点を参考に、ファイリングでの文書管理を進めてください。
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