FAQの作り方とは?作る際のポイントやメリット・運用方法についても解説
ユーザーによる自己解決を促すFAQ(よくある質問)は、ユーザーの利便性を高め、カスタマーサポートの負担を減らしてくれます。本記事では、FAQを作成するメリット、FAQの種類や作り方と注意点、メンテナンスの仕方まで解説します。
目次
FAQとは?
FAQ(Frequently Asked Questions)とは、「よくある質問」を意味し、ユーザーから頻繁に寄せられる質問とそれに対する回答をまとめたものです。
FAQにより、ユーザーは知りたい情報を自分で探すことができ、カスタマーサポート側は、ユーザーからの問い合わせに対応する負担を減らすことができます。
また、顧客の声や利用状況の分析結果などをもとに、FAQをアップデートしていくことで、さらにユーザーの利便性が高まるほか、カスタマーサポートにおけるナレッジの蓄積にもつながるでしょう。
さらにFAQは、利用方法やトラブルシューティングなど、ユーザーのニーズにそって作成されることから、SEO対策としても有効だとされており、ビジネスにおいても重要なツールであるといえます。
FAQに必要な要素
FAQを効果的に構築するためには欠かせない、いくつかの基本的な要素があります。
具体的かつ簡潔な質問文と回答
ユーザーが「知りたい」と思う内容を端的に捉えた質問文と回答が必要です。過去の顧客対応履歴などから、よくある質問をリストアップしてまとめましょう。また、質問文には、ユーザーが検索時に使用するキーワードを意識して盛り込むことも重要です。
最新の情報提供
FAQには、主に製品やサービスの使用方法、配送や返品に関するポリシー、トラブルシューティングなどが記載されますが、これらの情報は常に最新かつ正確でなければなりません。
ユーザーは自分の疑問や問題を解決するためにFAQを利用します。そこに古い情報や間違った情報が掲載されていれば、ユーザーの問題は解決せず、満足度が低下するでしょう。その結果、サポート窓口に問い合わせることになれば、サポートコストの削減も実現できなくなります。
FAQとQ&Aの違い
FAQに似ているとしてQ&A(Questions and Answers)があります。どちらも一問一答の形式で構成されていますが、次のような違いがあります。
・FAQ
ユーザーから寄せられる頻度が高い質問とその回答をまとめたものを指します。ユーザーのニーズを起点に情報が集約されているのが特徴です。
・Q&A
「質問と回答」という広い範囲で、特定のテーマやトピックに関する一般的な質問とその回答を集めたものです。
そのため、FAQは、よくある質問を解決するツールとしてWebサイトや取扱説明書などに記載されることが多いでしょう。一方のQ&Aは、プレゼンテーション、セミナー、製品発表会などでよく用いられ、参加者が持つ疑問を解消するためのセッションとして設けられます。
つまり、FAQは一般的な疑問を解決するためのもので、Q&Aは特定の話題について深く理解するためのものといえます。
FAQの種類
FAQはその目的や利用シーンに応じて、さまざまな種類に分けられます。ここでは、主要なFAQのカテゴリとそれぞれの特徴について解説します。
顧客向けのFAQ
顧客向けのFAQは、商品やサービスを利用するユーザーの疑問や不明点を解消するためのFAQです。
製品の使用方法や購入・支払方法、返品・交換ポリシーなど、ユーザーからの問い合わせが多い内容をまとめます。ユーザーの疑問を即座に解消することで不安を和らげ、顧客満足度を向上させたり、購買意欲を高めたりすることを目的としています。
社内向けのFAQ
社内向けのFAQには、社内システムの使い方、人事・給与に関するポリシー、業務手順など、日常の業務に関連するさまざまな質問と回答が含まれています。
主に、一元的な情報共有による業務効率の向上、各担当者の問い合わせ対応負担の軽減といった目的で設置されます。社内FAQの導入は、すぐさま社員の疑問点が解決されることから、業務上のミス削減にもつながるでしょう。
コールセンター向けのFAQ
コールセンター向けのFAQは、コールセンターのオペレーターが顧客からの質問に迅速かつ的確に答えるためのナレッジツールとして活用されるものです。
製品の仕様やサービスの内容、障害情報、よくあるトラブルシューティングなどの情報を漏れなくFAQにまとめることで、顧客対応品質の標準化が図れます。さまざまな問い合わせに対応するオペレーターは、育成にも時間と手間がかかります。しかし、オペレーター向けのFAQがあることで、トレーニング期間の短縮と、コールセンターのサービス品質の維持を両立することが可能です。
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FAQの基本的な作り方
FAQを構築する際は、基本的な手順に沿って進めていく必要があります。ここではFAQを構築する手順と注意点について解説します。
質問となる情報を準備する
FAQを作成する第一歩は、よくある質問の収集と整理です。質問は、主に以下を情報源として収集するとよいでしょう。
- 実際の顧客からの問い合わせ
- 製品やサービスの使用中に起こり得る疑問
- 社内のフィードバック
質問文は、専門用語やユーザーが知り得ない名称を使わない分かりやすい文章を心がけます。
カテゴリ分けを行う
関連性や内容に応じて質問をカテゴリに分ける作業も、欲しい情報へのアクセス性に直結する重要な作業です。大まかなカテゴリの一例として、次のようなものが考えられます。
- 製品に関する質問
- 支払い方法に関する質問
- 技術サポートに関する質問
カテゴリを設定する際は、重複する質問の統合、不要な質問の削除も行っておきましょう。
質問に対する回答を作成する
質問に対する回答は、FAQの中でも最も重要な部分です。回答文は、質問文と同様、具体的で分かりやすい言葉を使います。専門用語には解説を付け加え、関連情報のリンクを貼るなど、ユーザーが理解を深められるようにサポートしましょう。必要に応じて、操作画面や製品の画像・イラストを加えるなど、ユーザー目線で分かりやすく、効果的に伝わるように心がけてください。
レギュレーションを整備する
FAQを適切に管理するためのレギュレーションの整備も必須です。レギュレーションには次のような内容が含まれます。また、レギュレーションにそった運用が実行されているかを監督する責任者の指名など、管理体制も併せて構築しましょう。
- FAQの中で使う用語の統一、記載のルール
- FAQの追加・更新・削除の基準
- 情報を検証するためのプロセスの規定
レギュレーションを整備しておくことで、情報の質を担保しつつ、つねに変化するユーザーのニーズに柔軟に対応することができるようになります。定期的にレビューを行い、レギュレーション通りに運用されているか、FAQの内容が最新かつ正確であるか、レギュレーションを見直す必要はあるか、などをチェックし、FAQの信頼性を維持しましょう。
作成したFAQを公開する
FAQの作成が完了したら、次は公開のステップです。公開前に、FAQを設置する場所がユーザーから見て、見つけやすい場所になっているか、FAQの名称が「よくある質問」や「お困りのときは」など、適切なものになっているか、などユーザビリティを最優先して確認してください。
効果検証と改善を行う
Webサイトに設置したFAQの効果検証では、検索キーワードや閲覧頻度の高い質問と、その回答に対する満足度などのデータをアクセス解析ツールやFAQシステムの分析機能などを利用して収集します。
また、FAQに記載されているのにも関わらず、カスタマサポートに同様の問い合わせが寄せられる場合は、カテゴリ分けや回答内容に問題がないかチェックしましょう。
FAQの質を継続的に高めるためには、定期的に検証と改善のサイクルを回していく必要があります。
作成したFAQを改善するには?
FAQは、一度作成しただけで終わりではありません。ユーザーの反応を見ながら、継続的に改善していく必要があります。ここでは、FAQをより有効に活用するための改善策について詳しく解説します。
FAQの運用データを確認する
FAQの効果を最大限に引き出すために、運用しているFAQのデータの定期的なチェックが欠かせません。
よく検索されるキーワード、アクセス数や閲覧時間、ページ離脱率などの指標を元に、ユーザーの興味や、FAQの問題点を洗い出し、質問内容・回答・カテゴリーなどを徐々に最適化していきます。FAQにおけるユーザー動向のデータは、FAQだけでなく、製品・サービスの改善にも役立つでしょう。
追加が必要なFAQを作成する
新しい製品の導入やサービス内容の変更があった際は、FAQの内容も即座に最新の情報へと変更します。
また、提供する製品・サービスによっては、業界の動向の変化など外的な要因によって、新たな質問が生じる可能性もあります。継続的な問い合わせの発生が予想される場合には、FAQを追加し、ユーザーの疑問や不安を速やかに解消できるよう準備しておきましょう。
FAQシステムを導入する
社外向けのFAQの作成にあたっては、一般的に専用システムを導入する場合がほとんどです。FAQシステムでは、FAQのデータベースの構築、検索機能やカテゴリ分けなどの機能のほか、AIを活用した自動応答機能や、ユーザーの行動ログを元にした最適化提案機能などが搭載されているものもあります。
カスタマーサポート業務の負担軽減などを目的に導入したFAQの管理自体に多くの手間を割くことになってしまっては、結果として、生産性は上がりません。システムを利用することで、FAQの更新や追加、ユーザーのニーズに合わせたカスタマイズが容易となり、質の高い情報が提供できるようになるでしょう。
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FAQを作成するメリット
FAQが企業や組織の情報発信において欠かせないツールとなったのは、多くのメリットがあるためです。
ここではFAQを作成することで得られる、おもなメリットについて詳しく解説します。
業務の負担を軽減する
まず挙げられる大きなメリットは、FAQがあることで、ユーザーから同様の問い合わせを受ける回数が減少する、ということです。FAQを整備することで、ユーザーの質問が解消されるため、問い合わせ対応の工数と負担が減り、全体的な生産性が向上します。
ユーザーの満足度が向上する
FAQによって疑問が解決できれば、ユーザーはわざわざカスタマーサポートに問い合わせる必要がなくなります。窓口の営業時間を気にすることなく、いつでも自分のタイミングで欲しい情報が得られる仕組みは、必ずといっていいほど満足度の向上に貢献するでしょう。
知識やコツの共有が容易になる
FAQの整備でメリットがあるのはユーザーだけではありません。企業にとっては、情報や知識の一元化や体系化を促進できるというメリットがあります。
特に、社内向けFAQの導入は、新入社員や異動してきたメンバーの情報キャッチアップや業務への適応を助け、早期の戦力化をサポートするツールとなるでしょう。
運営サイトのSEO強化につながる
FAQの内容は、ユーザーが求める情報に基づいて構成されるため、SEO対策としても効果的です。
さらに、定期的なFAQの更新は、検索エンジンからの評価を維持・向上させる効果も見込めるでしょう。こうした要因が組み合わさることで、サイトへのアクセスが増加し、ビジネスチャンスの拡大も期待できます。
FAQを作成する際の注意点
FAQは、情報提供の手段として非常に有効ですが、有効なFAQを作成するためには、いくつか注意が必要です。FAQ作成時の重要なポイントを解説します。
FAQ作成の目的を明確にする
ユーザーの疑問を解消するため、製品やサービスの特長を強調するためなど、FAQ設置の目的はさまざまです。「FAQを作る目的」を明確にすることで、FAQの更新や追加時にも方向性を失わず、一貫性を保った運用が実現します。
ユーザーファーストな設計にする
社外向けのFAQにおいては、ユーザーファーストの設計を徹底しましょう。
容易なアクセス性、専門用語の使用を避けたわかりやすい回答、カテゴリ分けや検索機能の充実などに注力しましょう。ユーザー視点で設計することで、FAQの利便性が高まり、得られる効果も最大化できます。
正確な情報を提供する
FAQにおける情報の正確性は、製品・サービスへのエンゲージメントや信頼だけでなく、企業イメージにも影響します。
情報の確認・検証のフローを体系化しておき、各プロセスが漏れなく実行されるようにしておきましょう。
作り方を熟知してFAQの効果を最大化しよう
FAQの導入は、企業や組織にさまざまなメリットをもたらしますが、メリットを最大限に受けるためには、ポイントを抑えた適切な運用をしなければなりません。
作成にあたっては、ユーザーファーストの視点を持つことが最も重要です。FAQの運用状況を定期的に確認し、改善の取り組みを継続することで、ユーザビリティ、ビジネス効果を高めていきましょう。
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