FAQシステムのメリット・デメリット|事例や選び方のポイント
よく寄せられる質問とその回答を、あらかじめまとめておくことで問い合わせ対応の負担が軽減されるFAQですが、その業務をさらに効率化する「FAQシステム」を導入する企業も増えています。本記事では、FAQシステムのメリット・デメリットを、事例や選び方のポイントとあわせて解説します。
目次
FAQシステムのメリット
FAQは、顧客とのコミュニケーションを効率化し、顧客満足度を向上させるための重要なツールとなっています。
FAQシステムを導入することでどのようなメリットがあるのか、代表的な3つのメリットを説明します。
問い合わせの件数を減らせる
FAQシステムの導入は、よくある質問と回答を顧客やユーザー自身が自分で探せるようになるため、カスタマーサポートへの問い合わせの件数を減らすことができます。
オペレーターによる対応でなくても解決できる問題は、FAQシステムの利用を促すことでオペレーターやスタッフの負担が軽減され、より特殊な問題や複雑なケースへの対応にリソースを集中できるようになります。また、顧客にとっても必要な情報をすぐに得られることから、満足度の向上も期待できるでしょう。
業務時間外の問い合わせにも対応できる
FAQシステムの利用により、人件費などの高額なコストをかけることなく、24時間365日、いつでも顧客の問い合わせに対応できるようになります。
休日対応や早朝・深夜であっても顧客を待たせることなく、必要な情報を即座に提供できる点は、FAQシステム導入の最大のメリットともいえるでしょう。
問い合わせ業務の属人化を防止できる
オペレーターによる問い合わせ対応では、回答の内容や質、対応スピードなどが、どうしてもオペレーターのスキルや経験に依存してしまいます。
対応品質にバラツキがある場合、顧客は一貫性のないサービスを受けることになり、満足度が低下する可能性もあるでしょう。そのため、経験豊富な特定のスタッフに業務が集中してしまうことも少なくありません。
このような属人化が進行すると、そのスタッフが不在の際に業務が停滞するリスクが高まります。しかし、FAQシステムを用いることで回答が統一されるため、すべての顧客が同じ情報を受け取ることができると同時に、企業内の知識の均一性や共有化が保たれるのです。
FAQの作成・更新がしやすくなる
FAQシステムは、FAQ作成に特化した機能を備えているため、FAQの作成や更新が手間なく行えるメリットもあります。Webページ内に設置したFAQの場合、更新や変更は、サイト管理者に作業を依頼しなくてはならないため、工数も時間もかかります。
FAQシステムであれば、複雑なプログラミング言語や特別なスキルを要することなく、FAQの更新・管理が行えるため、常に最新の情報を掲載することができるのです。また、検索履歴などの分析結果をもとにFAQの内容を最適化し、より良いユーザー体験を提供することも可能です。
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FAQシステムのデメリット
FAQシステムは、作業負担の軽減、分析による情報の最適化など数多くのメリットが得られる一方で、注意すべきデメリットも存在します。
FAQシステムが効果的に運用されるよう工夫が必要
初めてFAQシステムを導入する際は、問い合わせ内容のカテゴリー分け、関連項目の設定など、適切な情報構造の設計が求められます。また、FAQの内容は定期的な更新が必要であり、変化する顧客のニーズや新しい問題点に迅速に対応しなければなりません。
FAQシステムは、導入することで自動的に効果を発揮するツールではないため、顧客が「欲しい情報を、簡単に受け取れるよう」検証や工夫が必要です。
導入・運用に費用がかかる
FAQシステムの導入には、ライセンス費用などの一定の費用が伴います。
運用においては、FAQシステムの利用有無にかかわらず、何らかのFAQを作成するのであれば、更新やメンテナンスに伴う人的コストは発生するものです。しかし、システムの導入によって、これらのコストが効率化されていなければ、十分な費用対効果が得られないこともあるでしょう。
導入前に十分な予算計画やコスト分析を行い、適切な運用戦略を策定することが求められます。
FAQシステムの主な機能
ここからは、FAQシステムに搭載されている主な機能を見ていきましょう。
CMS機能
「CMS機能」は、FAQシステム上で、作成・登録した情報をWebサイト上で表示できる機能です。
プログラミング言語などの専門的知識を要することなく、FAQの登録、編集、削除などのコンテンツ管理を効率的に行うことができます。さらに、編集の申請や承認などのワークフローも設定可能なため、システムを起点にしたワンストップなFAQ管理体制の構築も可能です。
分析・管理機能
「分析・管理機能」は、どのFAQが頻繁に参照されているか、どのキーワードが多く検索されているかなどの分析データが管理できる機能です。
分析結果は、FAQの最適化に役立つのはもちろん、顧客の疑問・興味・関心への理解にもつながるため、製品・サービスのほか、取扱説明書などの顧客向け資料の改善にも活用できる貴重なデータとなります。
検索機能
「検索機能」は、ユーザーが使う機能として、入力されたキーワードやフレーズに関連するFAQの内容を提示し、顧客が求める情報に簡単に辿り着けるようにする機能です。 検索機能により、関連性の高い情報が優先的に表示されることで、顧客は、瞬時に求めている答えを探し出すことができ満足度が向上します。
FAQシステムの選び方のポイント
次に、FAQシステムを選定する際に見極めたいポイントを紹介します。
ユーザー・管理者双方が使いやすいシステムを選ぶ
FAQシステムは、ユーザーと管理者の両方にとっての利便性を考慮して選びましょう。
ユーザーにとっては、初見でも操作がわかりやすいインターフェースやデザイン、そして、検索機能は、利便性やFAQへの満足度に直結する重要なポイントです。 一方、管理者にとっては、FAQの編集・更新が簡単に行えること、また、分析機能が充実していることは必須の見極めポイントとなるでしょう。
加えて、CRMなど、既存の顧客情報管理ツールがある場合は、システム間の情報連携ができるかを確認しておくと、さらなる顧客対応品質の向上が見込めます。
必要な機能の有無で選ぶ
FAQシステムといっても搭載機能は、それぞれ異なります。使用できるテンプレートや、そのカスタマイズ性のほか、外部サービスとの連携、ユーザー機能としては、多言語対応の可否なども検討材料として挙げられるでしょう。
自社の導入目的や、顧客の属性に合わせて、必要な機能を事前にリストアップし、それに基づいて複数のFAQシステムを比較・評価することで、最適な選択が可能となります。
費用で選ぶ
費用面では、初期導入費だけでなく、月々のランニングコストや将来的なアップグレード、追加機能の導入にかかる費用も考慮する必要があります。また、価格だけを注視するのではなく、機能と得られるメリットとのバランスをしっかりと評価することが重要です。
低コストで提供されるシステムも魅力的ではありますが、必要な機能が欠けていたり、サポート体制が不十分である場合があります。総予算を設定したうえで最もコストパフォーマンスの高いシステムを選びましょう。
FAQシステムの導入事例
最後に、FAQシステムの導入により、業務改善に成功した事例をいくつか紹介します。
アメスマ
アメスマは、日本にいながらアメリカで使える携帯電話やSIMカード、eSIMを契約し、受け取れるサービスを提供しています。そのため同社では、日本とアメリカの両国から問い合わせが寄せられ、対応業務の負担の大きさが課題となっていました。
そこで2020年にFAQシステムを導入。FAQサイトを作成したことで1日に30〜40件あった問い合わせの60%削減に成功し、コールセンターの人的コスト削減も実現しています。
横浜銀行
横浜銀行は、従来のFAQを最適化し、コールセンターの業務効率化を実現しました。数千にも及ぶ、コールセンターへの問い合わせ内容を分析し、FAQの内容を見直すと同時にFAQシステムを導入。その結果、FAQでの解決数を従来の1.36倍へと引き上げることに成功しています。
FAQシステムを導入し問い合わせ対応業務を削減しよう
FAQサイトを充実させることで、社内の問い合わせ対応業務の負担は大幅に削減することが可能です。しかし、その一方でFAQサイトの管理に大きな手間がかかるようでは、組織としての生産性は向上しません。
FAQの管理に特化したFAQシステムは、FAQコンテンツの作成や編集、更新といった管理業務を効率化できるシステムです。顧客にとっても、自分の都合に合わせて必要な情報がすぐさま得られるFAQが充実することは、高い満足度へとつながるでしょう。
自社の目的にあったFAQシステムを導入し、業務効率化と顧客満足度向上の実現を目指してみてはいかがでしょうか。
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