コールセンターでのチャットボット導入事例|効果やおすすめチャットボットを紹介
会話形式で顧客からの問い合わせに対応する「チャットボット」。特に顧客から多くの質問が寄せられるコールセンターでの活用が進んでいます。本記事では、コールセンターでのチャットボット導入事例を、導入効果やおすすめチャットボットとあわせて紹介します。
目次
コールセンターでのチャットボット導入事例
コールセンターにチャットボットを導入した事例を7つ紹介します。導入によって得られた効果や選定ポイントなどを参考にしてください。
GMOペイメントゲートウェイ株式会社
GMOペイメントゲートウェイは、対応品質を維持しながら「業務効率化」と「問い合わせ件数の抑制」を実現するため、AIチャットボットとオペレーターによる有人チャットを同時に導入しました。
AIチャットボットで定型的な質問や時間外の問い合わせに対応することで、オペレーターはより難易度の高い問い合わせに集中できるようになったのです。
また、ユーザーは問い合わせ内容に応じてチャットボットか有人対応かを自由に選べます。定型的な問い合わせには迅速な回答を、複雑な問い合わせにはオペレーターによる詳細な回答を得られるようになり、ユーザー満足度の向上にも役立っています。
株式会社京葉銀行
京葉銀行は、定型的な質問への対策としてチャットボットを採用しました。コールセンターに寄せられる問い合わせの多くが同じような内容だったことが、導入のきっかけです。
「同業他社での導入実績の豊富さ」「回答精度の高さ」「ユーザビリティの高さ」などを選定理由としています。既存のFAQも刷新したうえで、ホームページのトップ画面にチャットボットを設置しました。
チャットボットに搭載されている対応履歴などのデータをもとに、ユーザーが抱える根本的な悩みの発見につながっています。データを参考にして即座にFAQにも反映するなど、スピード対応が可能になったとの声もありました。
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社
自社サービスの事情に合わせてチャットボットを導入したのが、ソニーネットワークコミュニケーションズです。チャットに慣れている若年層ユーザーが多かったことが、導入理由の一つとなりました。将来的なカスタマーサポートのアウトソーシングを視野に入れ、移行が簡単なクラウド型のチャットボットを選定しています。
導入後はチャットボットの機能を駆使し、各問い合わせに付与したタグをもとに傾向を分析することで、セルフサービス型コンテンツの充実を図っています。電話サポートの回数が減少したほか、ユーザーの声を反映した製品開発にも役立っているようです。
株式会社三井住友銀行
三井住友銀行は、行内での生産性改善に向けてチャットボットを導入しています。これまでは担当者がマニュアルを確認したり、本店に照会したりする必要があったため、回答までに時間がかかるという課題を抱えていました。
導入後は問い合わせ内容をテキスト化するだけで、チャットボットによる回答候補の提示を受けられるようになっています。そのため、マニュアルの確認や本店への照会といった手間が省け、回答までの時間を大幅に短縮することに成功したのです。また、海外拠点からの照会にもスムーズに対応できるようになりました。
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)
JR東日本では、毎日数千件~数万件におよぶ大量の問い合わせが寄せられています。そこで課題となっていた「オペレーターや拠点による回答品質のバラつき」を解消するためにチャットボットを導入しました。
導入後は、チャットボットが問い合わせに対する回答候補や関連資料を瞬時に提示してくれるため、回答品質のバラつきが解消され、回答までの時間も大幅に短縮したといいます。システムによる回答情報の予測表示機能も活用した結果、問い合わせ1件につき最大30%程度まで応答時間が短くなりました。
一般財団法人 食品分析開発センター SUNATEC
食品分析開発センターSUNATECにおけるチャットボットの主な導入目的は、ユーザー満足度の向上です。また、1日100件を超える問い合わせを3~4名体制で対応しており、オペレーターの負担を減らしたい狙いもありました。
導入製品はExcelとの連携機能があり、データをインポートすることでチャットボットの会話を簡単に構築できたといいます。IT担当者でなくても使いこなせ、シナリオの作成にコストをかけずに済んだことにも満足しているようです。
また、想定よりもチャットボットの利用者数が多く、問い合わせ件数自体も増加していることから、潜在顧客の引き上げにつながったのではないかとの声も挙がりました。
外為ファイネスト株式会社
外為ファイネストでは、24時間取引可能な株やFXを扱う一方、夜間にオペレーターを配置するにはコストがかかり過ぎるという課題を抱えていました。コストを抑えて夜間への問い合わせに対応すべく、AIチャットボットを導入するに至ったのです。
その結果、ユーザーの利便性向上に確かな手応えを感じています。夜間にサービスを利用しているユーザーが不明点により取引を中断しても、チャットボットを活用することで取引をすぐに再開できたケースもありました。
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コールセンターにチャットボットを導入することで得られる効果
コールセンターにチャットボットを導入することで得られる主な効果は以下の4つです。
- 顧客満足度向上が期待できる
- 対応品質の均一化が図れる
- 問い合わせ業務の負担を軽減できる
- 顧客ニーズを把握できる
それぞれの効果について1つずつ詳しく解説するので、課題解決に役立つかどうかを検討してください。
顧客満足度向上が期待できる
チャットボットを導入することで、営業時間外の問い合わせ対応が可能になったり、自動応答によって瞬時に回答を得られるようになったりするため、顧客満足度の向上が期待できます。
定型的な問い合わせの多くは自動応答に任せられ、素早い回答を実現することはもちろん、有人対応のつながりやすさが改善する点もメリットです。オペレーターは複雑な問い合わせのみに集中できるようになり、迅速かつ優れたアンサーを提供しやすく、顧客満足の高い対応が可能になるでしょう。
また、電話やメールでの問い合わせを面倒に感じていた顧客が、「チャットなら」と問い合わせのハードルが下がることも考えられます。より気軽にいつでも問い合わせられれば、高い安心感から顧客満足度の向上につながるでしょう。
▷チャットボットの利用率が低い原因|向上させる方法やメリットを解説
対応品質の均一化が図れる
チャットボットをオペレーター全員が利用できるようになれば、対応品質の均一化にもつながります。
従来の問い合わせ対応では、オペレーターが新人かベテランかによって回答内容が異なったり、マニュアルの把握度合いで回答までの時間に差が生じたりするなどの課題が挙げられていました。
しかし、オペレーターがチャットボットを利用し、瞬時に回答候補や関連資料を閲覧できるようになれば、個人の能力差をカバーできます。回答内容や時間の差が生じにくくなり、対応品質を一定水準に保つことが可能です。
チャットボットによるオペレーター支援で対応品質が均一化すると、業務効率や顧客満足度の向上にも寄与するでしょう。
問い合わせ業務の負担を軽減できる
問い合わせ業務の負担が減るのも、チャットボットの利点です。特に、不慣れな新入社員にとっては負担の大きいオペレーター業務ですが、チャットボットの支援機能によって手間と精神的な不安を軽減できます。
定型的な問い合わせにチャットボットが自動応答できれば、人手で行っていた作業の多くを縮小可能です。夜間の対応はチャットボットに任せるのも有効でしょう。また、チャットボットには顧客からの問い合わせ内容に応じた回答候補や関連資料を提示する機能が搭載されているため、マニュアルの確認や各拠点への情報照会といった手間が省けます。
このように、チャットボットの導入は問い合わせ対応の業務負担を大幅に軽減できる点がメリットです。
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顧客ニーズを把握できる
チャットボットへの問い合わせを通じて、顧客ニーズを把握できます。チャットボットには「どのような質問が多いか」「どの顧客が過去にどのような質問をしたか」などのデータを蓄積できる機能があるため、ニーズの解析に活かせるのです。
また、チャットボットの種類によっては、SNSとの連携機能もあります。連携により問い合わせ窓口への動線を増やすと、顧客との接点を拡大でき、具体的な意見を集めやすくなるのです。顧客の声を聞ける機会が増えることも、ニーズの把握に貢献するでしょう。
チャットボットに搭載されているさまざまな機能を使えば、顧客ニーズの的確な理解によって商品・サービスの品質向上に役立てられます。
▷チャットボットにキャラクターを設定するべき?メリットや事例を解説
コールセンター向けチャットボットの選び方・比較ポイント
コールセンター向けチャットボットの選び方や比較ポイントには以下の4つが挙げられます。
- 有人対応に切り替えられるか
- 導入・運用負担は少ないか
- 会話の精度はどのくらいか
- コールセンター業務をどのくらい効率化できるのか
それぞれのポイントについて詳しく知り、自社に最適なチャットボット製品を選択しましょう。
有人対応に切り替えられるか
有人対応への切り替え機能は、チャットボットに必須といえます。定型的な問い合わせであれば無人チャットで解決するケースが多いものの、自動応答では対応できない問い合わせは、有人チャットへの切り替えが必要です。
無人チャットから有人チャットへの切り替えがタイムラグなくできるか、履歴を引き継げるかなどがポイントとなります。チャットボットで解決できなかった問い合わせをスムーズに引き継ぎできるよう、有人対応への切り替えに優れた製品を選択しましょう。
導入・運用負担は少ないか
チャットボットを導入・運用するには、必ずコストがかかってきます。各費用の負担を少なく抑えることも、重要な選定ポイントです。
参考として、チャットボット導入・運用にかかる費用相場を以下の表にまとめました。
種別 | 内容 | 費用相場 |
初期費用 | 初期設定など | 無料~10万円程度 ※AIチャットボットの場合、20万~100万円程度 |
運用費 | 月額利用料金・メンテナンス費用など | 月額10万~30万円程度 ※AIチャットボットの場合、 月額30万~100万円程度 |
その他の費用 | オプション機能など | 内容によって変動 |
多くのチャットボットでは複数のプランが提供されており、利用できる機能数が増えると、コストも高額になる傾向があります。そのため、自社に必要ない機能が搭載されているチャットボットやプランは避けましょう。
また、比較的コストの低いシナリオ型や辞書型のチャットボットを導入することで、導入・運用の負担を最小限に抑えられます。
▷無料で利用できるおすすめのチャットボット比較!選び方やメリットを解説
会話の精度はどのくらいか
AIチャットボットにおいて、会話の精度は顧客満足度にも直結する部分であるため、
どの程度の精度なのかを必ず確認しましょう。
定型文をベースに回答を作成するものもあれば、文脈を理解したうえで自然な回答ができるものもあります。精度が低すぎると的外れな回答をしてしまい、顧客を失う恐れもあるので、慎重に検討すべきです。
チャットボットのサービスサイトや事業者のホームページなどに設置されているチャットボットに直接話しかけ、どのような会話で回答してくれるかを確認しましょう。
コールセンター業務をどのくらい効率化できるのか
チャットボット導入によって、コールセンター業務をどこまで効率化できるのかを判断してください。周辺業務にも活かせれば、大きな効率効果を得られます。
例えば、会話履歴を残す機能があれば、過去の会話履歴をもとに合理的に回答を提供可能です。SNSとの連携機能で問い合わせへのアクセスが拡大すると、集客やマーケティング戦略にも活用できます。
搭載されている機能を確認し、各機能がコールセンター業務にどのような効果をもたらしてくれるかを考慮しながら、導入するチャットボットを比較しましょう。
▷【2024年最新】おすすめのチャットボット29選比較|無料ツールや比較ポイント
コールセンター向けおすすめチャットボット
コールセンター向けのおすすめチャットボットを4つ紹介します。各製品の特徴を確認するほか、予算内であるかも含めて検討しましょう。
チャットプラス
チャットプラスは、導入企業10,000社を超える実績豊富なチャットボットです。これまでの実績をもとにしたノウハウによって、誰でも簡単に設定・運用できるように開発されています。
AIによる会話やシナリオ設定はもとより、ボットの起動数やクリック数を確認できるレポート機能も備え、コールセンターにおけるコンバージョン改善に活かせるでしょう。搭載機能数は約5,000個にもおよび、サポート体制が充実している点も魅力です。
提供元 | チャットプラス株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 年契約
月契約
|
導入実績 | 10,000社以上(※2019年時点) |
機能・特徴 | AI会話機能、シナリオ設定、Q&A予測表示、ウィンドウデザイン、Excelで管理、レポート・データ分析、ファイル添付機能、有人チャット、回答支援・簡易入力、外部サービス連携、API連携、IPアクセス制限ほか |
URL | 公式サイト |
Zendesk
Zendeskは、世界10万社以上で導入されているチャットボットです。チャット以外にも、電話・メール・SNSなどのさまざまなチャネルからの問い合わせを一元管理できます。
あらゆる問い合わせをチケットとして記録する機能により、優先順位や対応状況が一目瞭然です。TrelloやSlackといった外部ツールとの連携も行え、自社コールセンターの用途に応じてカスタマイズできます。AIを活用したヘルプセンター(FAQ)の構築が可能なのもポイントです。
提供元 | 株式会社Zendesk |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 年契約
月契約
|
導入実績 | 世界10万社以上 |
機能・特徴 | メッセージング、AIと自動化、ヘルプセンター(FAQ)の構築、エージェントワークスペース、チケット管理、クラウド電話、転送機能と自動機能、レポートと分析、プラットフォーム、インテグレーションほか |
URL | 公式サイト |
PKSHA Chatbot
金融系の企業を中心に支持されているPKSHA Chatbotは、100社以上で導入されています。自動応答による対応数300%アップを実現するなど、優れた実績を持つチャットボットです。
自社開発したAIエンジンを搭載しており、辞書データなどを反映した高い日本語精度を強みとしています。有人チャットへのシームレスな切り替えもできることから、コールセンター業務の柔軟性を高めてくれるでしょう。
提供元 | 株式会社PKSHA Communication |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 100社以上(※2023年12月時点) |
機能・特徴 | 柔軟な対話シナリオ、学習する対話エンジン、視認性の高いダッシュボード、マルチテナント機能、FAQ改善提案機能、専門知識不要のメンテナンス、有人チャット連携、外部APIシステム連携など |
URL | 公式サイト |
KARAKURI chatbot
コールセンターにおける多くの課題解消に役立つのがKARAKURI chatbotです。AIチャットボットのなかでも高い満足度を誇り、顧客による自己解決をサポートします。
CRMやFAQとの一元管理もできるため、過去の問い合わせ履歴を閲覧しながら対応が可能です。問い合わせ対応時間の短縮につながるほか、AIによるリアルタイムなサポートで業務効率を高めます。
提供元 | カラクリ株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 | AIチャットボット、FAQとの一元化ツール、有人チャットツール、Web接客ツール、チャットボット機能拡張、オペレーター支援ツールなど |
URL | 公式サイト |
コールセンターにチャットボットを導入しよう
コールセンターにチャットボットを導入することで、対応品質の均一化や回答スピードの高速化につながります。これらは顧客満足度に直結する要素であるため、改善しない手はありません。
また、問い合わせ内容に応じて瞬時に回答候補や関連資料を提示してくれることから、オペレーターの負担を軽減することも可能です。自社に最適なチャットボットを導入し、コールセンター業務を効率化させましょう。
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