文書管理システムとファイルサーバーの違いとは?できることとメリット・デメリット
社内文書管理に役立つ文書管理システムとファイルサーバーは、いずれも文書の保管・共有ができるシステムです。しかし、自社に合うシステムはどちらなのかを判断するには、どのような点を考慮すべきなのでしょうか。本記事では、文書管理システムとファイルサーバーの違いや機能、メリット・デメリットを詳しく解説します。
目次
ファイルサーバーとは?
ファイルサーバーとは、ネットワーク上で各種ファイルを保存・管理するための専用のコンピュータまたはソフトウェアのことを指します。
複数のユーザーやデバイスからのアクセスを容易にし、データの一元管理やバックアップを効率的に行うことができるシステムとして、ビジネスにおいては、主に情報管理の効率化や共有の円滑化などを目的に使用されています。
また、ファイルサーバーでは、データやフォルダごとにアクセス権限が設定できるため、アクセスを制限することで情報の漏洩を防ぎ、情報管理の安全性を確保できる点も大きな役割の一つです。
ファイルサーバーの課題・問題点
ファイルサーバーの利用は、データ管理が一元化される、共有性が高まるなどのメリットがある一方で、いくつかの課題や問題点もあります。
ひとつが、セキュリティの問題です。アクセス性の高さは、運用の仕方によっては、情報漏洩のリスクを高めてしまう要因にもなりかねません。具体的には、IDやPWの管理がずさんであったり、ログインしたまま離席してしまい、第三者に情報が閲覧されてしまうなどです。いずれもシステム自体の問題ではなく、運用面での問題ではありますが、ファイルサーバーの利用にあたっては、情報管理のあり方を再度見直す必要が出てくるでしょう。
さらにクラウド型のシステムは、その特性上、サイバー攻撃やウイルス感染といった全ての攻撃を、完全に防ぐことは難しい点も課題です。システム上のセキュリティ対策は、サービス提供者に依存するため、万が一、データの漏えいや破損が起きた場合に備えて、定期的なバックアップを取得しておく必要があるでしょう。
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文書管理システムとは?
文書管理システムとは、文書を管理・保存・検索・共有するための専用のシステムです。
主に、組織内の文書管理の一元化による業務の効率化やコンプライアンスの強化、共有性の確保などを目的に導入されることが多く見られます。
文書管理システムに搭載されている機能・できること
文書管理システムは、文書の保存や作成ができるだけでなく、以下のような機能も主に標準搭載されています。
- 文書の編集・更新履歴がわかる「バージョン管理機能」
- 情報漏えいや不正アクセスを防ぐ「アクセス制御」
- データ内の文字もキーワード検索の対象にできる「全文検索機能」
- 文書の承認や配布などのプロセスを自動化する「ワークフロー管理」
そのため、文書保存を一元化して、組織内の共有性を高めるだけでなく、バージョン管理によるミスの防止や、アクセス制御による情報セキュリティの強化にもつながるのです。
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文書管理システムとファイルサーバーの違い
文書管理システムとファイルサーバーは、共に組織内の情報管理を助けるツールですが、その目的と機能に明確な違いが存在します。
ファイルサーバーはデータの保存と共有に重きを置いたシステムであるため文書の作成やバージョン管理といった機能は搭載していません。一方、文書管理システムは、文書管理で発生する業務に関連した、さまざまな便利機能や効率化機能が搭載されています。
つまり、文書管理システムは文書のライフサイクル全体を管理するための高度な機能を提供するのに対し、ファイルサーバーは基本的にはファイルの保存と共有を目的としたシステムという点が大きく異なります。
文書管理システムを活用するメリット
管理業務の効率化につながる文書管理システムの導入ですが、文書管理は、システムでなければできないというものではありません。
では、なぜコストを掛けてまで、システム化する必要があるのでしょうか。文書管理システムを活用するメリットについて、改めて詳しくみていきましょう。
検索性が高く書類を探しやすい
文書管理システムの1つの特長として、検索性に優れているという面があります。
基本機能の一つである「全文検索機能」では、ファイル名やフォルダ名だけでなく、ファイル内の文字をキーワード検索の対象にしたり、タグ機能で関連する文書をまとめて検索したりすることができます。
膨大な量の文書やデータの中から、キーワードやメタデータ、作成日時などの条件を用いて必要な文書を迅速に探し出せる機能は、特に紙ベースでの文書保管における検索の利便性と比べて、大幅な業務効率化につながるでしょう。
ペーパーレス化により管理コストを削減できる
紙文書の管理には、用紙代・インク代、コピー複合機の管理費用のほか、保管する際に使用する事務用品費、さらには保管スペースの場所代といったコストが発生します。対して、文書管理システムにより文書のデジタル化を進めた場合、これらの物理的なコストは、ゼロにすることも可能です。
文書管理システムの導入は、経済的なメリットも大きく、管理コストを徹底的に削減することもできるのです。
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セキュリティの強化につながる
文書管理システムの「アクセス制御」では、ファイルやフォルダごとに、閲覧権限と編集権限を分けて設定できるなど、細かい情報管理ができるようになります。
さらに、システムによっては、閲覧者や編集された場合の更新日時・更新者などの履歴も記録されるため、内部統制や情報漏洩の有効な対策としても機能します。
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それぞれの違いを理解し最適なツールを活用しよう
文書管理システムとファイルサーバーは、それぞれに異なる機能を持つ情報管理ツールです。
文書のライフサイクル全体を管理する文書管理システムは、高度な機能により、情報セキュリティの強化やアクセス性を向上させます。一方、ファイルサーバーはデータの一元管理や大容量データの保存、共有に長けています。
企業における情報管理は、組織の業務効率や競争力の向上に直結するだけでなく、リスク管理においても重要な要素です。
どちらが最適なツールとなるかの選定基準は、導入目的によるため、自社のニーズを正確に理解したうえで、必要な機能を見極めましょう。
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