働き方改革を成功させるアイデア13選!労働環境改善につなげるポイント

最終更新日時:2022/12/07

働き方改革

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働き方改革に注目が集まる昨今、本記事では働き方改革を成功させるアイデアを12選しています。働き方を改善することは労働環境をよくする第一歩となり、働く人の満足度の向上や会社の発展にもつながります。ここで紹介する12のアイデアを働き方改革に活用することで、働く人と企業活動の相乗効果を生み出しましょう。

働き方改革の目的

働き方改革の目的は、これまでの日本で当たり前とされてきた長時間労働や終身雇用などの考え方を見直し、多様な働き方や人材の雇用を推進することです。

近年少子高齢化による労働人口の減少が問題となっていますが、働き方改革によるワークスタイルの多様化により、課題解決につながることが期待されています。

また、長時間労働によるトラブルが多くなってきた昨今において、多様な働き方を実現させて安定した雇用を促進するなどの要素も含んでいます。

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働き方改革によって企業が取り組むべきこと

働き方改革に向けて、何をすべきかわからないといった声も少なくありませんが、ここでは企業が行うべき7つの課題について解説しています。ぜひ参考にしてください。

1.残業の上限時間を設定

労働時間は1日8時間および週に40時間までと労働基準法で決められており、従業員に時間外労働や休日出勤をさせる場合は36協定の締結が必要です。

また、2019年の法改正により残業の上限時間が定められ、違反した場合は罰則が課されますので注意が必要です。なお、時間外労働の上限は以下の通りです。

原則月:45時間

年:360時間

特別な事情があり、労使が合意する場合月:100時間未満(複数月平均80時間まで)

年:720時間

働き方改革による36協定の変更点とは?時間外労働の上限規制や罰則について

2.1人1人の理想的な働き方を実現

近年仕事とプライベートの両立をするライフワークバランスが注目され、柔軟な働き方ができる企業の人気が高まっています。

優秀な社員の確保や多様な人材の活用には、一人ひとりの理想的な働き方を実現できる体制作りが必要となります。具体的なアイディアについては後述しますので参考にしてください。

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3.公平な待遇の実現

同じ企業に属する従業員において雇用形態の差で処遇を変えることは、均衡待遇規定および均等待遇規定で禁止されています。

同じ業務を担っているにも関わらず処遇差があると、従業員の不満が募る懸念もあり、良い影響を与えません。

4.年次有給休暇の取得

企業は雇用形態に関わらず、条件を満たす従業員には10日以上の年次有給休暇を付与することが、法律で義務付けられています。

また、2019年の労働基準法改正により、従業員に有給休暇を付与した日から1年以内に5日取得させることが定められました。いずれも違反した場合、罰則が課されます。

5.勤務間インターバルシステムの導入

勤務間インターバルシステムとは、従業員の健康促進を目的とした業務終了後から翌日の業務開始までの間に一定時間以上の休息時間を設ける取り組みです。この取り組みは、2018年の労働時間等設定改善法改正により企業の努力義務となりました。

現時点で罰則はありませんが、努力を怠った場合、社会的信用への影響や従業員のパフォーマンスが低下することも考えられ、生産性を下げる恐れもあります。

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6.産業医と産業保健機能の強化

事業所ごとに常時50人以上の労働者がいる場合、企業は産業医の要件を満たす医師を選任しなければなりません。また、2019年から働き方改革関連法により、産業医と産業保健機能が強化されています。

長時間労働は従業員のメンタルヘルスに影響しやすく、早い段階で変化に気付いて治療する必要があるため、産業医の面接指導が重要です。従業員の健康促進に対する取り組みは、企業の健全性と価値を高めます。

7.高度プロフェッショナル制度の設置

高度プロフェッショナル制度とは、職務範囲が明確な年収1,075万円以上の高度な知識を持つ従業員に対して、両者の同意のもと労働基準法に定められた労働時間や時間外労働に関する定めを適用しない仕組みです。

労働時間ではなく、成果に対して報酬が発生する点は裁量労働制に近いと感じるかもしれませんが、労働基準法適用有無・残業代支給有無・職種要件・年収要件の4つの点が異なっています。

また、通常の労働基準法は適用されませんが、年間104日以上の休日確保など最低限の決まりは存在するので注意しましょう。

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働き方改革を成功させる13のアイデア

働き方改革を成功させるためには、企業体制の見直しや新たな制度やツールを導入する必要があります。

ぜひ、会社や従業員のニーズにあったアイディアを導入してみてください。

1.会議や決裁などの効率化を図る

無駄な会議や決裁フローを削減し、ITツールを導入することで業務の効率化や生産性の向上が見込めます。

業務を円滑に進める上である程度のコミュニケーションは必要になりますが、会議時間の長さに比例して良い結果を生み出せるとは限りません。逆に長い会議は生産性が落ちるものです。

進捗報告やスケジュール管理を目的とした定例会議の代わりに、チャットツールや社内Wikiツールを利用することで、会議時間を短縮し、議事録作成の手間が省けるのでおすすめです。

また、決裁書類を電子化しワークフローツールを取り入れると、移動やスキマ時間に社外からでも確認ができ、忙しい承認者の負担を減らせます。

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2.各業務を見直す

働き方改革を成功させるには、全部署の業務を洗い出し内容や配分の見直しをすることが必要です。

無駄な手順を省き業務フローを明確にすることで、社員ひとりに対する負担の軽減や業務の効率化につながります。

業務の見直しには時間がかかるため、簡単な操作で棚卸しや可視化ができるツールを利用することも一案です。業務可視化ツールには手順を登録できるものもあるので、新入社員の入社時には教育にも活用できるなど、利便性の高いツールです。

3.研修制度を作る

充実した研修制度の導入は、社員の満足度やモチベーションアップにつながり、離職率の低下も期待できるでしょう。研修制度は、充実した内容の内部研修と年齢の近い先輩に気軽に質問できるメンター制度の併用がおすすめです。

若い社員の退職理由は、仕事の悩みや相談を気軽にできない環境にもあるといいます。メンター制度の導入はこの問題の解決につながるでしょう。

4.人事評価制度を作る

働き方改革により、公平性の高い人事評価制度を取り入れることも重要です。上司・同僚・後輩と社員全員の評価が反映される360度評価などは客観性や公平性が期待できる評価制度です。

きちんと評価されていると感じることで、働く人のモチベーションは向上し、離職率の低下にもつながります。

5.給与システムを見直す

人事評価制度と同時に給与システムの見直しも重要です。同じ業務をしているのに正社員や派遣社員で給与待遇に差が出ると、従業員からの不満にもつながります。

給与の公平さを保つため、雇用形態ごとに役割を明確にし、福利厚生なども従業員全員が受けられるようにするとよいでしょう。

また、コストの削減に貢献している従業員には、利益を還元したり報酬付与したりすることもおすすめです。

6.フレックスタイムを導入する

働き方改革には、多様な人材が働きやすいフレックスタイム制を取り入れるとよいでしょう。フレックスタイム制とは、あらかじめ総労働時間などを定め、その範囲内であれば従業員が自由に出勤時間を決められる制度です。

フレックスタイム制は労働時間が固定されていないため、仕事とプライベートの両立をしやすく、ライフワークバランスの向上が期待できます。

また、フレキシブルタイムとともにコアタイムを設定することで、毎日社員と顔を合わせる時間を作ることも可能です。

働き方改革で変わった残業時間の上限規制とは?変更点や注意点を徹底解説

7.リモート環境を整える

フレックスタイム制とあわせてリモートワークを取り入れると、さらに働きやすい環境となることが期待できます。リモートワークは、インターネット環境があればどこからでも仕事ができる仕組みです。

導入時には、作業端末のほかにも什器など業務に必要なものを支給しましょう。また、自宅に作業スペースを確保できない社員はオフィスより近い距離に設置されたサテライトオフィスを活用することも一案です。

リモートワークによって通勤の負担を減らし、地方や海外の優秀な人材を雇用することも可能となります。

8.充実した休暇システムを設ける

生産性アップのために充実した休暇制度を儲けましょう。生産性は働けば働くほど上がるわけではなく、適度に休憩した方が効率がアップするといわれています。さらに、雇用形態に関わらず、企業は従業員に一定数以上の年次有給休暇を付与しなければなりません。

最近は年次有給休暇のほかに独自の休暇制度を導入する企業も増えています。

休暇制度が充実した企業は、採用市場においても需要が高まりますので、自社で注目されそうなものを取り入れてみてはいかがでしょうか。下記に休暇制度の事例をご紹介します。

  • 夏季/冬季休暇
  • リフレッシュ休暇
  • 記念日休暇(誕生日、結婚記念日等)
  • ボランティア休暇
  • 病気休暇

9.有給休暇取得率を上げる

充実した休暇制度を導入するだけではなく、有給休暇取得率をあげる取り組みを実施しましょう。企業は、従業員に付与する年次有給休暇のうち5日の取得が義務付けられています。

従業員が有給を取りづらい理由として、取得する人が少ないことがあげられます。まずは会社の上層部の社員が積極的に取得し、部下にも促しましょう。有給休暇の取得率が高い企業は、企業のイメージアップにもつながります。

【働き方改革】年5日の有給取得義務とは?施行の背景・対象者・罰則について

10.福利厚生を充実させる

福利厚生の導入や整備は社員のモチベーションを高め、人材確保にも役立ちます。福利厚生には法律で義務付けられている制度と会社独自のものがあり、独自制度を充実させることでさまざまな効果を期待できます。

しかし、種類が多いほど従業員の満足度が上がるというわけでわけでもないので、自社のニーズにあった制度を充実させるとよいでしょう。

働き方改革の取り組み事例12選!見本から学ぶ推進するコツや注意点

11.新たな役職や課などを設ける

働き方改革により多様な人材を受け入れると新たなアイディアが生まれることがあります。

企業には、ビジネスチャンスを逃さないためにも随時、新たな役職や課を設ける柔軟性が求められます。

これまでにない切り口の新規事業などにも取り組み、新たな役職や課を設けることで、社内の新陳代謝を図りましょう。その際、フォローや相談ができる体制を構築することも大切です。

12.働き方改革の目標を達成に対する報奨金を支給

働き方改革は制度を導入しただけでは意味がなく持続性が重要となるので、目標達成に対する報奨金を支給することで社員の意識改革につながります。部署ごとに目標値を設定し達成できたら報酬として報奨金などを支給しましょう。

報酬はひとりひとりに渡すよりも、共有できる備品や飲み会手当といったように部署内のコミュニケーションを活性化するものも効果的です。

【2022年】働き方改革推進支援助成金とは?申請方法やコース内容を解説

13.1on1を取り入れる

1on1とは上司が部下の話を聞く目的でおこない、上司から一歩的にFBや指示をする目的の面談とは違う立ち位置のものです。

1on1の時間はまちまちですが、おおよそ30分程度で実施されるケースが多く、部下側の悩みや不満をヒアリングします。

定期的に1on1を実施することによって、部下のストレス・メンタルケアが施されるので、悩みがない状態にできます。

また、部下だけではなく部署や組織全体の体質改善にもつながるのもポイントです。

働き方改革のアイデアを実践する際の4つのポイント

先に紹介した働き方改革を成功させるためのアイディアを実践する際に、押さえておきたいポイントを4つ紹介します。

  • 社内の問題や課題を把握
  • 働き方改革によってどんなメリットがあるかを伝える
  • 若手や女性・シニアの活躍を推進
  • コミュニケーションを活性化

1.社内の問題や課題を把握

働き方改革のアイディアを取り入れる前に社内の問題や課題を把握し、どのような取り組みが必要なのか考えましょう。

多数、取り入れると逆に業務を圧迫する恐れがありますので、社内の問題や課題を洗い出し、改善点を把握してから着手しましょう。

働き方改革の推進で企業がワークライフバランスを整える方法とメリット

2.働き方改革によってどんなメリットがあるかを伝える

働き方改革は会社の上層部だけではなく従業員全体で取り組まなければ効果が期待できないため、働き手や会社にとってどのようなメリットがあるのかしっかり伝えましょう。

会社側のメリット・企業価値上昇

・人材確保

・生産性アップ

従業員側のメリット・ワークライフバランスの向上

・成果に対する公平な評価

3.若手や女性・シニアの活躍を推進

若手や女性、シニアの活躍できる環境を整えましょう。

少子高齢化の影響によりどの業界も深刻な人材不足に悩まされていますが、働き方改革により多様な人材を受け入れることで人材不足を解消することも期待されています。

しかし、ただ受け入れるだけでは従業員が定着しないケースも少なくありません。働く人のサポートや受け入れ体制を整えることで、長期の雇用につなげましょう。

【働き方改革】企業における女性活躍を推進する重要性や取り組み方法

4.コミュニケーションを活性化

コミュニケーションを活性化させる工夫をすることで、様々な価値観を持つ社員が集まっても業務を円滑に進められます。

逆説的にいえば、コミュニケーション不足により業務に支障をきたしたり、ハラスメントが発生する可能性も否めないので注意しましょう。

人は、自分と違うものや知らないことに対して拒否反応を起こすことがありますが、相手を知る努力をすることで多くは解消できるものです。

具体的な対策として、定期的にランチミーティングを開催したり、オンラインで気軽に連絡できるチャットツールを導入するなどコンタクトを取りやすいシチュエーションを提供することが有効です。

働き方改革のアイデアを取り入れる3つのメリット

先に説明した、働き方改革を成功させるためのアイディアを企業に取り入れた時のメリットを3つ紹介します。

1.生産性と利益率がアップ

企業体制を見直し無駄な工程の削減やシステム化すると、従業員一人ひとりに対する負担が軽減するため、パフォーマンス力が上がり生産性や利益率アップが期待できます。

2.人材不足が解消

働き方改革推進企業は、採用市場における人気が高い傾向にあるので人材不足の解消につながります。

近年は、ライフワークバランス向上が注目を浴びているので、仕事中心の生活より仕事とプライベートを両立できる企業に人気が集中します。また、休暇制度や福利厚生が充実していると、社員の満足度が高まり人材の定着にもつながります。

3.優秀な人材の確保

フレックス制やリモートワークを取り入れることで、地方や海外の優秀な人材の確保が可能になります。優秀な人材が増えると一緒に働く社員も刺激を受けるため、スキルアップも期待できるでしょう。

また、勤務時間を自由に決められる働き方は、出産や育児、介護といった家庭の事情がある優秀な社員も継続して働くことが可能です。

ワークシェアリングとは?注目される背景やメリット・デメリットを解説

働き方改革は学校でも浸透しつつある

働き方改革は企業だけではなく、全国各地の学校でも浸透しつつあります。

背景としては、教員不足によって一人あたりの仕事量が多くなって労働時間が増加傾向にあるためです。

また、労働時間が病気などにつながるリスクがある過労死ラインを超えている傾向もあり、早急な労働環境の改善が行われています。

学校側の働き方改革の実例は下記の通りです。

  • 教員以外の人員の確保
  • 特定の業務の廃止や簡略化
  • チーム編成によって業務の分散化
  • 部活動の時間削減

参考:文部科学省「教員勤務実態調査(平成28年度)の分析結果及び確定値の公表について

【学校】教員の働き方改革が急務!現状の問題点や今後の取り組みについて

働き方改革のアイデアを試して労働環境を良くしよう

働き方改革は、何かひとつを試しただけでは成果を得られないこともあるので、このページで紹介したアイディアを複数組み合わせるなどして実践し、労働環境の改善に努めましょう。

働き方改革の効果は、従業員の満足度やライフワークバランスの向上だけでなく、企業にとっての生産性向上や人材確保といったメリットにもつながります。

結果の出る働き方改革は働く人と企業の双方にメリットをもたらし、企業活動を好循環させるのです。

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