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デジタルデバイドが若者にもたらす影響とは?原因や懸念される問題について

2022/06/16 2022/06/16

デジタル化

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デジタルデバイドは高齢者だけの問題と思われがちですが、実は若者にもこの傾向が顕著です。スマホネイティブ世代にも情報格差は起きています。この記事では、デジタルデバイドが若者にもたらす影響とその原因、起こり得る問題点と解決のための取り組みについて解説します。

デジタルデバイドが若者にもたらす影響とは

デジタルデバイド(Digital Divide)とは、インターネットやパソコンなどを適切に使える人と使えない人の間で生じる格差のことです。

デジタルデバイドが若者にもたらすと考えられる影響は、以下の4つです。

  • 情報格差が起きやすくなる
  • ITリテラシーが低くなる
  • 所得格差が大きくなる
  • 就職できない学生が増える

それぞれの影響について解説していきましょう。

(1)情報格差が起きやすくなる

デジタルデバイドによって、若者の間で情報格差が拡大しやすくなります。情報格差が起こると、様々な場面で問題に直面することがあるでしょう。

例えば、地震や水害などの災害が発生した際にインターネットをうまく使えないと、避難方法や避難場所などの災害情報を収集できず、適切な対応が取れないことがあります。また、インターネットの利用に慣れていない人をターゲットにして、誤情報を流して混乱させようとする人も出てきます。

このように、情報格差が原因で万が一のときに正しい行動を取れなかったり、デマなどに踊らされたりする可能性があります。

(2)ITリテラシーが低くなる

デジタルデバイドが原因で若者のITリテラシーが低くなることもあります。ITリテラシーが低いと、個人だけでなく企業にも損失をもたらすことがあるでしょう。

企業ではスパムメールや標的型攻撃メールなどによって、サイバー犯罪に巻き込まれるリスクがあります。そこでITリテラシーがないとウイルスに感染してしまい、経営に悪影響を与えてしまうこともあるのです。

(3)所得格差が大きくなる

デジタルデバイドによって、所得格差が広がる懸念もあります。

近年ではIT企業に限らず、どの企業でもITリテラシーが高い人材を求めています。そこで ITに疎い若者はたとえ新卒であっても、企業からは敬遠されやすくなります。そうなると、ITリテラシーの低い人は待遇の低い企業にしか就職できなくなる可能性も出てきます。

さらに、就職後も専門的なスキルを持つ人とそうでない人の間で、手当や報奨金、昇給額の違いからさらに差が開くことも考えられます。

(4)就職できない学生が増える

デジタルデバイドが進むと、就職難に陥る学生が増えてきてしまうでしょう。パソコンが使えないと事務職だけでなく、その他の業務にも支障が出てくることが考えられます。そうなると、できる仕事が限られるため、若者が働く場所が限られてしまうのです。

若者にもデジタルデバイドが起きている原因

なぜ若者にもデジタルデバイドが起こっているのでしょうか。その原因は2つ考えられています。以下では、それぞれの原因について詳しく解説していきます。

(1)スマホの普及によるPC離れ

1つ目の原因は、スマートフォンが普及したことによりパソコン離れが進んでいることです。2018年に内閣府が発表したデータによると、高校生のスマートフォン利用率は90%以上です。2022年現在では利用率がさらに高くなっていることが予測できます。

[出典:内閣府「平成29年度 青少年のインターネット利用環境実態調査]

スマートフォンがあればLINEなどによるSNSを使ったコミュニケーションや、インターネットの検索ができます。また、最近では画像や動画編集などの作業もスマートフォンでできるようになりました。このように、高機能化やアプリの多様化などによって、様々な作業がスマートフォンのみで完結できる環境になっているのです。

一方、パソコンは高性能な分、スマートフォンに比べて大きく、持ち運びが難しいという特徴があります。スマートフォンがあれば検索や友人などへの連絡も事足りるので、新たに費用をかけてまでパソコンを所有する必要がないと考える若者も出てくるのです。

パソコンの利用になれていないため、中にはタイピングがうまくできないという大学生もいるようです。そうなると、ますますパソコンを使う機会が減り、スマートフォンで十分だと思ってしまう学生が増えてくるでしょう。

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(2)教育機関でのIT教育の遅れ

2つ目の原因は、教育機関においてIT教育が遅れてしまっていることです。最近では中学校などの情報の時間に、パソコンではなくタブレット端末を使用する学校が増えています。タブレットはスマホの画面操作と類似する部分が多いのが特徴です。

そのため、パソコンを使ったキーボード操作をする機会が得られないため、タイピングなどの技術が身につかないのです。

デジタルデバイドが原因で起きる問題

若者の間でデジタルデバイドが発生すると、以下のような問題が起こる可能性があります。

  • IT系企業での人材確保が困難になる
  • 格差の助長や再生産につながる
  • 詐欺や事件に巻き込まれる可能性がある

(1)IT系企業での人材確保が困難になる

若者の間でデジタルデバイドが発生してしまうと、IT系企業において人材確保が困難になることが考えられます。

現在、ビジネスの様々なシーンでデジタル技術の活用が進んでおり、企業が成長するためにDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が不可欠とされています。そのため、IT系企業を中心に専門性を持ったIT人材やDX人材の需要が、これまで以上に高まっているのです。

しかしパソコンなどのIT機器の使い方がわからないなどスキルや知識が低い若者が増えると、IT系企業は優秀な人材を集めることができなくなります。実際、経済産業省の調査では、2030年に最大で約79万人のIT人材の需給ギャップが生じるとしています。

[出典:経済産業省「IT 人材需給に関する調査」]

若年層を中心としたIT人材の不足は、日本企業におけるデジタル競争力の低下をまねき、将来的な業績不振や成長鈍化にもつながる可能性があります。

(2)格差の助長や再生産につながる

前述の通り、デジタルデバイドは就職活動の時点で若者の将来を左右するとも考えられます。ITリテラシーの高い学生は好待遇の企業に就職できる可能性が高くなる反面、低い学生は就職できなかったり、ITスキルを必要としない待遇の低い企業に就職せざるを得なくなるかもしれません。

これにより新卒時点での収入格差が発生するだけでなく、将来的な格差の助長や再生産が懸念されます。例えば収入が十分に得られないと、パソコンを購入する機会や独学でITスキルを学ぶ機会も減ります。また職場において、ITやパソコンスキルの研修・教育体制が整っていないケースもあるでしょう。

そうしたことがスキルや知識の習得の妨げになり、転職時やキャリアアップ、キャリアチェンジにも影響を与える可能性があります。

(3)詐欺や事件に巻き込まれる可能性がある

情報収集能力の低さから、詐欺や事件に巻き込まれてしまう可能性も考えられます。

例えば、スマートフォンをよく使う若者はTwitterなどのSNSで情報収集をすることが多い傾向にあります。多くのSNSは興味や関心が似ているユーザーを結びつけるアルゴリズムが使用されているので、ITリテラシーが同程度の人が拡散するような知識しか得られません。

その結果、入手する情報が偏ってしまったり、適切な情報にアクセスできないといったことが起こります。場合によってはデマやフェイクニュースを信じたり、情報商材詐欺にあってしまう可能性が高まります。

また企業にとっても、ITリテラシーの低い従業員が増えることでサイバー攻撃のセキュリティリスクが高まることが懸念されます。

若者のデジタルデバイド問題解決のための取り組み

上記で紹介したような若者のデジタルデバイド問題を解決するには、以下のような取り組みが効果的だと考えられます。

  • 学生のうちからPCなどデジタル機器に触れる機会を増やす
  • 諸外国のようなITリテラシー教育を取り入れる
  • 入社後にIT研修などを行う
  • IT技術を持つ人材への優遇を改善する

(1)学生のうちからPCなどデジタル機器に触れる機会を増やす

若者のデジタルデバイド問題を解決するには、学生のうちからパソコンなどのデジタル機器に触れる機会を増やすことが大切です。

最近はスマートフォンの普及が進んでいるため、自分のパソコンを持っていない学生もいます。また、金銭的な問題でパソコンを買いたくても買えない学生もいるでしょう。

教育や研修を通してパソコンを使うことで、多くの若者が平等にデジタル機器を使えるようになります。例えば、大学が貸し出したパソコンでレポートを作成するようになれば、WordやExcelを使う機会も得られます。

(2)諸外国のようなITリテラシー教育を取り入れる

海外のように、ITリテラシー教育を取り入れるという取り組みも必要です。日本ではプログラミングの授業を取り入れている小学校が増えてきていますが、諸外国に比べると遅れています。

例えば、アメリカやイギリスなどは5歳ぐらいから、学校でプログラミング教育を取り入れるなど、IT教育に力を入れています。ベトナムでも官民が連携してIT人材の育成を推進しています。

またアメリカでは、GAFAMなどの巨大企業がIT教育を支援する取り組みも進んでいます。実際に、多くの小学校で利用されている「Code.org」というプログラミングサイトとAppleやMicrosoft、Googleが提携し、プログラミング教育の普及を促進しています。

このように、日本のITリテラシー教育の水準を高めるには、国の施策に加えて、企業が協力する方法も有効です。企業が資金面や技術面でバックアップすることによって、クオリティの高い教育を普及させることができるでしょう。

(3)入社後にIT研修などを行う

デジタルデバイド問題を企業が解決するには、新入社員に対してIT研修などを行うことも効果的です。IT研修を取り入れることで、これまで学校でITリテラシーについて学ぶ機会がなかった人でも、知識を得られるようになるでしょう。

IT研修では、一般的に以下のようなことを学びます。

  • Excel、PowerPoint、Wordなど基本的なソフトの操作方法
  • ITリテラシーの基礎知識
  • セキュリティ対策

これらの知識があれば、ITリテラシーを一般的な水準に引き上げることが可能です。

また、システム開発に関わる場合は、「データベース」「OS」「ネットワーク」「プログラミング言語」「Webアプリケーション」「セキュリティ技術」など、人材に応じて必要な知識やスキルが学べるIT研修を実施することで、新入社員のITリテラシーを向上させることができます。

社員がITリテラシーを身につけると、生産性や効率性の向上だけでなく、セキュリティリスクも排除できるので、企業の持続的な成長にとっても大きなメリットとなります。

(4)IT技術を持つ人材への優遇を改善する

企業が人材を募集する際、IT技術を持つ人材を優遇することも問題解決につながります。IT人材が優遇されることで、ITリテラシーを積極的に身につけようとする若者が増えると考えられるからです。

企業は、ITスキルが高い人材が将来的に収入面で有利になることや、キャリアの選択肢が広がることなどを伝えるといいでしょう。具体的なロールモデルなどを示すことで、若者が自発的に学ぶよい動機付けになるでしょう。

さらに、職場環境にもテレワークなどの働き方を取り入れると効果的です。働きやすい環境にすると優秀な人材が集まりやすくなるので、企業としてもメリットがあります。

若者にIT教育を実践してデジタルデバイドの解消を図る

デジタルデバイドによって、若年層の間で収入に差が出てしまったり、企業が優秀な人材を確保できなくなってしまったりする問題が発生します。

そこで学校や企業がIT教育を実践することで、若者のデジタルデバイドを解消することが必要になってきます。特に企業では新入社員に対してITリテラシーを身につける機会を用意することが大切です。

IT人材やDX人材だけでなく、一般の社員もデジタル技術の活用機会が増えています。企業業績の拡大や生産性向上などを図るためにも、デジタルデバイドを解消するような積極的なIT教育に取り組みましょう。

 

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