生産性のない会話はなぜ発生するのか?原因や雑談との違いを解説
ビジネスにおいても重要な課題となっている生産性のない会話の発生。どのような企業でも起こりうる課題ですが、果たして発生してしまう原因とは一体何なのでしょうか。本記事では、そんな生産性のない会話について、原因や雑談との違いなど詳しく解説していきます。
目次
生産性のない会話とは?
企業によって背景こそ異なるものの、一般的に新たな価値を生まない会話を「生産性のない会話」と呼びます。次のようなケースが、生産性のない会話とみなされる例です。
- 現状の不満に対する愚痴を繰り返す
- ノルマに到達できなかった言い訳をする
- 他人の悪口で盛り上がる
生産性のない会話は、「建設的な会話でない」と言い換えることも可能です。「どのような対策を講じるべきか」といった具体的な意見がないことも、生産性のない会話の特徴といえます。
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生産性のない会話が発生してしまう原因
生産性のない会話が発生するのには、いくつかの原因があります。ここでは、主な原因を3つ確認していきましょう。
信頼関係が構築できていない
社員同士の人間関係が希薄なものであった場合、そもそもコミュニケーションの場が生まれにくい状況となってしまいます。
進めているプロジェクトの内容を詰めようと考えても、相手に対する信頼感がなければ「議論するだけ時間の無駄だろう」と考え、表面的な浅い議論で終わってしまうこともあるでしょう。
このように、生産性の高い会話を図るには、社員間の信頼関係が構築されている必要があります。
意見交換がしづらい環境・社風
建設的な会話が飛び交う企業は、経営陣や管理職の人間が、意見や批判に対してオープンな姿勢を持っています。意見にしっかり耳を傾けてくれる環境に対し、社員は安心して発言できるのです。
一方、部下からの提案を頭ごなしに否定する上司がいる職場環境はどうでしょうか。会社のためを思って進言したのにもかかわらず、意見をすべて否定されてしまうと社員のモチベーションは著しく低下します。
結果として、意見や提案をする回数も減っていき、上司の独断的な判断に仕方なく従うような職場環境になってしまうのです。コミュニケーションが閉鎖的な職場環境だと、生産性の高い会話は生まれにくくなります。
知識の量に差がある
持ち合わせている知識量に差があることも、生産的な会話を阻害する要因です。人間は無意識に、知識量を推測してコミュニケーションをとっています。そのため、業務に関する知識差を感じると、相手に堂々と意見が言えなくなり、生産性に欠ける会話になってしまうのです。
たとえば、IT知識に乏しい社員がクラウドサービスの導入に対して意見を求められた場合、同じような知識レベルの社員に対しては積極的な意見が言えても、IT知識の豊富な社員に対しては「浅い考えだと思われてしまう」といった心理が働くこともあるでしょう。結果、知識量の多い人間が一方的に会話する状況が生まれてしまうのです。
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生産性のない会話と雑談の違い
「生産性のない会話」と「雑談」を、同じようなニュアンスの言葉と認識している人もいるのではないでしょうか。それぞれの言葉の定義は、以下のとおりです。
- 生産性のない会話:目的や着地点のない、とりとめのないコミュニケーション
- 雑談:初対面の人物との距離を縮めたり、共通点を見いだしたりすることを目的としたコミュニケーション
仮に天気の話をしていたとしましょう。目的や着地点の有無によって、生産性のない会話と雑談に切り分けられます。ストレス発散や相手の緊張感をほぐす目的があれば、同じ天気をテーマとした会話でも、雑談に分類されるわけです。
生産性のない会話を改善するメリット・効果
ここからは、生産性のない会話を改善することで、どのようなメリットや効果が期待できるのかを紹介していきます。
信頼関係の構築
言いたいことをただ話す生産性のない会話とは異なり、雑談には人間関係の距離を縮める役割があります。そのため、生産性のない会話を減らし、雑談を増やしていくことは、社員同士の信頼関係構築に繋がるのです。
雑談が増えていけば、気軽にコミュニケーションを交わせる雰囲気になっていきます。業務に対する意見も切り出しやすくなるため、雑談から話を発展させて上司へ業務改善案を進言してみる、といった会話の流れを作り出すことも可能です。
ストレスの発散
生産性のない会話は、ときに相手に不快感を与え、職場の空気を悪くしてしまうものです。上司から会社の愚痴を延々と聞かされると、仕事のモチベーション低下にも繋がってしまうでしょう。
ただし、愚痴であっても話す目的を意識すれば、プラスの効果をもたらすことがあります。「相手の共感を誘い、信頼関係を築きたい」「ちょっとだけ愚痴を言わせてもらえれば、気持ちがすっきりする」といったように、雑談ベースで愚痴をこぼすことが、人間関係の構築やストレス発散に繋がる可能性もあるのです。
このように、生産性のない会話でも、目的を持った雑談へと改善することで、価値のあるコミュニケーションとなります。
知識の向上
生産性のない会話は中身のない内容になってしまいますが、雑談であれば有益な情報を共有したり、新しいアイデアが生まれたりすることがあります。
雑談ベースで業務の話をした場合、会議の場とは違って社員同士がリラックスして意見を交わせます。率直な意見を耳にすることで、業務改善に対する新たな気づきが得られることもあるでしょう。
雑談によってコミュニケーション量が増えていけば、インフォーマルな社内の情報共有が活性化し、それによって社員の知識が深まっていきます。
生産性の向上
生産性のない会話を見直し、目的を持った雑談を心がけていくと、コミュニケーションを通じて業務改善のヒントや気づきを得られるようになります。
なかには、雑談の時間を意識的に設けている経営者も存在します。雑談には情報収集や新たな気づきをもたらすメリットがあり、雑談によって今まで気づかなかった視点に触れることもあるのです。社員の率直な発言や会社に対する意見を耳にすることで、業務改善へ向けた対策が頭に浮かぶケースもあるでしょう。
経営層だけでなく、社員も雑談を通じて他の社員の働き方を知ることで、生産性の高いワークスタイルを身につけられるようになります。
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生産性のない会話を放置するリスク
ここまでは、生産性のない会話を改善していくことが、企業に多くのメリットをもたらすという話をしてきました。
それでは、状況を改善せず、生産性のない会話を放置してしまうとどうなるのでしょうか。4つのリスクを確認していきましょう。
生産性の低下
信頼関係の構築ができてない、意見交換しにくいといったように、生産性のない会話が発生する理由はさまざまです。こうした環境下にある組織では、社員の気持ちが閉鎖的になりがちで、社員同士の連携がスムーズに図れない可能性があります。
日常的にコミュニケーションを交わしていれば、仕事の依頼や意見交換も気軽にできるため、業務進行もスムーズです。しかし、雑談などのコミュニケーションが不足している場合、それぞれがバラバラに働いてしまうので、業務効率が悪く、生産性も低下していきます。
仕事に対するモチベーションの低下
積極的な発言や提案が受け入れられると、社員は働きがいを感じ、高いモチベーションを維持して業務に取り組めます。しかし、反対に自分の意見がまったく聞き入れてもらえない職場環境だと、労働意欲を失い、会社への愛着も薄れてしまうでしょう。
生産性のない会話を放置しておくと、自発的な発言や提案が生まれなくなり、社員の仕事へのモチベーション低下を招いてしまうのです。
心理的安全性の低下
心理的安全性とは、組織内で安心して自分の意見や考えを述べられる状態のことです。心理的安全性が高ければ、社内の意見交換も活発になり、社員同士の信頼関係も高い状態を保てます。
生産性のない会話が目立つ職場では、質問や意見が出しにくく、上司やマネージャーの顔色を見て働く消極的な労働スタイルになりがちです。働きにくさを感じる社員が増えていくことで、ますますコミュニケーション量は減っていき、心理的安全性の低い状態となっていきます。
離職率の上昇
上司から会社の悪口を延々と聞かされたり、自分の意見を発する場がなかったりすると、社員の会社への帰属意識が薄れていきます。場合によっては転職を考える社員も現れ、離職率の増加を引き起こすこともあるでしょう。
生産性のない会話の放置は、社員に不満や精神的ストレスを与えてしまいます。優秀な人材が他社へ流出することのないよう、社内コミュニケーションの早急な見直しが必要です。
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生産性のない会話を改善する方法
最後に、生産性のない会話の改善方法を紹介します。会話内容を改善すると一口に言っても、企業によって割ける時間やコストはさまざまです。これから紹介する方法のなかから、自社に適した方法を検討していきましょう。
コミュニケーションに対する意識の改善
会話をはじめとしたコミュニケーションは、相手のリアクションや質問によってクオリティが変化します。仮に「信頼関係を築きたい」と1人の社員が感じていても、他の社員にその気がなければコミュニケーションの中身は濃くならないでしょう。
まずは会社全体がコミュニケーションの重要性を認識し、人間関係の構築や生産性向上に繋がる会話を意識して働くことが大切です。
チャットツールの導入
対面での会話は、人によってハードルが高いものです。特に経営陣や管理職の人間とコミュニケーションを図ろうとする場合、萎縮して思い切った発言ができないこともあるでしょう。
気軽なコミュニケーションを増やしていくには、チャットツールの導入がおすすめです。テキストでのやり取りとなるため、気負うことなく会話をスタートできます。
チャットであれば会話のキャッチボールの数も増えるため、コミュニケーションのハードルも下がり、意見交換のしやすい環境を作れます。
定期的な面談の実施
雑談や日常的なコミュニケーション量を増やす取り組みとして、面談の実施が挙げられます。1対1で話す機会を作り、上司は部下の話に耳を傾けるよう心がけます。
そうすることで、社員の心理的安全性が高まり、普段の仕事のときでも上司へ気軽に意見を発したり、相談したりできるようになります。月に1回程度の頻度でもよいので、まずは面談を通じて社内コミュニケーションの機会を増やしていきましょう。
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綿密な情報共有の徹底
コミュニケーション不足の環境は、「これぐらいの情報は、話さなくてもいいだろう」といった気持ちが原因で生まれます。些細なことでも意識的に情報共有するよう取り組んでみると、雑談や報告の機会が増え、社内コミュニケーションが活発になります。
情報共有の頻度を高めるには、雑談が有効です。雑談の合間に「そういえば、あのプロジェクトは大丈夫そうか?」と上司が切り出せば、部下も話すきっかけを得て進捗報告がしやすくなります。情報共有の徹底を図ることで、目的を持った会話の量を増やしていきましょう。
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生産性のない会話を改善して働きやすい職場環境を
生産性のない会話とは、価値を生まないコミュニケーションを意味します。社員同士の信頼関係が構築できていなかったり、意見を発しにくい職場環境であったりする場合に、生産性のない会話が生まれてしまうのです。
生産性のない会話から目的を持った雑談へと会話の質を高めていくことは、社員間の信頼関係を強化し、会社全体の生産性アップに繋がります。コミュニケーションに対する意識の改革やチャットツールの導入などを通じて、社員が働きやすい職場環境づくりを実現していきましょう。
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