ERPとMESの違いとは?連携すべき?それぞれの役割や特徴を紹介

最終更新日時:2023/10/27

ERP(基幹システム)

ERPとMPSの違い

経営者にとっては馴染みのあるERPやMESという言葉。しかし、ERPとMESの具体的な違いについて説明できる方は多くはないでしょう。そこで本記事では、そんなERPとMESの違いについて、特徴から目的、役割やメリットまで違いを徹底解説していきます。

ERP・MESとの違い

まず初めに、ERPとMESそれぞれの特徴や違いについて紹介していきます。

ERP(統合基幹業務システム)とは

ERPは「Enterprise Resource Planning」の略称で、企業の複数の部門や業務プロセスを一元的に管理・連携させる統合基幹業務システムとも呼ばれます。代表的な機能として、財務会計・人事管理・販売管理・製造管理などがあります。

これにより、業務の効率化や情報の透明性の向上を実現するとともに、スピーディーで正確な経営判断を行えるようになります。統一されたデータベース上での運用により、情報の一貫性も確保されるため、システムごとの情報粒度の差異をなくすことも可能です。

ERPとは?意味や基幹システムとの違いを簡単にわかりやすく解説

MES(製造実行システム)とは

MESは「Manufacturing Execution System」の略称で、製造実行システムと呼ばれることもあります。製造業の現場に特化した情報システムであり、生産資源を無駄なく活用して生産効率を向上させることを目的に利用されます。

具体的には、作業指示や生産スケジューリング、在庫管理、品質管理などの機能によって製品の製造をリアルタイムで管理するのが特徴です。ERPシステムが経営層の決定をサポートする一方で、MESは現場レベルでの生産活動を最適化する役割を果たします。これにより、生産コストの削減、品質の向上などを実現することが可能です。近年はIoT技術との組み合わせで、より先進的な製造現場の実現を目指す動きも見られます。

ERPのメリット

ERPを導入して社内の情報を一元管理することで、さまざまな業務の効率化を実現できます。ここでは、ERPを導入するメリットを3つ紹介します。

業務のプロセスを自動化できる

ERPシステムの導入により、企業の業務プロセスの多くが自動化されるのが特徴です。例えば、注文情報の入力から在庫確認、出荷手配までの流れや、売上データを基にした請求処理など、繁雑とされる手続きが自動で進行します。

これにより、人的ミスの削減や業務速度の向上につながるでしょう。また、従業員の作業時間を削減できるため、コア業務にリソースを充てることができます。さらに、定型業務を自動化できるRPAと併用することで、データ入力などの業務を自動化することも可能です。

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経営情報を見える化できる

経営情報の視覚化が行えるのもERPを利用するメリットの一つです。ERPは、各部門や業務で発生するデータを一元的に管理し、リアルタイムでの情報アクセスや集約を可能にします。これにより、売上・利益・在庫状況・顧客情報など、経営に必要な情報が一目で確認できるようになります。

この情報の透明性は、迅速な経営判断のための土台となると同時に、部門間の連携や意思決定の精度向上にも貢献するでしょう。さらに、過去のデータとの比較やトレンド分析も容易となり、ビジネス戦略の策定において有益な情報を得られます。

ガバナンス強化につながる

ERPを導入することで、企業のガバナンス強化につながります。ガバナンスとは、企業の経営の透明性や健全性を確保するための管理体制のことです。ERPを使用して業務に関する情報をデジタルで記録することにより、不正やミスの発見がしやすくなります。

また、アクセス制限などのセキュリティ機能を備えることで、情報の漏洩や不正利用のリスクを低減できるでしょう。その結果、透明性の高い経営が行るようになり、ステークホルダーからの信頼を向上させることも可能になります。

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MESのメリット

MESの導入により、生産効率を向上させることが可能です。ここからは、MESを利用するメリットについて紹介します。

製造コストの削減につながる

MESの導入は、製造コストの削減につながります。このシステムを使用することで、製造現場における無駄な作業を明確にし、業務の効率化やリソースの最適化を図ることが可能です。

各工程の状況をリアルタイムで把握できるため、資材やエネルギーにかかるコストの削減や効率的な生産スケジューリングが実現します。また、リアルタイムでの品質管理機能を通じて、不良品の発生を最小限に抑えることにも役立ちます。

トレーサビリティを確立できる

製品のトレーサビリティを確立できるのもメリットのひとつです。MESでは、原材料の入手から製品の完成・出荷に至るまでの全工程における情報が詳細に記録されます。これにより、品質問題や不具合が発生した際、原因となる部分や工程を迅速に特定し、対策を実施することが可能です。

近年は、製品の品質向上や消費者からの信頼獲得のためにトレーサビリティの重要性が高まっています。MESは、このようなニーズを満たすうえで欠かせない役割を担っているといえるでしょう。

ノウハウを共有できる

MESの導入により、製造現場のノウハウの共有を促進します。MESには、製造プロセスや作業手順、品質管理手法など、日々の業務で蓄積される知識やデータが一元的に記録されます。この情報を共有することで、新規の従業員の研修期間の短縮や、現場の作業品質を向上させることが可能です。

また、複数の拠点に対応するものもあり、拠点の垣根を超えた情報共有が行えます。経験豊富な従業員の退職や移動が発生した際にも、ノウハウがMESによって保持・継承されるため、業務の継続性が確保されるでしょう。

ERPとMESは連携すべき?注意点について

ERPとMESを連携することで、予測できないさまざまなトラブルが発生することが考えられます。例えば、システム間のデータの不整合が生じることで、誤った情報に基づく判断や作業が行われる恐れがあります。

また、双方のシステムのアップデートやバージョン変更時にエラーが起こる可能性もあるでしょう。これらのトラブルを未然に防ぐためには、十分な事前テストやシステム運用に関する研修、適切なアクセス制限の設定など、綿密な対策とフォローアップが不可欠となります。

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ERPとMESの違いや特徴を押さえておこう

ERPとMESは、企業の経営と製造業務の効率化を目指すための重要なシステムです。ERPは経営全体の業務プロセスを統合し、効率的な経営判断や業務運営をサポートします。一方MESは、製造業における生産工程を管理するためのものです。

2つのシステムを連携させることで、経営と製造の間の情報ギャップを埋めて、全体の業務効率と生産性を向上させることができます。しかし、連携後にトラブルが起こるリスクもあるため、導入前に慎重に検討する必要があります。違いや特徴を理解し、適切にシステムを活用することで、企業の生産性を向上させることができるでしょう。

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